「教師の意図した遊びは面白いのか」➁

私は、私立幼稚園と公立幼稚園に勤めたことがあるのだが、このような「みんなでやる遊び」特に鬼ごっこやドッヂボールのような、体を動かす遊びについて思うところがある。

まず私立園では専門講師を招いての体操、英語、リトミック、そして担任による製作活動が保育時間のメインであった。先ほどの鬼ごっこのような遊びは、基本的にサブ的な扱いで、小学生が休み時間に遊ぶというようなイメージである。専門講師の体操でルールを共通にすることもあったが、基本的には、担任が幼い頃遊んだものや、他クラスの子が遊んでいるルールが取り入れられ、何度も繰り返すうちにルールが浸透したり、アレンジされたりして、楽しまれていた。

一方私の勤務した公立園には、専門講師を招いての体操などはなく、先ほどのような鬼ごっこが一日のメインの活動として取り上げられる。
鬼ごっこを通して、「追われることが嫌で隠れてばかりの子どもにはどんな援助ができるか」「クラスの半分くらい鬼になったら、追われる人がすぐ捕まって面白くなくなる。子どもがそれに気付いて、バランス良い人数配分を考え、遊べるようになるにはどうしたら良いかな」など、遊びに沢山の意図を込める。上司や同僚とも相談しながら、遊びを通して様々な経験ができるように配慮する。
だから、上司や先輩の前で「ちょっと、本で見たこの遊び、面白そうだからやってみようと思います〜」とでも発言しようものなら、「その遊びをやる意図は?」「何を育てるの?」と言われる。
また、「〇歳にはこの遊びを、やっておくべき」みたいな、代々受け継がれてきた遊びのセオリーみたいなものがあり、そこにない遊びを出してくると、「この時期は、しっぽ取りとか引っ越し鬼とかやるものなのよ?それをやらずに、新しい遊びやる気なの?」と言われることもある。

しかし、このように教師が一生懸命色々考えて取りあげた遊びが、好きな遊びの中で子ども達が積極的に「やろうやろう」となっているところを私はあまり見たことがないのだ。(自分のクラス、他クラスに関わらず)
むしろ、「面白いからちょっとやってみるかぁ」となんとなく始めた私立幼稚園の休憩時間の鬼ごっこのほうが、子どもの心を掴んで、休憩時間が来るたびに「やろうやろう」と子ども同士誘い合ったりしているのだ。

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