「実は、高校数学すらあやふやでした」それでも数学科に入った結果。
筆者は、2021年にとある私大数学科に入学した。この春に、無事留年せず四年生になる。
この記事では、「高校数学すらあやふやだった」筆者が、どのように数学科での学生生活を乗り切ってきたかを、入学前の私の疑問に基づいて紹介する。
—高校数学すらあやふやだったとは、具体的にどの程度だったんですか?
中学生の時に先取りをしていたので数IA IIBが一通り終わっていて、数IIIの微分積分も少しだけ齧ってました。でも、高校に入ってから本当に手を抜いていたので、やったことあるはずの分野も忘れていたし、複素平面や二次曲線は教科書に載っている内容すら知らない(見たことない)くらいのレベルです。いずれにしろ、学校の授業と宿題以外から得た知識は全くなかったですね。共通テスト(2021年1月)はIAが85点、IIBが67点でした。
—そんな状態で、なぜ数学科に?
こんな状態でも、数学が1番マシでした。理科なんて共テ3割でしたし。勉強自体が嫌いだったんですが、数学だったらギリギリ許せるかなという感じです。数学以外の勉強をしなければいけない学科では生きていけないと思っていました。
—高校数学が分からなくて、数学科で困ることはもちろんありますよね?
ありますけど、入学前の予想よりは少なかったですよ。一年生で習う数学は線形代数・微分積分・集合と位相の3科目でした。このうち、困るのは微分積分だけだと思います。「sinxをxで微分したら何になるんだっけ?」のレベルでしたから、流石に授業での計算についていけなかったり、テストで解き終わらなかったりしていました。
あと、数学の授業は講義系授業と演習系授業の2種類があるんです。演習系授業というのは、問題集の中から解きたい問題を選んで発表する授業です。高校数学が分からない人は、簡単だとされる計算問題ができず、難しいとされる証明問題ばかり選ぶことになってしまいがちかもしれません。
線形代数や集合と位相は、高校数学が分からなくてもなんとかなると思います。
—数学があやふやなのに数学科に来たということは、他の科目はもっと悲惨だと思います。数学以外で困ることはありますか?
英語と理科で苦労しました。
英語に関しては、先生が日本語を一切喋らない授業が多いです。先生の指示が聞き取れなくて、宿題は何?とか今何やる時間?みたいなことで慌てていました。
理科に関しては、力学と電磁気学の授業を受けましたが、単純に難しすぎました。高校生向けの参考書を買って並行して進めていましたね。
—いかにも留年しそうな状況だと思いますが、留年しないコツはありますか?
長期的な目標を、3つのレベルで立てていました。レベル1は退学しないこと。レベル2は留年しないこと。レベル3は数学の単位を落とさないこと。
高校生のときに勉強をサボっていた人間が、より誘惑の多い環境で真面目に勉強できるはずがないです。周りはフル単を目指すと言っているかもしれませんが、無理です。だから、目標を高くしすぎないことは重要だと思います。
それから、たとえ授業についていけなくなっても授業に出席することです。分からないなりに聞いていたらだんだん分かってくることも多いんです。ずっと家から出なかったら勝手にメンタルが沈んでいきますし。私は、毎日大学に行けるように、特に卒業に必要のない授業を時間割に入れていましたよ。
—数学に自信がないけどこれから数学科に入学する人に伝えたいことは?
良くも悪くも、大学数学は高校数学の続きではないと感じています。だから、高校数学に自信がなくてもやっていける人はいます。後から高校数学の能力が必要だと思ったら、その時に復習したら大丈夫。ぜひ新しい気持ちで取り組んでほしいです。
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