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【落選】第二回 U35京都朗読コンテスト 二次予選への取り組み

第二回 U35 京都朗読コンテスト|一般社団法人 朗読表現研究会| (rlabo.jp)

京都朗読コンテスト 二次予選に参加してきました。


結果

通過できませんでした!

審査中にめちゃくちゃ悔しがった分、今は前向きで、むしろまだ上手くなれるとワクワクしています。

コンテストをたたかう上での参考にはなりませんが、二次予選に取り組むイメージが膨らむと嬉しいです。
結果が出る前に書いた取り組みの様子をご覧ください!

朗読作品選び

選定の経緯

ものすごく迷いました。青空文庫って古い文体のお話が多いじゃないですか。正直、普段物語文を読んでないのに急に青空文庫が読めるわけなかったのです。

児童文学を中心に探しつつ、もっと深い話がいいと大人向けの話も見て、割とすぐ諦めて児童文学を見て…の繰り返しでした。

そうやって探しているうちに、とある一文を見つけました。

そのとき、ドブン。

宮沢賢治・作『やまなし』

あっ、これやりたい…(安直)

これを見つけた瞬間、一瞬で決めました。『やまなし』自体は、小学校の国語の教材で読んだことがあったんです。そのときは意味わからんなーとしか思いませんでしたが、今読むと頭に必ず綺麗な情景を浮かばせる大好きな作品になりました。

※ちなみに、二次で読むのは有名な作品にしよう、と決めていました。たくさんの人から高い評価を得ている作品なら、丁寧に読めばある程度様になるだろうという予測があったからです。普段朗読する時は、(この抽出部分はどんなふうに面白いのかな…)とめちゃくちゃ考えますが、一次と二次のスパンが短くてそんな時間はないと考えました。作品自体が、自分が好きなだけではなく、沢山の人が好きであると分かっていれば、かなり気が楽になります。

朗読箇所

 蟹の子供らは、あんまり月が明るく水がきれいなので睡らないで外に出て、しばらくだまって泡をはいて天上の方を見ていました。
『やっぱり僕の泡は大きいね。』
『兄さん、わざと大きく吐いてるんだい。僕だってわざとならもっと大きく吐けるよ。』
『吐いてごらん。おや、たったそれきりだろう。いいかい、兄さんが吐くから見ておいで。そら、ね、大きいだろう。』
『大きかないや、おんなじだい。』
『近くだから自分のが大きく見えるんだよ。そんなら一緒に吐いてみよう。いいかい、そら。』
『やっぱり僕の方大きいよ。』
『本当かい。じゃ、も一つはくよ。』
『だめだい、そんなにのびあがっては。』
 またお父さんの蟹が出て来ました。
『もうねろねろ。遅いぞ、あしたイサドへ連れて行かんぞ。』
『お父さん、僕たちの泡どっち大きいの』
『それは兄さんの方だろう』
『そうじゃないよ、僕の方大きいんだよ』弟の蟹は泣きそうになりました。
 そのとき、トブン。
 黒い円い大きなものが、天井から落ちてずうっとしずんで又上へのぼって行きました。キラキラッと黄金のぶちがひかりました。
『かわせみだ』子供らの蟹は頸をすくめて云いました。
 お父さんの蟹は、遠めがねのような両方の眼をあらん限り延ばして、よくよく見てから云いました。
『そうじゃない、あれはやまなしだ、流れて行くぞ、ついて行って見よう、ああいい匂いだな』
 なるほど、そこらの月あかりの水の中は、やまなしのいい匂いでいっぱいでした。
 三疋はぼかぼか流れて行くやまなしのあとを追いました。
 その横あるきと、底の黒い三つの影法師が、合せて六つ踊るようにして、やまなしの円い影を追いました。
 間もなく水はサラサラ鳴り、天井の波はいよいよ青い焔をあげ、やまなしは横になって木の枝にひっかかってとまり、その上には月光の虹がもかもか集まりました。
『どうだ、やっぱりやまなしだよ、よく熟している、いい匂いだろう。』
『おいしそうだね、お父さん』
『待て待て、もう二日ばかり待つとね、こいつは下へ沈んで来る、それからひとりでにおいしいお酒ができるから、さあ、もう帰って寝ねよう、おいで』
 親子の蟹は三疋自分等の穴に帰って行きます。
 波はいよいよ青じろい焔をゆらゆらとあげました、それは又金剛石の粉をはいているようでした。

宮沢賢治・作『やまなし』より抜粋

実はこの一節は二章の大部分で、この前には、

 蟹の子供らはもうよほど大きくなり、底の景色も夏から秋の間にすっかり変りました。
 白い柔らかな円石もころがって来、小さな錐の形の水晶の粒や、金雲母のかけらもながれて来てとまりました。
 そのつめたい水の底まで、ラムネの瓶の月光がいっぱいに透きとおり天井では波が青じろい火を、燃したり消したりしているよう、あたりはしんとして、ただいかにも遠くからというように、その波の音がひびいて来るだけです。

宮沢賢治・作『やまなし』より抜粋

という場面があります。
見て分かるように一文が長すぎて断念しました。

練習時に考えたこと

具体的に書いても冷めるので、抽象的&部分的に。

まず難しいのはセリフの読みわけです。登場人物が3人もいるのは、私にとっても初めてのことでした。しかも動物が喋ります(これは割と慣れてました。動物が喋る話は大好きなので)。子供の喋り口調をやるのは割と好きなので、お父さんの蟹が一番技術的に厳しかったです。最近の発声の練習がかなり助けになりました。

さらに、敬体の文章を朗読したことがあまりありませんでした。普段、自然な読みをするために、友達にこの内容を喋るならどんなイントネーションになるかを考えますが、今回はもう少し目上の人にしゃべることを想定して、文末の音の下り方を考えました。基本的にはなぜか息が多い時の方が自然に下れるので、今の実力で間を優先するのか息を優先するのか、バランスを考えながら取り組みました。

