見出し画像

この一瞬と人生と。

東大寺で研究されていた『華厳経(けごんきょう)』というお経に「事事無礙法界」というものがある。

事とは変わりゆく物事の一瞬のこと。変化しながら存在することの一瞬同士が相互に干渉しあっている状態がこの世界の構造だと示したのが事事無礙法界である。

事事無礙法界から出てくる「一即一切、一切即一」や「一即多、多即一」は一は一切(多)であり、一切(多)は一であることを言っている。一は一二三と数えられる一ではない。相対の一ではなくて絶対の一。

時間的に表すと、今の一瞬が人生全体であり、人生全体が今の一瞬であること。

もし今の一瞬に愚痴を言っているのなら人生は愚痴の人生であり、愚痴の人生を生きているのならば今の一瞬は愚痴で満ちている。

もし今の一瞬に感謝していたならば感謝の人生を送り、感謝の人生を送る人は今の一瞬にも感謝している。

時間の流れは過去•現在•未来と観念づけられているが過去も未来も現在に集約する。過去は現在に縁って在り、未来も現在に縁って在る。誰しもが過去も未来も生きられない。私が生きているのはただ現在のみである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?