シューゲイザー

真夏のビーチサイドで、君が業務連絡の電話に出ている間、僕はしゃがみ込んで足元の砂浜を見つめていた。

早くエアコンのあるメッセに行きたいと思いながら、君の電話が終わるのを待っている。後頭部にあたる日差しが暑い。体育の授業を度々貧血で離脱するくらい軟弱な僕の体力が果たしてトリ前のアヴリルまでもつのかさえ疑わしかった。

君の周りの色々が僕は憎い。こうやって休日を邪魔してくる電話はもちろんだが、研究室に入室するときのカードキーの音も、クリスマスに洗わないといけないマウスの脳も、春からずっと君にちょっかいをかけている学部生の女の子も、それをうまくかわすようにいえない自分も。

今日は珍しく1日一緒にいられるという嬉しさと、それを早速邪魔してくる電話への嫉妬で気持ちはぐるぐるしている。不貞腐れた表情でラッセル・イェーツばりに足元の砂浜を見つめ続けていると、僕の体調を気にした君が覗き込んでくる。
「大丈夫?」

ほんと、イライラする。その瞬間に機嫌などすべて直ってしまう自分に。僕のイライラなど全て知らない君に。

「大丈夫。メッセ行こ」
言いながら立ち上がって君の手を取る。あとは、どうにでもなれ。

英語を勉強したり、広報したり、民俗学を学んだりしています。