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特別寄稿 「Class of.... の季節が来た」
N Y にClass of.... の季節が来た。
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卒業して行く生徒たちが大きなカゴに荷物を載せて、レンタカーに積み込む姿をよく見かける。ドーム(寮)生活が終わったのだ。ローブ姿の卒業式を終えた生徒たちがグループになって様々な色で街を染めるのもこの季節。
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ああ、僕も帽子を投げたな。そのローブや帽子はまだクローゼットの中。卒業のcertificates(証明書)も捨ててはいないはず、なんて考える。
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お店に1コーナー貸切で「Class of 2023 〇〇」なんてバルーンが派手に飾られてたりすると「ああ、ここで二次会だな」と胸の奥がキュンとする。
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卒業してから1年、インターンなどのチャンスを得て、企業で働くことができるので、その期間に外国から来てる生徒たちはアメリカで就職するための実地訓練を行うのである。
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僕は「Class of 2012」だ。あの時の仲間は今どこにいるのだろう。そんなこんな思いめぐらしていたらインスタに見覚えのある顔が出てきた。バリトンサックスを半裸で威勢よく吹いている。見るとフォローワーの数が半端ない。え? こいつ、もしや、と思い名前を見たらやはりウエブルだった。
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Class of 2011か2010か、いくつかのクラスで一緒だった天才肌の20歳。ルックスはゴツくて豪放磊落な振る舞いをしてたけど、けっこう繊細に落ち込む時があった。そんな彼はいつの間にか故郷のクリーブランドで立派なインスタグラマーになっていた。
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しかしあの頃、若さゆえボロボロの服にサンダルに靴下姿ボサボサ頭で「おい、Senri、ノート見せてくれよ」なんて呟いてたウエブルが今や肌だし多めのセクシーミュージシャンとしてインスタでバズっているとは?
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「ねえねえ、一緒にランチしない?」
そう言ってClass of 2011 World Music Histryで大教室の前の方の席から僕に手を振ったあの女の子はJazzmeia Hornとして今やグラミー賞のノミネートの常連だ。そんなJazzmeia Hornからインスタにコメントが来る。
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「"Class of '88" 発売、おめでとう! さーて、一緒に演奏する時期が来たね! どう思う?」
僕も負けじとコメント返しする。
「もちろん、こっちは準備オッケーさ」
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僕より後から入学してきた才能豊かな生徒たちは、僕より早く卒業や転出して行く。それに慣れる度に学校に残る「主の風格」が備わって行く。1年の頃になかなかエレベーターホールのソファに座れなかった僕が、いつの間にかその中心で足を組んでムシャムシャサンドウイッチを頬張っていた。
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僕の卒業の年のClass of 2012の仲間たちは各々の国へ散らばって音楽をやっている。中にはいい人を見つけてラブラブの投稿をしている元歌姫もいる。才能あるからすぐにデビューのチャンスがくるよってよく話してたのに、すっかり音楽は趣味にして今は娘の成長に目を細めている。日本へ移住した奴もいる。農業をやりながら得意のバイオリンやタップダンスを続けている。
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「Senri, "Class of '88" おめでとう。9月は俺も駆けつけるぜ。ついに一緒に演奏するチャンスが来たぜ」
おいおい、勝手に決めるなよって言いたいところだが、あの頃のClassmatesは今もそんな感じなのだ。おいおい、ちょっと待てよってなツッコミ、お互いにしながら僕も、
「ねえねえ、スイスでいいホテルでやるdinner showの仕事とかないかな?」って平気でスイスの友人にメールするし、もちろん彼も「こんな場所がいいんじゃないかな? もちろん、メンバーには俺が入るぜ」てな具合で返事をくれるし。Class of….ってそんな感じだ。
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5月末。アメリカでは長い夏休みが始まる。
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ちょっぴり切ない思いが蘇る。そしてその季節は他でもない、僕のClass of 83、デビュー記念日があった頃、なんだかつい最近の5月に感じる。
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そして2023、新たにポップの時代とジャズの時代をくっつけた新しくてノスタルジックな、
Class of '88
があの頃のClassmates の手元に届く頃だ。
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音楽の旅は時空を超える。
完
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🔷『Class of '88』
🔷Teaserはこちら。
文・写真 大江千里 (c) Senri Oe, PND Records 2023
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