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小澤メモ|NOSTALGIBLUE|思い出は青色くくり。

8 男女7人夏物語。

バブル時代。
懐メロの歌が聴こえてきて、たまたまその曲名を言い当てたりしたものなら、年下の女性に「さすが、バブル世代」と、軽くディスられたりする。オッサン扱いされるのは全然嫌じゃないし、その通りザ・オジサンなのだけれど、バブル世代に繰り上げ編入というか、ブチ込まれるのには抵抗があった。たしかにその昔、バブル時代という摩訶不思議な浮き足立った時代があった。しかし、当時すでに大人で、経済的な(推定金持ちな)特需や恩恵を受けた人たちこそが、バブル世代だと思っている。こちらは、バブル時代のときはティーンのガキんちょ。親や周囲の大人たちのおこぼれにあやかっていたに過ぎない。お年玉が千円から5千円に、伊豆への家族旅行は北海道のスキーリゾートに。とか、5千円のお年玉が1万円になり北海道のスキーリゾートがハワイに。という感じだ。ま、こんな細かいことを言うのが、オッサンの真骨頂でダメなところだけど。ガキんちょがイメージしていた当時の風俗は、ボディコンシャスな女性の運転手(アッシー)を嬉々としてやる、肩パットがガッツリなDCブランドのセットアップで武装した男が、ディスコ?!では、すげえパッションで踊っている。という感じだった。

思い出せるだけ思い出してみる。
他にも地上げ、セゾンカード、ホイチョイプロダクション3部作など、知識として知っているワードが浮かぶ。そんなバブル時代に名を馳せたもの。例えば、としまえん遊園地やドラマ『東京ラブストーリー』とか。それが、今年クローズするということでニュースになったり、今年リメイク版が配信されて話題になったりした。それに乗っかって、トレンディドラマ『男女7人夏物語』について、思い出せるだけ思い出してみることにした。ちなみに、当時中学生だったので、ちゃんと見たことはない。そして、個人的にバブルというと、このドラマがなぜか真っ先に出てくる、その理由は自分でもわからない。ただ、年下の女性に「さすが、バブル世代」と言われるたびに、頭の中には明石家さんまさんの気取った顔が浮かんでいる。夏の東京。隅田川に架かる橋の端と端に住んでいる明石家さんまさんと大竹しのぶさん、という設定。セクシー感を出す奥田瑛二さんを泳がせつつ、明石家さんまさんは、3枚目という猫をかぶっているつもりの影番長2枚目気取り。当時、そんなふうに思った。

男女7人夏物語。
バブル時代といったら、この『男女7人夏物語』(1986年夏)から『東京ラブストーリー』(1991年冬)まで。明石家さんまさんのブーツグラスのビールから、江口洋介さんのロン毛まで。どの男性にも、大判のスーツに隠しきれない自信満々が漂っていた時代だった。主題歌『CHA-CHA-CHA』は、石井明美さんのデビュー曲。かなり売れた気がする。そして、まだこの時は、片岡鶴太郎さんは、女性誌による抱かれたくない男ランキングの常連で、リーゼントみたいに絞ってチョロっとやった髪型をしていて、イカしていた。その抱かれたくない脂ギッシュな路線を継承していたはずの出川哲朗さんが今や老若男女問わずに大人気。そんなところだろうか、『男女7人夏物語』について思い出せるのは。それともう一つ。このドラマに出てくる隅田川の夜気と橋が醸し出す都会の夏感。それは、田舎の中学生では計り知れない大人のバブリーな魅力に見えたのだった。バブル時代、それは自分にとっては、真似はしたくないのだけれど、丸っきりダサいかといったらそうじゃない、そんな風に大人のひとたちのことを見ていた時代だった。
(写真は夏夜の東京・隅田川/2017年)

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