最初と最後の場面のようなきれいで落ち着いた場面も、あまり読んだことがありませんでした。暗くはないけれど元気になりすぎないように考えました。本当は低い声を使えたらと思いつつ、その技術が足りない分はスピードで調整したのが正直なところです。

持ち物の準備

そこそこどうでもいいですが、私はかなり迷ったので紹介だけします。

服装

これで良いのかはわかりません。

原稿

今まで2分以内でしか朗読をしたことないので、余裕でA4一枚におさまっていたんです。
今回6分も(私は実際のところ4分半でしたが)朗読するということで、何枚になるの?いつめくるの?と悩みましたが、最終形態はこれになりました。

Wordで枚数を4の倍数にしてレイアウト⇒ページ設定⇒余白⇒印刷の形式⇒本(縦方向に谷折り),印刷⇒両面印刷(短辺を綴じます)
で作りました。

イントネーションに沿った文字の配置は
9ジラジ!すごスキル!呉三津田高校 放送部!|大窪シゲキの9ジラジ (hfm.jp)
を参考にしています。

9月2日 大会当日の話

ホテル

いざ当日!!

学生らしく生活リズムをぶっ壊しているため、朝起きるとちょっと頭がボーッとしていました。そこで、ホテルでコーヒーを飲みました……結果、カフェインと緊張のダブルパンチでお腹下しました。コーヒーを飲むのは数学する時だけにしよう。

ホテルのレイトチェックインというシステムをぎりぎりに知れたおかげで、たったの2000円で2時間延長することが出来ました。その間はもちろん練習に使います。後から考えれば笑える話ですが、ホテルでは、いつもより声が出るなと感じていました。この時間帯にやっていたのは、おもにイントネーションと間の取り方の確認です。

レイトチェックアウトは13:00までしか出来ず、審査は14:00~ということで、半端な時間を作らないために少し早くホテルを出て、大会会場:rLaboの場所を確認してから近くのカフェで時間を潰していました。

審査

rLaboに10分前に着くと、前の方の審査中でした。受付の方と話しているうちに緊張を忘れ、前の方が終わってすぐに2階の会場に入りました。

6分の朗読ですが、審査時間は20分以上あり、たっぷりお話ができました。

読む場所と思われるところに椅子があり、試しに座ってみると足が届きません。ヤバい!!!!と焦って審査員の方に確認すると立ってもいいとのことで一安心。その後低い椅子も持ってきていただいたのに、結局立って朗読しました。(お手数をおかけしました……)

審査中に言われたことは「声が小さい!」声量が足りないということでした。
はじめは声が出せるけど出せていないと思われていたようでしたが、だんだん出す能力がないと気付かれていったと思います。

口の開き方についてアドバイスを頂き、練習方法に対する具体的で新しい視点を持って審査を終えました。

終わってから考えたこと

発声

現在どんな状況であるかというと、"何が出来ていないのか分からない","到達時点が分からない"という感じです。仮説としては、発声の質が上がれば声量も勝手に上がるはずなのに、私の場合なぜかそうなっていないのかもしれません。それで一次は誤魔化せてしまうけれど、二次は厳しいのだと思います。

ここで焦って練習するのは良くないので、まずは到達地点を把握しに、生の朗読・生の舞台をちゃんと見に行こうと思います。審査の中で、宝塚を例に出していただいたので近いうちに見に行きたいです。

また、これはモチベーションの話なのかもしれませんが、他の人と持っている声質が違うのに、発声の到達点はどう見据えればいいのか?と思ってしまう部分はあります。しばらくは声が似ている人を探す時間も必要だと思っています。

目線

「今は客席を見ようとしなくていい」と言われたのに、癖で最後まで前を見てしまっていました。

意識しているとか、どこかを見るべきだと思っているとかの確固たる意見があるわけではありません。もともと中学校の放送部では朗読よりも弁論に力を入れていたので、そのときの習慣が抜けていないだけだと思います。弁論をやっていた時は、原稿を持たずにステージに立つことも多かったので、原稿を見ることすら苦手です。意味のない癖は考え直します。

発音・滑舌

滑舌はいいと言われましたが、発音には何があるようです。(ここでは、発音は1音レベルの文字の聞こえ具合、滑舌は二音が繋がった時の文字の聞こえ具合だとします)口の中にちゃんと空間を作るということは、すぐにでも実験してみないとと思いました。口を大きく開けているつもりのときでも開けられていなかったことに気付けました。

表現の大きさ

単調・表現が小さいとは、正直よく言われます。
技術より性格だろうなと思っています。中庸を取れば大外しはしない、とどうしても思ってしまうので。

声の大きさが解決すればそれだけでも単調になりにくいだろう、低い音が出るようになれば浅い印象をなくせるだろう、と思ってるので、発声を頑張ってもまだ足りなければ取り掛かればいいかなと思っています。

終わりに

後から考えると、声を大きくしようとしてから、やりたいことの半分も出来なかったなと思います。
声を大きくするだけで出来ていたことが出来なくなるのは悔しいですが、その気持ちの分、学べたことはたくさんありました。

第二回 U35 京都朗読コンテスト|一般社団法人 朗読表現研究会| (rlabo.jp)

本選は、2023年10月22日(日)・京都市北文化会館 ホールで行われるそうです。

開催していただきありがとうございました。本選大会の成功と、これからもコンテストが続いていくことを願っています。というか、リベンジさせてください!!

おまけ

二次予選で朗読した箇所を、審査が終わってからおうちで録音しました!
『やまなし』より抜粋/宮沢賢治・作【朗読】 - YouTube


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