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彼氏のいなかった4年9ヶ月を振り返る

恋人ができた。4年9ヶ月ぶりに。

18歳で付き合った彼氏と22歳のときに別れて、それ以来ちゃんとした彼氏ができていなかった。
何もしていなかったわけではない。マッチングアプリは通算2年以上使って1000人くらいとメッセージして、そのうち30人近くとは実際に会ったと思う。婚活パーティや相席屋に参加したのは1回や2回じゃない。合コンも行った。社会人サークルとかも入ってみた。
出会いは山ほどあったわけで、わたしのことを好きになってくれた人もいたわけで、それでも彼氏ができなかったのは2つの要因があったと思う。

・自分のことを好きになってくれた人を好きになれない
・自分が好きになった人に好かれない(都合よく扱われることさえある)

これあるあるだよね!?
そしてこんな人数の先に出会えた1人って奇跡だよね!?

でもやっぱり、これだけの人と関わって変化していったからこそ彼に惹かれたのだと思うので、ここでその軌跡を整理したい。


1人で生きていけるようになった

もともと実家暮らしのときも1人飲食店に抵抗はなかったし、現地のツアーで海外旅行に行ったこともあったけど、一人暮らしを始めて行動の幅は広がった。
国内旅行、街歩き、バー通い、ジムにプール。1年も経てば孤独感はなくなって、毎日1人で何をしようかワクワクするようになった。

結婚して幸せな人、諦めていそうな人、今まさに結婚しようとしている人、離婚した人、独り身を貫いている人、いろんな人に会った。自分のことも少しずつ認めてあげられるようになった。
体調のせいでうまく働けず、お金には苦労しているけれど、最終的には国の保障があるし結婚できなくてもまあなんだかんだ生きてはいけるだろうと思っていた。


恋愛に対する心境の変化

昔は駆け引きもしたかったし、モテたかったし、失恋もしたかった。熱を帯びた恋愛に憧れていた。
元彼とは進学や成人のタイミングで一緒にいたから、世界が広がったことで好奇心を抑えられずにケンカを繰り返した。
昔から恋人を次々に変えることや夜の相手をつくることは自分には合わないとわかっていて、1人の人を一途に愛することが私の得意とするところであることも自覚していた。だからこそ彼氏がほしかった。

駆け引きって健康な男女がやるもので、自分のように体調を崩すと人との連絡を絶ってしまうとうまくいきにくい。わたしみたいな人間は結局駆け引きすらもさせてもらえないのだと諦めていたこともある。
たしかにモテた時期もあった。でも寄ってくるのはちょっと変か人間として尊敬できない人ばかりで、結果ストーカー化して大変な思いもした。
失恋。するもんじゃない。言わずもがな。というかわたしの場合は依存。
相手が現れなくて、結果的に夜の相手をつくったら知らず知らずに依存した。仕事という居場所がなくて、社会から隔絶されているようで、自分が希薄に思えて、居場所をつくりたくて、レペゼン居場所に依存。メンタルで食事がとれなくなるのはきっと生まれて初めてだったので、これが唯一にしたいところ。

4年以上かけて彼氏こそできなかったものの、わたしはいろんなことを経験して、恋愛に対して貪欲になりすぎず落ち着いて考えられるようになったのだと思う。
愛し合って、でも同じ強さでぶつかり合う恋愛は元彼でもういいやと思えるようになったし、自分的には十分モテてその蜜も吸ったし悪いところも引き受けた。
自分のことを少しずつ認めてあげられるようになったことで、他人に対して過度の期待を寄せることもやめたし、自分を引っ込めるタイミングも掴めるようになってきた。

今は恋人がいて、きっとこれが最後の恋になると思っていて、一生ひとりかもしれないって心配はしなくていいことに安堵しているのと同時に、もう駆け引きもモテも失恋もしなくていいことに何よりほっとしている。


”悪い女”化の経験

相手を複数抱えたり、とっかえひっかえする女のことをわたしのなかで勝手に”悪い女”と呼んでいた。
悪い女は、ある一定遊んだら落ち着いてとっととイケメン旦那捕まえて可愛い子どもを作っているような気がする。
学生時代から周囲を見ていると、男性経験を重ねるごとに階段を上るようにいい男を見つけているような感じがした。
そうか、悪い女の方が人生お得なんだ、となんとなく感じていて、でも母から高潔であれと教え込まれて育ってきたわたしは実家時代は悪い女に嫌悪感を抱いていた。

いろんな人と出会うと、悪い男も寄ってきた。
わたしは自己肯定感が低い。人に嫌われることを極度に恐れて断りきれずにいると流された。人に言えない関係性の背徳感にゾクゾクした。自分の定義で立派な悪い女になった。でも向いてないのでそんな相手に勝手に一途になり嫉妬し依存する。
そんな生活に疲弊して、なにかを変えなくては、世界を広げなければと動き始めたときに出会ったのが彼だった。
全部経験して、十分だと思ったタイミングだったから、彼に対して過度な期待を寄せずに彼自身を見ることができたのかもしれない。


