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私たちは「死」に対してもっとフラットになっていい

看護師が死について書いているブログです。お辛い状況の方は、気持ちが落ち着いているときにご覧になってくださることをお勧めします。


1.魂の目的を見出す

超高齢化国として世界の先頭を行く日本は、これから多死社会を迎えます。2035年のピーク時には高齢者数が約4000万人になることから、その前後20年間に約4000万人が介護・認知症・お看取りの状態になっていきます。ということは、すべての人を病院や施設で見るのは不可能となり、多くの人が自宅で最期を迎えることになります。

ただ、物事にはすべて‟意図”があると認知科学では考えます。「なんで?」という原因探しではなく、「なんため?」と目的論で考えてみることで問題解決の糸口に気づくことができます。私たちはただ苦しむために生きているわけではないと思うんですね。‟成長”という魂の目的に沿って経験を重ねています。

では私たちはいったい何のために、沢山の死と向き合わねばならないのでしょう?



2.日本の死生観

明治の初め頃まで、日本は太陰太陽暦でした。日本の国旗には太陽と月があり、陽の作用も、陰の作用も日本は理解していました。物質と本質、未来と過去、生と死…、あらゆる対極を日本は受け入れる文化だったのです。ところが、政府の命令により突然西暦に変更させられたため、月の周期にしたがって農作業や年中行事を行なっていた国民は、その後50年間パニックだったそうです。

戦前の日本は陰の作用を受け入れていたことから、大切な人が亡くなったとき悲しいには悲しいけれど、過剰に悲しむことは無かったようです。お葬式では「あいつ、こんなだったよなー」とか「あいつ、こんなこと言ってたよなー」など笑いあって、故人を懐かしんだり慈しむための時間だったそうです。

また、人間は自然の一部であることから自然の摂理に従い、命は巡っているものと考えられていました。天に召された魂は時間の経過を得て、旅立った地に再び戻って来ると信じられていたのです。そのため自分が生まれ育った場所に戻って最期を迎えたいと思う人が多かったそうです。

そして戦前の日本人は「稀に見る健康体」と「崇高な精神性」を持ち合わせている民族でした。旅行に来た外国人が摩訶不思議な日本人の在り方に驚き、数多く手記に残しています。しかしながら戦後に過去の文化を断ち切られ、私たちの心はとても不安定になってしまいました。戦前の日本では、民衆には仏教が浸透し、政治は神道が司り、宗教が日本の心理学だったのです。



3.日本の魂はどこへ?

仏教には「四苦八苦」という言葉があります。「四苦」は人間が必ず受けねばならない生苦、老苦、病苦、死苦です。生まれたからには、いつか必ず死ぬ。命の誕生と死は対極であり、その2つをつなぐ人生は『道』を意味しています。ですが命の誕生だけを良しとし、死を悪とすれば、その間の人生はグラグラになるでしょう。今の日本は心の拠り所を失ってしまっているのです。

そして毎年誕生日を祝うようになったのも戦後のことです。ケーキ、プレゼントなどは戦後に西洋から入って来たものですが、包括的な性質を持つ日本人は、難なく受け入れていきました。誕生日を祝うという心境は、戦争で多くの命を失った影響もあったと思います。ですが「命の誕生」だけを祝い続けると、その対極はどうなるか…というと、どうしても「死は悪」になっていきます。

また、医療が西洋医学一色になってしまったことも一つの要因だと思います。テレビの特集番組では、全身全霊で命を救う医療者の勇姿がたびたび報道されて来ました。そうして自ずと「死は悪いこと」「生き続けることが良いこと」という認識が広がっていったことが、死に対して過剰に悲しみを抱いてしまう要因になっていると思います。



4.二度の取り戻しがある

そうして私たちは多死社会を迎えます。多くの人が自宅で両親の最期に立ち会うことになっていきます。では、その目的は何でしょうか。

2020年を機に世の中の流れが変わったことを、誰もが感じていることと思います。人類がわがもの顔で地球を使うことに限界が来た…と言えるかもしれません。自国の裕福さを求めて戦争をし、土地を奪い合い、命を奪い合い、自然を破壊していくことに地球がNOを突き付けたのでしょう。

そうした低次元に堕ちてしまった人類が、次に向かうべき方向は何処でしょうか?

