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【掘り返し日記】オタ婚活パーティー

 牡蠣先輩(https://note.com/sennoadabana/n/na3c808309cc8)に誘われて婚活パーティーに参加した話をしようと思う。男女の参加費が高額で均等な年収や職業まで開示しているやつとかではない。かなり緩いと感じた会だ。

 社員同士の付き合い+婚活ってどんなんかなぁという物見遊山の感情と、参加者は皆オタクの人であることが予め明記されていたオタ婚活会だったので参加すると返事をした。

 ついでに同じエリアで気の合うオタク友達(男女どちらでもいい) でもできないかな~と思ったのが理由の一つだった。
しかも参加しただけで図書カード500円分が必ず貰えるとのことだったので、のこのこついていった。

 当日、参加メンバーは牡蠣先輩を含む5人。
全員丁寧な余所行きの服を着て化粧もしていた。一応こういう場はスカートとか履いた方がいいですか?と事前に牡蠣先輩に聞いてスカートを履いて行った記憶がある。
「そんな私服なんだね!?なんかちゃんとしてるね!?」
と牡蠣先輩は驚いていた。職場ではTシャツと黒ジーンズ、ぎりぎりスッピンじゃないメイクの完全仕事用作業着姿しか見せてこなかったので驚いたと言われた。余所行き服もまあ数着はある。でも職場で着飾る意味がないだろ……仕事にヒラヒラはいらんのである。

 会場は街ビルの会議室だった。
 なんかパーティーとはほど遠いんじゃないか?というオフィス雑居ビルの一角だったのでもうすでに私は面白の気配するやん……と思っていた。
 中に入ると会議室机が中央に組まれていて、ペットボトルのお茶やジュースがプラコップと共に置かれていた。
 会場の係の人が、参加者の名前を確認し自己紹介を書く紙と名札につける番号を配っている。周囲は雑談したりそのままつっ立っていたりしていた。パーティー?まあ参加費無いしこんなもんだろうな……という感じである。

 係のひとりが「こういう場面で、男性からお茶をさっと出す方がいいですよ~」みたいなことを言ったりしていた。怠すぎる。……早くも帰りたくなってきた。帰りたいよ~。

 参加者がそろったところで自己紹介カードを書き込み、女性は一人ずつ用意された席に着席、男性が女性の席を回りながら一人につき2分、話をするという仕組みの説明を受ける。合計で男女合わせて30人くらいだったと思う。今からこの人数の人と2分ずつ話すの?怠すぎる……助けてくれ。絶対誰と何を話したのか覚えていられない。

 まずお互いのカードを読んで気になるところについて質問して回答するという流れである。その後もう一度時間と人数を絞って気になった相手と話をするらしい。時間短くないか?面接官の感情を味わうことができるヤツだ……と思いながら一人ずつと話をしていく。全然無理だ……。
もう少し深く話したい人の番号を控えてくださいね~などアドバイスを係の人が声掛けている。そんなん覚えられないけど?!急いで空いているスペースに番号と「○○の話した人」とメモを取った。

 話していて今でも印象に残っている人を上げようと思う。

・佐倉綾音さんが好きな人

ざっと見て声優の佐倉さんが好きだと書いてあったので、話を振ってみた。
私「かわいいですよね、あやねるさん」
相手「メリーかわいくて……胸がでかいし」
私「あ、わかります!夢喰いメリー見てました!メリーかわいいですよね!私も佐倉さんの声や演技がとても好きで同じ年の映画作品、蛍火の杜へのヒロイン蛍ちゃんもすごくよかったですよね!」
相手「あ~……知らないですね」
私「……今すぐ観た方がいいです。婚活してる場合ではない」
蛍火の杜へ」を今すぐ観てください。貴方が胸で判断してるのはわかったけども、まずは佐倉さんの最高声演技と最高作品をみろ。もうすぐ季節は夏になる。絶対今観た方がいい。


・超ロングポニーテール

めちゃ髪の毛長い。前髪もすべてまとめて一つくくりにして腰下、お尻付近まである。
そういうスタイルを好んでしている方なのかもしれない、トイレの時邪魔じゃないですか?上に持ち上げるんですか?と聞きたかったが容姿に対してあまり質問するのも失礼かと思い、何故今日来たのかをなんとなく話した。
要約すると高齢になった母の介護をしてくれる嫁を探しているという。そ、そうですか……頑張ってくださいねと答えた。

