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学級通信の書き方(2)「「子どもの様子を簡単かつ効果的に伝える一石二鳥の方法」

1. Difference Maker 作戦!

Difference Maker(ディファレンスメーカー)とは、海外派遣事業に参加した際に訪問したアメリカの学校で行われていた取り組みの名称です。言葉の意味自体は、「何か新しいものを世に送り出した人」のような感じたと思います。

昼休みに、生徒会の生徒が、校内放送で顕著な取り組みや行いをした生徒を選出し敬意をもって紹介する取り組みです。学校で毎日繰り返されるルーティンをこなすだけでなく、少しの親切や努力の成果を賞賛することで新鮮な空気を吹き込む活動だと強く印象に残っています。

例えば、「Johnは、授業でスピーチを行った際に誰もが考えもしなかった方法でいじめの解決方法を提案してくれました。その結果、みんなが真剣に考え、課題を解決しようという雰囲気になりました。ですから、Johnを今週のDifference Makerとして皆さんに紹介します!」のような内容です。これが全校に放送されるのです。

私は、この取り組みを知った時に、学級通信のネタに使えると閃きました。この手の取り組みは、生徒にとっても、保護者にとっても必ずよい影響があると思いました。そして、この方法は一石二鳥を実現する方法だと確信したのです。

2. どこが一石二鳥なのか

学級通信を継続的に発行しようと思うときに、最初にぶつかる壁はネタがいつもあるわけではないということです。ところが、このDifference Makerを紹介する取り組みは、ネタの提供を生徒に求めるのでその問題が解消されます。そして、生徒に関するポジティブな情報が家庭に紹介されるので、クラスの様子が伝わりやすくなります。

一鳥)ネタ集めに困らなくなる
二鳥)生徒の様子が詳しく家庭に伝わるようになる

生徒同士の互選にすると、担任が気づかなかった出来事や、生徒目線でなければわからない活躍を見逃すことが少なくなります。普段、Aさんとはあまり親しくしていないように見えるBさんからAさんのよいところを紹介されることがあります。これもカウントすると三鳥めです。

そして、このようなポジティブ情報を家庭と共有することで、読者である保護者が学級経営のサポーターになってくれる可能性を高めます。四鳥めですね。

学級担任として、頭が痛いのは、経営方針や教育観についてなかなか家庭の理解を得られない時だと思います。そのような状況を解決する方法はコミュニケーションを深めること以外にないと思います。

しかし、頻繁に保護者と会って話をする機会はありませんので学級通信はとても貴重なツールです。

学級通信はいっけん一方的な情報提供に見えるかもしれませんが、具体的で前向きな情報を提供して嫌な気持ちになる人はごくわずかと想定してどんどん出してみることをお勧めします。

継続的に学級通信を発行する自信がない人は、ぜひ生徒に情報提供してもらいネタ作りに協力してもらいましょう。

3. 具体的な方法は?

では、どのような手順で行えばよいでしょう。どのような方法でも構いませんが、ここでは私が実践していた方法を紹介します。

Difference Maker(以下DM) 紹介作戦のコツ
1)生活班(6名程度)を活用しDM選出担当を設定する
2)担当班は1週間交代で係1名につき1名のDMを選出する
3)金曜日の朝の短学活で係の生徒が選んだDMとその理由を発表する
4)発表を聞いて担任は感想等のフィードバックをする
5)班長は、事前に書いた6名のDMと理由の記録用紙を提出する
6)担任は、記録用紙を学級通信のテンプレートに貼り、印刷する
7)金曜の帰りの短学活で学級通信を配布する

いかがでしょうか、ポイントは6)ですね。生徒が書いたものをそのまま印刷できるくらい丁寧に書くよう指導できていれば、担任がパソコンに入力する時間を節約することができます。

活字にこだわる先生は、テキスト化して配布でも構いません。ご自身の時間的な余裕に合わせて取り組んでください。

これで、毎週金曜日はクラスの様子を生徒目線で記録した学級通信が安定して出せるようになります。

きっと1度も選ばれない生徒が出たらどうしようと心配する先生がいるのではないかと思います。

しかし、クラスが健全に育っていれば、自分がDMを選ぶ側になった時、「もし誰も自分を選んでくれなかったら嫌だな」という気持ちから真剣に選ぶようになり、ささやかな活躍を一生懸命拾うようなります。

そして、選出する際に、「先週選ばれなかった人の中にも活躍している人がいるはずだ。」と考えるようになります。

担任は、氏名表にDMで選出された数を毎週記録していけば選出歴ゼロの生徒に気づくことができます。なかかな選ばれない生徒がいたら、さりげなくその生徒のよいところを授業等の場面で紹介してみましょう。

きっと納得したDM選出係の生徒が、その生徒のことを選出してくれるでしょう。こうやって生徒と担任が一体となってよいところ探しをする機会があってもよいと思います。

4. おわりに

学校のセンセの仕事は多岐に渡り、多忙化が収まる気配など一向にありません。なんでもバリバリこなしているセンセがよい先生と思われがちです。しかし、実際のところそうとも言い切れません。

私がみている限り、バリバリやっているセンセの中には独善的であったり、自尊心が強く自分の誤りや目が行き届いていなかったことを素直に受け入れない傾向がある人も少なくありません。

一見うまくいっているように見えても、「担任がいる時といない時で生徒の態度が違う」とか、授業者によって生徒の態度が違う学級になるなんてこともありがちな話です。

今回紹介したDM作戦は、「私は教員だが、そもそも神様じゃないので気づかないこともあるし、行き届かないこともたくさんある」という自戒の念から生まれた技でもあります。

「生徒のことは生徒に聞いちゃえ!」という単純な発想から学級通信のネタが、それも前向きな情報が安定的に手に入るようになったのです。

金曜日の朝、係の生徒が、「花子さんが、話し合い活動で話を真剣に聞いてくれたのでとても話しやすかったです。」とか、「バスケ部の太郎くんが、体育のバスケットでみんなが取りやすいようにパスを出してシュート練習を手伝ってくれました。」などのように、担任がみることができない場面での活躍を教えてくれるのです。

担任としても、聞いていて清々しい気持ちで1週間をまとめることができるので、この方法を続けていました。

こんな情報を毎週共有して行くことで、生徒と保護者と担任でよい子育てチームを作っていけると思います。

よかったら試してください。



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