千年の孤独

まとまりのない、ただの備忘録

千年の孤独

まとまりのない、ただの備忘録

最近の記事

シャンタル・アケルマン 『一晩中』 人物が去った後の空間に映るもの。

 夜勤明けでキネマ旬報シアターに向かった。まだ外の明るさに順応できていない僕の体を、映画は夜の暗さで包み込んでくれた。 『一晩中』。とっても良かったので感じたことをメモしておこうと思う。  冒頭、赤い服の女が想い人に会うべきか悩んでいる。抑えきれず電話をかけるが、彼が出た瞬間電話を切る彼女。「彼を愛している…、彼を愛している…」彼女は家を飛び出し、彼の家へ向かう。 彼女が画面を横切ったり、タクシーに乗って闇に消えたり、人物が画面からいなくなった後もそのカットが続く。この映画

    • 『それでも私は生きていく』 感想

       「私の役目は映画に明瞭さを投下すること」 by Mia Hansen-Løve (アテネフランセ オンライントークにて)  冒頭ロングショット、サンドラ(レア・セドゥ)が画面奥から歩いてきて、後ろからくる車を気にしながら向かいに渡る。アパートの階段を上がり、緑色のドアを挟んで鍵の開け方を家主に伝える。父、ゲオルグである。 そのファーストカットだけで大変だけど、それでも歩くしかないのよという彼女の状況が伝わってくる。なぜだろう。ただ歩いているだけなのに。 フィルムによって捉

    シャンタル・アケルマン 『一晩中』 人物が去った後の空間に映るもの。