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関係案内所「漢宿」

 私たちの関係案内所である「漢宿」の名前の由来は、メンバー4人ともが男であるという共通点からつけた名前である。男の魅力である楽しませる、ということについての覚悟を「漢」という言葉で表現し、地元の仲間や気心の知れた人と泊まるときのように、普通の宿泊施設では味わうことのできない楽しさを体験してもらおうという意味が込められている。外国のパーティーのような、誰とでも仲良くなんの隔たりもない場所をイメージしている。

ここからは私たち漢宿の関係案内所の概要について述べていく。

 1つ目が、ゲストやホストやホスト同士という繋がりを通して知らない世界を知ることができるきっかけを作る場所としての関係案内所である。関係案内所を作るということは自由工作のようなものであり、自由工作という何事にもとらわれない創造性が大切であると考える。関係案内所において、そこに身を置く人の意見を受け入れる姿勢が大事で、否定的な姿勢であっては想像の範囲内の世界しか作れないし、創造性がなければ、その関係案内所が意味のあるものにならないのだ。さらに、関係案内所を作るというのは自分自身を知ることにもつながる。関係案内所では意見を交換し合うことで、知らない世界を知ることができるし、それは逆に知らない世界を教えることでもある。このように、自分の世界について言語化することで自分の人生を振り返ることになり、自分自身を知ることに繋がるのである。関係案内所をつくることの本質は、自分から偶然の出会い、未体験なものに身を投げることで、自由な旅をするという表現ができるのである。

 2つ目が、偶然に身を任せることができるという場所としての関係案内所である。自然なままでいれて自然を阻害しない環境であり、新たな可能性を見出すこともできる。その可能性を求めるために「走る」人もいれば、「歩く」人もいる。それは自由な場所であることを現しており、急いだり、ゆっくりすることにより成長でき、また「止まる」ことで可能性を見出せ、自分自身の自然を見つけることができる場合があるのだ。非日常化の定着とルーティン化、日常とのメリハリがはっきりしていることで幸せを感じられることができるのであれば、関係案内所は非日常の主として捉えられ、その存在がある限り新たな自分へと変わり続けることができ、利用するかしないかは関係なく心に余裕が生まれ、視野が広がるのである。関係案内所を「つくる」ことは、このようなありのままの自然の姿でいれるような場所を作ることを意味し、それは新たな出会いの場となる。だが、自然に出会うこともあれば、意図して出会いを求めて利用する場合もあり、関係案内所をつくることでの出会いは、偶然的であり、必然性も兼ね備えているのである。その選択は自由であり、自分自身における関係案内所の立ち位置も自由である。つまり、関係案内所をつくる上で、一貫した自由があるのである。その心のより処となる場所をつくることが関係案内所をつくることであり、そこに出会いが生まれ、非日常が確立されていく。

 3つ目が、地元や母校の代わりになれる場所としての関係案内所である。現在私たちが受けている観光経済論の授業では、お互いのことを何も知らない人同士が集まり、自主的にグループワークをしたり何かについて話したりすることで、関係案内所をつくることをしてきた。しかし、実際は関係案内所を「つくる」ことが目的になっているというよりも、それは話し合いをする中で、自然にできているものであるのだ。つまり、2つ目にもあったように偶然の出会いの中でできていたのである。地元や母校というのは、労働と余暇で作られた社会を唯一忘れられる場所であるが、そこに戻ることは現実社会を生きていく上でとても難しいことであり、大人になればなるほど難しくなっていくのである。その中で、「関係案内所」という場所は、誰かと誰かをめぐり合わせる媒介になることであり、地元や母校の代わりになれる場所であると考える。小さなころからの友達や慣れ親しんだ場所をしんどい時や苦しい時にふと思い出して、勝手に心が落ち着く場所になっているように、関係案内所というのも、勝手につくりあげられているものなのである。

 これら関係案内所「漢宿」の3つの概要を踏まえた上で、私たちが実際に実現させるためにも重要だと考えることについて述べる。

 1つ目に、施設の場所とアクセスについてだ。関係者は多くの人たちに利用してもらいたいため、交通の便について考える必要がある。しかし、あまりにも日常と精通しすぎている場所は、関係案内所としての意義にそぐわない。そのため、直通バスを一本通すのが良いと考える。そうすることでバスに乗っている時間から、ゲスト同士の交流が可能となる。それと同時にこれから、非日常を体験することを自覚することにも繋げることができる。

 2つ目に、関係案内所で働くホストについてだ。関係案内所で働くホストは、色々な人に利用してほしいと考えるため、多言語対応ができる人など、幅広いニーズに応えることができる人材というのも大切だ。しかし一番大切なのは、そのホスト自身がその場所に愛着があることである。愛着がなければ、他の観光案内所との区別にならないからであり、関係案内所としての魅力を伝えられないからである。

 3つ目に、施設の設備についてだ。普通の宿泊施設のように、プライベートスペースの充実性に重きを置くのではなく、共同スペースの充実性に重きを置くことで、関係案内所としての機能を活かせると考える。

 以上のように、漢宿が考える関係案内所は、ゲストとホスト、あるいはゲスト同士という関係を通じて、偶然の出会いに身を任せ、非日常を体験することを目的としたものであり、その媒介を成す場所である。そこでは、地元のように落ち着く場所を求めることや、未体験のものを経験することなど、それぞれであり、自由である。しかし自由であるためには、多様性を受け入れる精神が大切であり、非日常を意識的に自覚することが重要であると考える。

「漢宿」メンバー
成田新太 奈良隼輔 渡辺流星 成田陽斗

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