とある一人の男が占い師になるまで #3 ~信用金庫職員編~
全く肌の合わない同期生たちとの地獄のような2週間の研修を終え、ようやく各支店へ配属される日がやってきた。
この男にとって、それは救いとなるのか?
それとも……?
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『ようやく同期生たちと合わなくて済む!』
支店に配属される事を特別待ち望んでいた訳ではないが、私にとって、この肌の合わない同期生たちとしばらく会わなくて済むというのが、とにかく嬉しくて仕方がなかったのだ。
私が配属される事になったM支店は自宅からは割と通いやすく、しかもそのM支店に配属される新入職員は私だけだったので、とりあえずはホッとする事ができた。
男性の新入職員と女性の新入職員が1人ずつ配属されている支店もあったが、どうやらそれは避けられたようだ!
そして、本部で配属先が発表された後、それぞれの新入職員は、迎えに来てくれた各配属先の支店長と一緒に支店まで向かう流れとなっていた。
……といっても、いきなり支店長と2人きりになる訳ではなく、近い地域に配属された同期生たちと支店長たちとは、当然途中までは一緒に向かう事になる。
もちろん、その向かっている途中でも、私は同期生たちとの会話にはほとんど参加させてもらえなかった。
いい加減この空気にもウンザリしていたが、あと少しの辛抱だと思って必死に耐え抜いた。
そしてようやく近い配属先の同期生たちからも解放されて、M支店の支店長と二人きりになれた。
もちろん、支店長は「私が同期生たちと打ち解けられなかった」などという事情は知らないから、私に対しても普通に話しかけてくれた。
それだけでも私は嬉しかったのだ。
30歳近く年上の支店長相手に当然緊張はしていたが、それでも久々に他人とまともな会話ができた事に僅かながら嬉しさを感じていたのだ。
そして、いよいよ支店長とともにM支店へ入る。
ホッとしたのもつかの間、私の心に再び大きな緊張が走った。
支店長は年がかなり離れているので逆に話しやすかったのかもしれないが、それ以外のM支店の職員たちとは上手く打ち解けられるのだろうか?
特に、年齢が近い職員たちとは、同期生たちと同様、また打ち解けられないのではないだろうか?
そんな私の不安な心をよそに、支店長は私を支店内へと招き入れてくれた。
既に15時を過ぎていたため、各職員たちはそれぞれ担当の締めの作業を行っており、支店長が一人一人を紹介して挨拶するという事は特に行われなかった。
みんなの前で挨拶するという事も行われず、支店長が支店の中を簡単に案内して、その後ロビーで少し話をした後、最後に出勤簿かなにかを見せられて、これに毎朝出勤したら判子を押すような事を教えてもらった。
それで今日は終わりのようだ。
私は言われた通り判子を押し、そして今日はひとまず退勤しようとした…。
その時、意外な人物が私に声をかけてくれたのだ!
To Be Continued ➤
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