見出し画像

あとがきのようなまえがき ~私が記事を書く理由~

簡単に自己紹介: 40代女性。産婦人科医。東京在住。日本育ちの台湾人。日本語、中国語、台湾語、英語を話す。

 武漢肺炎という単語を初めて耳にしたのは2020年1月7日あたりだったと思う。「武漢肺炎」とは今はもう言わないので、ここでは新型コロナウイルス(略してコロナ)と言おう。「中国発生の原因不明の肺炎」とくれば、台湾人は皆、2003年に起こったSARS(重症急性呼吸器症候群)を連想する。私も例外なく台湾のことが心配になった。しかし、日本メディア経由の情報は限られていたので、台湾メディアの記事を検索しながら、ときどき中国メディアの記事も読みつつ、状況把握に努めた。そのうち、台湾政府が出す情報が一番良質であることに気づき、2月初め頃から毎日の定例記者会見中継を見るようになった。台湾時間14時(日本時間15時)、できるだけ予定を空け、スマホを片手に台湾政府の記者会見が始まるのを待つのが日課となった。
 最初は記者会見を見るだけで十分満足していたが、感染状況が長引くにつれ情報量が増え、記憶に留めるためにメモをとるようになった。自己理解を促す目的でメモを整理していく中で、気づいたら台湾のコロナ対策についてとっても詳しくなっていた。有難いことに、台湾に関する記事は日本語でも英語でもたくさん出ている。しかし、とても良くまとまっている分、詳細に欠けると私は感じている。多くの記事がなぜ台湾がコロナ対策に成功しているのかを論じており、その内容に反論はないのだが、ある側面を切り取るだけでは成功原因を語りきれないのではと感じるようになった。だから、台湾の一挙一動をできるだけ詳細にここに書き記したいと思う。
 コロナ対策は、正解のない中で、どの国も暗中模索だったと思う。台湾は台湾なりに模索し、決断し、実行し、絶えず進化し続けた。そのど真ん中で尽力した人たちにもし質問したら、「台湾の対策は完璧だった」などと言う人はきっといないと思う。こう答えるだろう:「その時々のベストを尽くした」と。そんな台湾の姿が少しでも伝わると嬉しい。

注)文中の事実記載に間違いがある場合は教えて下さい。意図的なものではなく、単純に、筆者の勘違い、知識不足、文章力不足に起因するものだと捉えてもらえるとありがたいです。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?