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第22話 新型コロナ対策本部、昇格

2020年2月27日

 2020年2月27日、行政院長(首相に相当)は行政院院会(閣議)で、新型コロナ対策を担う中央感染症指揮センターの開設レベルを最高の「第1級」に同日付で引き上げると発表した。陳時中衛生福利部長(厚生大臣に相当)が引き続き指揮官を務めた(末尾の組織図参照)。
 第1級開設になったことで、各部会(省庁)のより高い階級の行政官が指揮センターに詰めるようになる。迅速に防疫資源と人員を集結させ、より高規格でウイルスを迎え撃っていくという体制を整えたのだ。

 2月後半は、韓国、イタリア、イランでの急激な感染拡大が目を引いた。これらの地域では、指数関数的に感染者数が増え、あっという間に世界トップ3(中国を除く)に躍り出た。韓国では教会礼拝での集団感染が起こったことが報じられていたので多少予測できていたが、イタリアとイランに関しては急に飛び出してきたように私は感じた。そして3月には、ヨーロッパ全域に感染が広がっていったわけだが、私にとっては完全に予想外のスピードと規模だった。毎日更新される新規感染者数に、ただただ圧倒された。

 台湾政府がこの事態を完璧に見越していたとまでは言えないが(欧米での感染拡大を予測はしていたが、想定していた以上に急だったと陳指揮官は後日語っている)、常に先回りして最悪の事態に備える姿勢は素晴らしかったと今あらためて思う。
 2月27日時点での累計感染者数は、韓国1766人、イタリア400人、イラン141人、台湾32人だった。

 余談だが、WHO(世界保健機関)がパンデミック宣言したのは、そこから2週間も後の3月12日だった。WHOのパンデミック宣言を聞いて、「もう知ってるよ!!!」と突っ込みを入れたくなった人は私だけではなかっただろう。

(参考)中央感染症指揮センターの説明

https://covid19.mohw.gov.tw/en/cp-4771-53696-206.html (英語版)
https://covid19.mohw.gov.tw/ch/cp-4825-53646-205.html (中国語版)

CECC組織図1級

CECC組織図2級

CECC組織図3級

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