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受け継いだのか、こうなる


私や弟がこの世を去ったら、祖父や祖母の存在は消えてしまうのだろうか。たまにそんなことを考える。


ある日、下に落ちたものを拾おうとして私はかがんだ。
「!」
そして気がついてしまった。
その時私は、膝を肩幅に開いて少しだけ折り、そこに手を置いて体重をかけ、もう一方の手を床に伸ばしている。

他から見ると、お尻が体の頂点に来ている状態だ。
こ、これはアレだ。


小学生の頃、私は学校から帰ると、毎日のように自転車でそろばんとか友達の家に出かけた。
同居していた祖父母は専業農家だったので、晴れの日は畑で仕事をしていた。
そこを通りかかると、遠くからでも
「おーい!!」
と手を振るのが楽しみだった。


祖父母もめんどくさそうに、必ず顔を上げて手を振ってくれた。


その、苗を植えたりしているときの祖父母の姿勢だよ。
大声で呼ぶ私に気がつくまでは、いつもお尻を空に向けて仕事していた。
確かにずっとしゃがんでいるのは疲れちゃうよな。


しかし、先日のゴミを拾う私は自分の姿勢に老いを感じた。
というか老いでしかなかった。
あの時の懐かしいおじいちゃんとおばあちゃんの姿勢だった。
これはリレーだと思った。


祖父母には申し訳ない(?)が、気がついてしまったからには少しでも若くいたいので、この姿勢は直します。

自転車の鍵を開けるとき、洗濯物を干すとき、とにかくかがむときは膝を曲げる。絶対に開かない。
なかなか筋肉を使っている気がする。


そして、あの時の祖父母に近づいてきてるんだなあと、あの時の自分が祖父母にとってどんな存在だったのかを考え始めたりもしている。

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