(詩)マロネ
炬燵の朝は早くて
お尻は暑いのに顔は寒い
わたしはぶるぶると震えながら
夢と現実のはざまをさまよう
私は着物を着ていた
君が一昨年着ていたものよ
要はお下がり 憶えてるかしら
少し大きいけれど良かった
いつも一緒にいる気がしたから
君は炬燵で眠る私に
いつもの優しい声で言った
おいで 散歩に行こうとね
けれど私は気づいているの
これが最後のお別れだって
幸せは休息なの 苦しみの中のね
だからもう少しだけ寝かせて
着物にしみ込んだ君のニオイを
忘れないように嗅ぎこむから
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