価値観(大偏見あり)と失敗

カップルはだいたい釣り合うと思っている。
美女には美男かお金のある人がくっつくし、ブサイクの相手はそれなり。
じゃあ自分の立ち位置はどこにあるだろう、と思うと、どう考えても自分の好みのタイプは寄りつきそうにない。
わたしのタイプは真面目で誠実で頭のいい人で、片や自分は満足に仕事もできない精神疾患持ち。
こんな女の子一緒にいたら絶対楽しいじゃん!と思われるようにセルフプロデュースしてるつもりでいたけど、それでもスペック考えたら確実に振り向いてもらえそうにないし。
理想が高すぎるだろうか、と思った。「次に自分を好きになってくれた人と付き合おう」と思ってそうしてみたこともある。
結果は最悪で、話し合いができなくて心の傷を負った。LINEブロックしてもう会っても口を聞いていない。
自分の勘はちゃんと信用していいと悟った出来事だった。


「奢るくん」の爆誕から半ストーカーになるまでの学び

わたしは男心を知らなかった。わたしのことを好きな人が常にワンチャンを狙っていたなんて露知らず、ちょっと気持ち悪いなあと思う部分がありつっ食事代や映画代をいつも出してくれるので、誘いに応じるだけじゃなくてわたしは気になっているお店や観たい映画があるときにその人を都合よく誘うようになった。

距離感を勘違いしたのか、その人はわたしに説教をするようになった。体調の安定しなかったわたしはそれが原因で体調を崩し、縁を切ることにした。
一度仲直りしたけれど、お互いの感情がすれ違っている以上はうまくいくはずがなく、わたしに彼氏ができたのを言い訳にして再度縁を切ろうとしたら毎日長文が送られてくるようになった。
最初の3,4日は返事をしていたものの、バカらしくなってそれもやめた。連絡は1ヶ月以上続いて、最後は「もっと後悔しな」という謎の一文で終わっている。

恋愛経験が少ない人は距離感を掴むのも苦手な人が多く、自分とは全く違う気持ちで接していることがある。
不用意に男性の好意に甘えてはいけないと学んだ。

恋活で恋人ができなかった理由と奇跡の1人

恋人を探す方法には人によって向き不向きがあると思う。
マッチングアプリや婚活パーティで恋人ができない理由は、評価者になってしまうからだ。
職業や年収をわたしはあまり重視していなかったけど、自分が気遣い屋なので相手のそれも注意深く観察してしまう。
服はよれていないか、ハイブラ好きじゃないか、待ち合わせに少しだけ早く来るか、わたしが疲れているのを察してくれるか、食事のマナーはどうか、会話の運び方はうまいか、歩き方や物の扱いは乱暴じゃないか。
1つでもうーんと思うと、全体に関してうーんと思うから不思議。他にもやりとりしている人がいるし、この人はもういいかなとなってしまう。
職場の人や馴染みのバーの常連は、普段接して人柄を理解している分そういったハードルが下がるのだろう。
だから自分にはマッチングアプリも婚活パーティも合コンもみんな合わないと思っていた(複数の占い師に運命の人は職場にいますって言われて浮かれていたのもあるんだろうな)。

しかしそんな彼と知り合ったのはマッチングアプリなのである。

一目惚れとかではないし、最初のメッセージも他の数十人となんら変わらない社交辞令で正直あんまり記憶がない。電話してみたら意外と気が合って(なんで電話したいと思ってくれたんだろう)、この人なら会っても楽しく過ごせると感じて次の日会うことになった。

彼のすごいところは、加点減点方式にしても減点要素が1つも出てこないこと(なんなら今日まで)。
むしろわたしがしようと思っていた気遣いを先取りしてくれる。わたしよりも人を慮ることが上手な人だった。実はわたしのタイプど真ん中でもある。
恋愛って理性でするものじゃないとはわかっているけど、この人が恋人だったら何も悩まずに付き合えそうだと思った。というか最初はそういうところから入ったくせに自然と惹かれていった。

婚活市場はスペック勝負になりやすい。わたしは地頭はいい方なはずだけど学歴はなくてスペックと言われてしまえばめちゃくちゃ低いせいで、いいなと思う男がうまくマッチしてこなかったような気がする。
彼氏がいなかったときは、目の前の人との合わない点を見つけては他にもっといい人がいるのではないかと考えてしまっていた。
今は違う。
彼は親友で、愛する人で、一緒にいて1番落ち着く人だ。
自分にとってこの上なく理想の人と理想の関係を築いていて、彼は自分のどこがいいと思っているんだろうとときどき疑いたくなってしまうくらい。

彼をすごいと思うのは、わたしが無職だし人生の中では太っている方なのにそんなことは気にせずにわたしの本質を見て、将来性を評価していてくれるところだ。
彼が見ているのはわたしの人柄。弱さは人に深みを増すために大切なエッセンスだと考えている。
わたしはこれまで1000人くらいと繋がりを持ってきたけど、自分にとっての減点要素がない且つそんなふうに自分を捉えてくれる人に出会ったのは初めてで、ここまで歩んだ道のりは長かったが無駄ではなかったと感じた。


恋人はいなくてもいい、と思っていたけど、恋人がいることでこんなに毎日温かくて充実するなら自分には彼がいてよかったなと毎日感じる。
わたしは今、依存せず、穏やかで満たされた生活を送っている。

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