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日中戦争下の朝鮮駐屯第74連隊所属「平山軍曹」の書類で、血液型による個人の性格把握方法の運用を発見!

 当方の収蔵品は基本的に戦時下の庶民にかかわるものですが、中には軍隊内部の日常=徴兵された庶民の日常=を知るため、有益になりそうな資料も入手しています。こちら、1939(昭和14)ー1941年ごろに朝鮮に駐屯していた歩兵第74連隊に所属した「平山軍曹」の軍務関連書類のつづりをまとめて入手したものです。
 内務班の運営、戦力の発揮など、さまざまな場面で「私的制裁の根絶」と書かれているのが印象に残ります。つまり、私的制裁はいかんと表では言いつつ裏では横行していて、常に頭を悩ませていた様子が浮かびます。また、兵隊の食事の経理や機関銃隊所属のため馬の食糧の計算といった、細かなことも分かり、大変興味深い資料です。
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 そのうちの一冊「衛生の参考」では、最初に兵隊の個性の把握について取り上げています。その気質まで類型化して、個別の人身把握と教育に役立てようとした様子が分かり、鋳型形式に当てはめていく軍隊像とはちょっと違う側面が垣間見えます。 

1939年から1941年ごろに書かれた「衛生之参考」
軍隊教育に利用すべき個性の類別表ー嗜好や交際まで含めています
兵隊の4類型と一般的な指導法

 けっこう、几帳面にひとりひとりを見て、それぞれに合った指導に努めていた様子が分かります。まあ、把握しきれない場合でも、この4類型ぐらいで判断せよということですね。
 そして、この後にはなんと、血液型による分類も登場します。

血液型とその気質

 O型ー意思強く感情には不偏である、として唯一の意思型
 A型ー意思極めて弱く且(かつ)感情に動かされる
 B型ー意思強く感情も亦(また)強し
 AB型ーA型とB型の中間にあたる

 などと分類しています。中の人は興味がないので、現代の判断と比べてどうなんでしょうか。そしてそれぞれの長所と短所がこれまた細かく書かれています。

各血液型の長所、短所

 そして、これらの血液型分類を活用する「血液型に依る特異性とその利用(個性教育資料)」についてでは「血液型の種類に基づく性格の特異性として一般に研究せられたるものを要約摘記すると左記の如し。然れども各血液型に応ずる性格は幾多の統計より帰納したる主として先天的特質なるべく、いわゆる後天的修養に依り性格の豹変を企図すること可能なるは、正に之吾人人類のみに許されたる天恵なるに思いを致し、採用補短終生修養の道に精進し、聖質の伍に列するの覚悟を必要とす」とあります。

 つまり、先天的に血液型による性質の違いはあれども、その後の修養で短所を直し長所を伸ばすことができるから、終生修養の道を歩め、と。一般的に言われているから先天的なものとして分類はするけれども、教育で性質は変えられるとしています。そのうえで、以下の項に特徴とそれぞれに合わせた修養法を手短にまとめています。まあ、世間一般で言われているから、血液型もそれなりに個性把握に役立つだろうと大日本帝国陸軍も考えていたようです。そして修養の道を奨めるのが、また軍隊らしいところかもしれません。

血液型による特異性と其の利用
AB型はいろいろ大変…

 そして最後に、実用的で「衛生」面で重要な、輸血での血液型利用を挙げています。これこそ、命にかかわりますからね。
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 それにしても、血液型分類、日本では古くから社会でも軍隊でも活用されていたんですね…。ちなみに中の人は安易に他人から自分を判断されたくないので、献血の時以外は血液型を誰にも教えないことにしています、ハイ。


 

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