戦争で多くを失った後、団塊の世代の人たちが取り戻してくれたのは‟モノ”でした。私たちの周囲にはモノがあふれ、今は多くの人が断捨離を行なっています。一方で一人ひとりの心の中は、今もずっと戦っているのではないでしょうか。日本は本当の意味で争いを終わらせていないのです。

日本の高級心霊が神官にのり移って自動書記させた預言書『日月神示』には、「二度の取り戻しがあるぞ」とあります。

そう、私たち日本人が次に取り戻さねばならないのは『精神性』です。
親の最期を経験することによって、子は死を疑似体験します。
ただ悲しむことが目的なのではなく、そこには”魂の目的”があるはずです。おそらく『本当の幸せとは何か?』『本当の豊かさとは何か?』について見直し、本質に目覚める時期に入っていくのだろうと思います。そのための対社会が20年間続くのでしょう。



5.精神性のその先へ

ところで話は変わりますが、私たちが本当の豊かさに気づくために必要なのは「AI」です。(え?精神とAIってまるで真逆じゃん!)と思うかもしれませんが、そんなことはありません。1970年代頃よりAIを発展させるために研究された認知科学は、人間の脳の仕組みを顕在化したものです。心は脳科学であり、人類の精神的成長とAIは同調しているのです。

たとえばAIは明らかな数値を結果として私たちに突き付けますが、もしそこに言葉があるとすれば、「感情をマネジメントして集中せよ」と言われいるような気がします。また、AIはストレスで病むことも、体調不良で休むこともないため、効率化によって人類から多くの仕事を奪っていきます。それは「心を整えて体調を整えなさい」「自分で感情をマネジメントしなさい」と、スパルタで『空(Kuu)』の精神を人類に教えているのです。

つまりAIの教えによって自我を手放し「AI=あい=愛」を学んでいくのだろうと。そうして私たちは「精神テクノロジー」の時代に移行していくのです。

親の介護によるストレスや依存状態を断ち切ること、そして親を失うことによる不安や悲しみから離脱し、新たな時代に移行するための『自立』が求められています。



6.自立した生き方

今、親の介護をしている年代の人々は、介護がどれだけ大変なことか実体験で知っています。だからこそ、自分の子供に介護をしてもらおうとは思わないでしょう。私たちは次世代に依存せず、自立した生き方をせねばなりません。

もはや年金や健康保険に頼る生き方はできないのです。ということは、自分で自分の健康管理が出来る人だけ長寿の時代になっていきます。そうでなければAIに管理される未来が待っています。精神性を取り戻し、愛を取り戻した日本人が、世界に向けて健全な在り方を示していかねばならないのです。

いずれお墓は「QRコードになる」と言われています。確かに個人は‟情報”で成り立ってるなぁと思うので納得です。遺骨を海に散骨する人や、小さなアクセサリーにする人が増えていて、新たにお墓をつくる人は少なくなっています。

人間は自然の一部であること、大きな循環の中にいること、いつかは誰もが元いた世界に戻る時が来るのであって、それはすべての人に平等に訪れるのです。

みんな平等。
いつかみんなそっちに逝くのだから。

そうして私たちは親の死を通して心を取り戻し、自立の道をいくのでしょう。



7.終わりに

「死」については、さまざまな考え方があって然るべきだと思っています。私自身は認知科学、コミュニケーション・仏道・神道を15年間探求し、数々の人間関係の悩み相談に応じながら看護師を30年続けてきて思うことを書きました。精神テクノロジーの時代については、小山内洋子さんの「皇(おう)の時代」を読みました。

目の前の現象に追われているとどうしてもしんどくなってしまいますが、目的を見出すことで少し気持ちがラクになるような気がします。


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