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気持ちしか動かない

私は学生時代に吹奏楽部に所属していて、フルートを演奏していた。

思い返すと、学生時代には部活しかしていない。
夏休みの練習後にはエアコンの効いたリビングで数時間眠っていたりした。
受験生になってもその調子だったので、よく親に叱られた。

受験時期になってめちゃくちゃ困ったので、心の中で「みんな、いつの間に勉強してたんだよ」と恨み言を吐いていた。
私と同じ部活の人は不思議なほど私以外全員優秀だった。


そんな大好きだった吹奏楽だけど、結婚や出産以降はまるで興味がなくなり、目の前の事件まがいのことに手いっぱいになった。
厳密には結婚してから出産まで市民オケに入っていたけど、当然だがメンバーは社会人なので学生時代のような熱さはなく、ちゃんと生活の中の娯楽として活動していた。
出産してからも続けたいという思いは弱く、そのままやめてしまった。
もちろんご夫婦でメンバーとして楽しんでおられる方もいて、それは素直に羨ましかったけど。


私は音楽が好きだけど、結局あの頃の友達と演奏することが好きの素だったんでしょう。


しかし、ここ2年くらいずっと演奏したいという思いが戻ってきている。
家族がいるので少しゆるめの団体を探しているが、ゆるかろうがキツかろうが、吹奏楽だろうがオケだろうが、ない。
団体はチラホラある。
フルートの募集がないのだ。
フルート人口が多すぎるよ。


定期的に探している中で気になる団体を見つけたが、当然のようにフルートは募集していない。
さらにオーディションがあるという。
オーディションて。
もう何年も楽器ケースを開けていない。


そして一番のネックは年齢だ。
私はもう市民団体で言うと中枢スタッフくらいの域である。
そんな人が長いブランクを持って新人として入団するなんて。

オーディションに落ちたら生きていけない。
要するにどうでもいい、しかし強い羞恥心が邪魔をしている。


迷っているあいだにどんどん年を重ね、ブランクは伸びていく。
とりあえず恥をかいてみる覚悟を決めたい。
長期間考えすぎて、募集していないのにオーディションを申し込んでみるかという気持ちも出ている。いやいやこれはムリー。
とりあえず目標は、今年中に問い合わせをすること。頑張れよ私。



数日前の夜、なんとなくつけたテレビでN響が演奏するラヴェル作曲ボレロが始まった。
繰り返される旋律で、どの楽器が組み合わさっていくんだろうと思いながら聴いていた。

その中で、すごく楽しそうに演奏するビオラの人がいた。
そして指揮者もニッコリしていた。
少なくともこのステージの上は、音楽を奏でることに幸せを感じている人たちがいて、平和な時間なんだと感じた。


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