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第28話 トルコ団体ツアー ~トルコの感染発見に寄与?~

2020年3月15日~3月18日

 2020年3月15日、台湾では新たな6名のコロナ感染者が報告された。そのうち2名は、トルコから帰国したツアー参加者だった。このツアーは、3月4日-13日ドバイ経由で台湾からトルコへ出かけた15人の団体。ツアー参加者全員が濃厚接触者と判断され、即座に在宅隔離を開始し、順番にPCR検査が実施された。

 翌日の3月16日、同ツアー参加者の中から更に3人の感染が確認された。この時点でトルコ政府が公表していたトルコの累計感染者数はわずか5人。ところが、同ツアー参加者の15人中5人が台湾帰国後に陽性と診断されているのに、トルコ国内がたった5人とは、どうもおかしい。トルコのデータと実態が乖離している、と台湾政府は判断し、トルコへの警戒レベルを高めた。

 同日、台湾政府は、トルコを含めた東欧13ヵ国、中東15ヵ国、北アフリカ5ヵ国、中央アジア9ヵ国を感染危険情報「レベル3」(最上級)と設定し、渡航自粛を国民に呼びかけた。また、これらの国からの入国者には14日間の在宅検疫を義務づけた。

 同ツアー参加者の中から、3月17日にはさらに4人、3月18日にはさらに4人の感染が見つかった。最終的に、ツアー参加者15人中13人が陽性となったのだった。

 ご存じのとおり(知らない方は、「WHO、台湾」でネット検索すればたくさん情報が出てくるので、そちらを参照していただきたい)、台湾はWHO(世界保健機関)からは閉め出されているが、自発的に国際保健規則(IHR)沿って行動をしている(注)。トルコ帰りの確定診断者が発生するたびに、台湾政府はトルコ当局へ報告した。

 トルコのその後の経過は、以下(WHOのホームページより抜粋)のとおり。3月16日より感染者増加し、4月12日にピークを迎え、5月22日時点で累計153,548人となった。

トルコ5月23日

 台湾の警告がきっかけになってトルコは自身の国内感染拡大を察知したのではないか、と私は想像している。私の想像の域を出ない話なので、事実確認が必要だが、十分あり得ることだと思う。


(注)国際保健規則(International Health Regulations; IHR)は、世界保健機関憲章第21条に基づく国際規約。
 国際的な公衆衛生上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern; PHEIC)を構成する恐れのあるすべての事象を対象とし、各国においてPHEICに関する評価を行ってから24時間以内にWHO(世界保健機関)に通告する義務を加盟国に課している。
 台湾はWHO加盟国ではないが、自主的にこの規則を遵守し、国際社会の一員として世界保健を守る義務を果たしている。

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