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小澤メモ|Sb|スケートボードなこと。

1 スケボーマガジンSbというやつ。

第35号のタイトルは202X。
2002年創刊の流浪のスケボーマガジン『Sb Skateboard Journal』。年2回、春と冬にしゅくしゅくと発行してきた。最近では、世界的に人気のスケートボードだけれど、創刊時とそれ以前は、まだまだイリーガルなものだった。オリンピックの正式種目なんて夢のまた夢、そんなことありえなかった。で、このSbなんだけども、結局、オリンピックとは縁がなく、ずーっとストリートというか街角の都市伝説的な存在だった。それは今もこれからも。映画『ユージュアル・サスペクツ』でいうところの(身勝手に良く言うと……)カイザー・ソゼ、ザ・ブルー・ハーツでいうところのドブネズミみたいにだぜ。だから、発刊年数は18年も経ってるのに、まだ34号しか出ていなかった。メジャーリーグでいうところのプロ入り18年で一軍登板34試合、0勝5敗、防御率5.18といった感じだった。


第35号でついに初勝利なるか。
この5月末に出来上がった新しい1冊。当初は、オリンピック開催直前号の予定だった。といっても、中身はオリンピックから縁遠いページばかりだった。もとから、リーガルなところの影でスケートをひたすらするだけのスケーターの写真たちをかき集めていたSbだったから、通常営業、いつも通りではあった。しかし、そこに新型コロナウイルスという、とんでもない事態が重なってしまった。クローズドな社会情勢になって、それでも紙として制作する意味はあるのか。紙でないといけない根拠はあるのか。キバヤシくん、これはどういうことだ?! MMRマガジンミステリー調査班に聞きたいくらいだった。そんなとき、東京より先にロックダウンしたパリやロンドン、ニューヨーク、そして旧知の仲のポートランドのフォトグラファー、ジョー・ブルックらと連絡を取り合い、この今の世界的危機の状況を、ストリート目線で記録しておこうということになった。

そして出来た35号。

ということで、危機的状況下だったけれど、そんな中でも、「あっ、スケートだなあ」と感じた瞬間をあえて書き残しておくことにした。コロナ禍や香港での大規模デモなど、2019年から2020年のたった今も起きている深刻な出来事、続けさまにやってくるトンデモなことに対するスケーターの目線、スケーターだからこそのオピニオンを記事にしたのだった。この困難を克服したいつかの日。その先の未来に、また何かトンデモなことがあったとき。そんなときに、未来のスケーターが参考にできるかもしれない。そういう1冊になったら、そのときこそ、流浪のスケボーマガジン『Sb Skateboard Journal』が初勝利をメイクしたと書いてもいいかもしれない。一軍登板何試合できるのかわからないけれども、ぶっちゃけ何が勝ちなのかわからないのだけれども、背表紙にイカす広告とともにバーコードを提げて書店に並んではいるのだから、Sbにもチャンスはあるんじゃないかと思った。誰かのためになるかもしれないと思っている、思っていた。スケボーマガジンなのに、表紙は、香港のビーチでチルする名もなきオッサン。異国のマガジンのカバーガールならぬカバーオッサンに。1

(写真はSb中面より。Parisパート)

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