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大江千里DAYS「五番街をワシントン公園まで下れば」

11月の風はピリッとクリスピーでどこかこそばゆい。そんなに早く冬にならないてもいいのに。もうちょっとのんびり秋のままでもいいのに。

落ち葉の絨毯の上を

冬と夏の間を反復横跳びしているNYの秋の気温。そういえば去年もこんな日々を繰り返しながら気がつくとあたり一面雪景色だったっけ。そんなこと考えながら散歩から帰宅してピアノの練習に入ると、窓越しに街路樹の黄色くなった葉っぱたちが風に揺れている。

踏みしめたいよね

今週に入りやたら地下鉄に冷房が入る。もうすでに冬の準備をしてきた人々を汗びっしょりにさせながら電車は橋を渡りブルックリンからマンハッタンへと向かう。

汗びっしょりだ

今日はドラムのロスペダーソンとの二人リハーサルだ。

ロスは現在、マンハッタントランスファー50周年絶賛ツアー中で、昨日の朝"マントラ"のコンサートを終えロスから帰ってきたばかりだ。ロスがロスからN Yへ。

僕といえば5回目のブースターを終え、タイレノールを6時間ごとに飲みまくり今回はひどいことにならずに済んだ。熱や腕の痛みもそれほどでもなかった。夏のフェス以来のロスは、「明日はN Yマラソンで走るから今日は本気でソロをやれないんだ」とバツの悪そうな顔をする。「ちょうどいいよ。僕もワクチン上がりだから、肩の力を抜きつつサクサクやろう」

馴染みのスタジオで

リハスタの裏窓越しにバックヤードが見える。細い急勾配の階段を上がって到着したスタジオの窓の外には普段着のN Yが寝そべっている。リスがチョロチョロ壁づたいを走るのが見える。

なぜこうして「二人リハ」が続くかといえば三人一緒リハがブルーノート直前のランスルーまで取れないからだ。マットもロスも忙しい。なのでそれぞれと僕がリハをやって直前に三人で合わす方式をとる。なんとも心もとない部分もあるけれど二人だからこそ見えてくることも逆にある。いないメンバーの音を想像し、二人で繰り広げる世界の膨らみに驚いたりインスピレーションをもらったりしながら、リハは白熱した。

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