マールボロ

The Great Rock 'n' Roll Swindleでシドヴィシャスが赤マルを吸っているのをみて、一度だけ赤マルを吸ったことがある。金魚の僕でさえ咳き込むタール12。それでもシドに近づきたくて、タバコのチョイスはいつもマルボロだった。

靖国通りのエクセルシオールでブラッドオレンジジュースを飲みながら金マルをふかしていると、不服そうな顔の君がいる。
「見なかったことにしとくけど、やめたほうがいい」
普段は僕が何をしていても無関心なくせに、こんな時ばかり教師ぶるのだからずるい。カートコベインを思えば幾許かマシであろうと伝えると、ゴニョゴニョと言葉を濁す。

超音波と馬鹿にされるくらい甲高い声が嫌いだった。喫煙がマレーネディートリヒのようなハスキーボイスを作ってくれることを望んでいた。

それでも、貴様に、声が一番いい感じなどと言われると気持ちがゆらぐ、タバコも吸えなくなる。本当にずるくて嫌いだ(嫌いじゃない)。

英語を勉強したり、広報したり、民俗学を学んだりしています。