・上の服は萌えキャラドアップTシャツ、下はジーパンの内股が全面的に擦れ破れてる人

 すごいのきた。当時の記憶の中でかなり強烈な印象を残している。
萌キャラシャツは、まあ私もニャンコ先生柄のTシャツを部屋着にしたりしているので自由だと思いますが、ジーパンさ!?それ何!?びっくりしてしまった。しっかり見れなかったけど、擦れたジーンズの繊維が横線のみ残った紐状になっており内太腿がほとんど露出している。ファッションに疎いので、内股を敢えてダメージ入れるそういうデザインの服が存在するのか分からないけど、たぶん経年で変化した本物のダメージなのでは……?
 とてもじゃないけど会話を覚えていられなかった、そのジーンズについて質問したいのですがよろしいですかと聞きたくてたまらなかった。それしか履いてくるズボン、無かったのか?
 結局怖くて聞けなかった。
 全く歌詞は合っていないけど、中島みゆきの糸を聴くたびにこのジーンズを思い出して今でも困惑している。


・こういうのってサクラなんですか?と聞く人

相手「俺こういうの初めて来るんですけど、女性陣ってやっぱ会場が用意したサクラなんですか?」
私「……一応私は自分の意志で来ましたけど、図書カード500円分貰えるというのでついてきてしまった感じです」
相手「へ~やっぱそういうのがあるんですね~」

 年齢的に近かったのと、一番会話が成立していたのでこの人のことを覚えている。よかった話ができる……と思ってしまった。


・漫画やアニメが好きだが、周りにそういう話ができる相手がいない人

 
順番で一番初めに話をした人だった。自身の現在、オタク話相手が欲しいと話していたのと、ふんわりした喋り方で比較的聞き取ることができた。
あと、最初だったから覚えていた。


 気になった方の番号をいくつか書いて係に提出し、相手も同じようにこちらの番号を書いていたらもう一度話す時間を設けて、その場では成立という流れだった。
「最初に話した人(以下最初さん)」と「サクラですか?の人(以下サクラさん)」の番号を記入した。
その場で説明がなかったけど牡蠣先輩に後々確認したら、ピンと来る相手がいなかったら未記入でよかったらしい。その場で言ってくれよ。知らんよ。

「最初さん」「サクラさん」もこちらの番号を書いてくれていたので、解散時に連絡先を交換するかどうかの話になった。
正直めちゃめちゃ怠いので、躱して帰ろうと思っていた。サクラさんはこちらの感じを読んでいたのか
「まあ交換しなくてもいいですよね、あはは」
と苦笑いしていた。私も「ですよね~」と返した。ありがとうサクラさん。良い出会いがあることを祈ります。

最初さんの方はというと、めちゃめちゃ乗り気になってしまっていたのでうまく断れずにLINE交換をすることになった。
交換後早速、挨拶の文面がいくつか届き、やりとりをすることになった。本当に申し訳ないのだが、一連の人々とやりとりをしすぎて、誰かと付き合う気が全くなくなっていた。
 オタク語り友達から始めさせてほしいたのむ……の気持ちで好きな作品についてまず聞いてみようと思いLINEに返答する。

私「好きな作品はありますか?」
相手「逆に何が好きか教えて欲しいな」
私「定番ですけど、ジブリとか好きですね」
相手「ジブリ良いよね。ラピュタとか」
私「ラピュタいいですよね!私ラピュタだとポムじいさんが好きなんですけど」
相手「ポムじいさんwww?しぶいねwwww」

笑うとこか?ここ?ポムじいさんのシーンめちゃめちゃいいところだろ?ラピュタの中でも物語が一気に動き出す前の静寂が、そしてポムじいさんから語られる石の言葉の質感が最高のシーンなのだという話を、私はこのやりとりでしたかった。
 なんか分からないけど、直接話をした時よりLINEのやりとりだと、やや見下されている気もする。年齢的に下だったこともあるけどポムじいさんについてこのターンで笑うのは違うのではないですか?と思ってしまった。

 その後も何回かラリーをし、明日にでも食事に行こうと誘われたがポムじいさんの名を出して笑っていたことやその後の返答でも気になることがいくつかあって丁重にお断りし、終了した。
 相手も真剣に交際相手を探しているなら、私のような物見遊山に時間を割くのは申し訳ないと考えたからだ。


 Tシャツに作業着ズボンで行ってもよかったな。別に。とも思った。

 これが私の体験した婚活パーティー参加話である。
いろんな人がいるな……としみじみ思いながら、貰った図書カードで職場からの帰りに漫画単行本を買って帰った。


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