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マッチングアプリで出会った人と3ヶ月で事実婚するまで#8 〜初めてのわたしの家〜

前回の出来事から4日が経った。
彼とカレーを食べた次の日から私は1泊で旅行兼就活に出かけ、生活習慣が乱れまくって疲れ果ててしまった。
帰ってきた日の夜にも予定があったので、わたしの家より新幹線の駅から近い彼の家に初めて訪問して少しベッドで仮眠をとらせてもらった(おしゃべりに大半の時間を費やしたけど)。その後、ライブビューイング会場でチケットをもぎるところまで着いてきてくれた。
結果として1週間のうち5日間は一緒にいた。付き合いたてからこんな感じで、彼はわたしに飽きたりしないだろうかと少し心配もした。この初々しいドキドキ感も早々に消え去ってしまうのではないかと。


次の日は彼の家に行く予定だった。もともとの予定ではこれが初めてのはずだった。
その日の午前中の予定は、疲れと低気圧で体を動かすことができずにキャンセルしてしまった。
16時に在宅勤務中の彼が退勤するのに合わせて、16時10分頃に彼の家に到着(準備するかなと思ったので)。ちなみに退勤したばかりで彼はまだ準備してなかった。
夕食は18時の予約を彼が取ってくれた。
それまで彼の部屋で過ごした。彼の部屋にはPS5があって、鉄拳を紹介してくれた。格闘ゲームは少し苦手だったので彼が一戦してゲームを変えた。
テトリスもした。ヒーリング効果のあるやつみたいだったけど、テトリスにただパニクるわたしにはなんの癒し効果もなかった。
彼が黙ってテトリスに集中しているとなんだか物足りなくなってきて、彼氏がゲームばかりで構ってくれないという悩みがわかる気がした。


お店は駅前にあった。彼のおすすめだけあってすごくおいしかった。変わりものの串が得意で、リーズナブル。

食事が終わった後は周りを散歩した。
近くには庭園があって、閉園後で人気もないからか塀の向こうに広がる木々は鬱蒼としているように感じる。わたしは土地勘がなかったので、道は全部繋いだ手の向こうの彼に任せていた。

お互いの初恋の話をした。
元恋人の話は嫌がる人もいると聞くし、初恋ならば完全に思い出だからエンターテイメントとして楽しめるかなと思って、わたしから聞いた。

彼の初恋の話。幼稚園のときに彼女にバレンタインのプレゼントをしたこと。高校まで一緒だったことも。
いつだったか彼のFacebookを覗いたときに、その少しめずらしい彼女の名前があったのでなんだか嬉しくなった。

わたしの本当の初恋は小学3年生だった。それまでも恋愛ごっこはしていたけれど、気づいたらその人のことを考えていて、それが本当の恋だと気づいたのは10歳の頃だった。
2歳上の兄の友人。中学に入っても名前を呼び捨てされることにドキドキした。
高校に入って彼女ができたと遠い噂で聞いて、その後のことは何も知らない。

2月の肌寒い夜。人気はほとんどない。行き先なんてどうでもよくて、お互いの話にじっと耳を傾けて、周りに人がいなくなればキスをした。
今でもわたしたちはこんな感じだ。こんな感じでなくなってしまったときがわたしたちのおしまいなのかもしれないとも思う。


駅に着いた。彼が意図して連れてきたのかもしれない。
閉店間際の駅ビルを少しだけうろついて、わたしは家に帰ることになった。
「またね」そう言って改札をくぐったら、すぐ後ろで誰かも改札をくぐった。
彼だった。
「途中まで送っていくよ」そう言って一緒に電車に乗り込んだ。
途中までと言わず、彼は家まで来た。
もともと彼がうちに来る予定だったXデーまではあと4日。それに合わせてゆっくりと部屋の掃除や片付けを進めていたのだが、毎日使うものも多いので仕上げはもう少し先にしようと思っていた、のに。
家まで来たらハイサヨナラでも悲しいので、「うち泊まってく?」と言った。
いつまでも一緒にいたいという気持ちが、彼の行動やわたしの言動をつくり出している。

彼はうちに泊まった。
彼はソファ、わたしはベッドで寝ようとしたけれど、なんだか味気ないので彼をベッドに呼んだ。シングルベッドは2人では狭すぎて、身動きが取れないわたしは寝付くことができず、起き上がるわたしの動きで目覚めた彼に「大丈夫大丈夫」と言いながらソファに移動して4時間くらい眠った。体が痛かった。

朝支度を始める彼に気づいて、ベッドで眠るよう促されて移動して、彼が布団をかけてくれた。彼が出ていくのもわかったけれど体が動かなかった。
昼過ぎに目覚めて、「ごめん今起きた 送ってあげられんくてごめん」と連絡を入れた。
このところ睡眠を規則正しく取れていなかったわたしの身体はボロボロで、お泊まりは頻度を上げられないと思った。
「わたしの体力がなくて不甲斐ないけど、しばらくはお泊まり週1までとか決めないとだめかも」と送ると、「これからは22時コミットでデートも企画しよう 泊まるときも僕がソファで寝ます 最近はすっ飛ばしすぎたね笑」と返ってきた。

まだ付き合って17日目。お互いが心地いい距離感を少しずつ探っていけばいい。そのときのわたしは呑気にそう思っていた。
ただでさえキャパが小さいわたしの体力は着々と限界に近づいてきている。

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