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【MA/米国株決算速報&銘柄分析】「マスターカード(MasterCard)」の概要, ビジネスモデル, 今後の株価見通し(将来性/成長性)を2022年第1四半期決算&Earnings Callから考察。

(全文無料で読めます)

このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。


マスターカード」といえば、VISAと並び米国の2大カード会社ですよね。日本でもキャッシュレスの流れが加速するにつれ、クレジットカードの存在感はさらに大きくなっています。

このマスターカードの本社がある消費大国の米国では、クレジットカードは日本以上に大きな意味を持つ存在です。VISA、マスターカードの業績動向を見れば、米国の景気すら占えると言っても過言ではありません。


さて、今回の記事では、「マスターカード(MA)」の会社概要・ビジネスモデルを、直近の決算結果(Q1-2022)含め掘り下げていきます。


秀次郎(Twitterアカウント)が担当者として随時更新していく予定じゃ。フォローしておいてくだされ。

中身は目次から知りたいところだけジャンプして読むと良いぞよ。全部読むのは大変じゃし、まじで疲れる故に投資を検討した時に「そういえば」的に活用していただけると有難いぞよ。ワイ自身も活用しておる。

(最新決算の詳細は以下目次記事に掲載していきます↓↓)


ちなみに現在の株価は以下の通りです。年初からの株式市場の下落に思い切り巻き込まれており、まだまだ移動平均線のセットアップ(50MA/200MAの順で並び、上向きになる上昇トレンド)は完了していません。しかし、直近は徐々に株価を戻しており、新高値である401ドルも近いです。

すでにマスターカードは規模も大きい銘柄で歴史もありますので、大化け銘柄には中々なり得ないとは思いますが、堅実なトレードとして入る機会はあるのかもしれません。現在ベースを形成しており、401ドルが買い場となっています。

マスターカードを分析する意義は、マスターカード本体の株式を買うのみならず、上記で述べたように米国の消費者動向、そしてマーケットの動向を見極める上での貴重な情報源としても活用できます。

しっかりマスターカードのビジネスモデルを理解した上で、業績動向を把握していきましょう。


◇ お知らせ

本文に入る前に、一点大事なお知らせです。今まで本記事のような決算速報は無料で配信してきましたが、今後さらなる「クオリティの底上げ」と、「発信領域の拡大」をしていくべく、2022年5月1日より有料マガジンにて発信させていただく運びとなりました。今後とも末永く、何卒よろしくお願い申し上げます。

(マガジンの詳細説明記事)



それでは本文に入っていきます。


会社概要


・企業名:Mastercard Inc.(ティッカーシンボル:MA)
・本社:
ニューヨーク州パーチェス

・設立年月日:1966年
・IPO(上場):2006年6月28日(NYSE)
・主要事業概要:世界各地で、「Mastercard」ブランドのデビット・クレジット・プリペイドカードを使用して買い物をする加盟店の銀行と購入者のカード発行銀行または信用組合の間で支払いを処理



Mastercardの歴史


  • 1940年代後半:マスターカードはアメリカのいくつかの銀行が、地元の商店で現金のように使える特別な紙を顧客に配ったのが始まり。その後10年の間に、大都市にある一つの銀行が、その銀行が選んだ特定の加盟店との間でカードによる支払いを受け入れるという、いくつかのフランチャイズが発展していった。

  • 1966年:これらのグループのひとつがインターバンク・カード・アソシエーション(ICA)を設立し、これが後にマスターカード・インターナショナルとなる。

  • 1967年:独立してマスターチャージへと社名を変更、1969年にマスターカード・インターナショナルへ二度目の変更。

  • 1970年代後半:ICAにはアフリカやオーストラリアなどからも会員が集まるようになった。国際的な成長へのコミットメントを反映し、ICAは社名をマスターカード・インターナショナルに変更。

  • 1980年代:アジアやラテンアメリカへの進出がさらに進んだ。

  • 1987年:マスターカードは中華人民共和国で初めて発行された決済カードとなった。

  • 1988年:ソビエト連邦で最初のMasterCardカードが発行された。

  • 1985年:シーラス社のATMネットワークを買収。

  • 1991年:世界初のオンラインPOSデビットネットワーク「マエストロ」を開始。

  • 2002年:ユーロペイ・インターナショナルと合併し、会員制組合から非公開の株式株式会社に転換。この変更は、2006年に実施された当社の株式公開(NYSE: MA)に向けて、マスターカードを準備するために行われたもの。

  • 2006年:マスターカード・インターナショナルからマスターカード・ワールドワイドへの社名変更を発表、NYSE上場。

  • 2009年〜2012年:MasterCardはイノベーションへの注力を強化するために、一連の買収を実行。2013年には、トルコのプロセッサーであるProvusを買収。

  • 2014年9月:Appleと提携し、iPhoneとApple Watchの新モデルにApple Payとして知られる新しいモバイルウォレット機能を搭載。

  • 2017年8月:人工知能と機械学習の分野で知的財産のポートフォリオを持つBrighterion社を買収。

  • 2021年:Morning Consultの最も信頼できるブランドのリストでMastercardは13位にランクイン。

  • 2022年3月:ロシアのウクライナ侵攻を受け、Mastercardはロシアにおけるすべての事業を停止すると発表。



CEOの経歴

マスターカードのCEOはMichael Miebach、マイケル氏です。風貌が無茶苦茶怖いです。仕事でミスしたら圧ヤバめで優しくアドバイスしてくれそう、そんな強面感があります。

Linked Inで職歴を見たらやはり超エリートでした。Citi Bank、バークレイズなど金融機関でキャリアの軸を作ったのですね。

2010年にマスターカードに入社し、中東とアフリカの事業を統括。2021年1月よりCEOに就任しており、実はまだ日が経っていません。

マスターカードCEOの他に、非営利団体アクシオンの理事、その他食糧、水、都市、気候などの重要な分野における解決策の研究と実施に取り組む世界的な非営利団体、世界資源研究所の理事も務めています。

世界経済フォーラムのビジネス・ラウンドテーブル、ビジネス・カウンシル、国際ビジネス・カウンシルのメンバーであり、ロナルド・マクドナルド・ハウス・ニューヨークの特別理事を務めているなど、多忙な毎日を過ごしていることが想像できます。

マルチに活躍しており、米国上場企業のCEOはどこもそうですが、桁違いにパワフルですよね。日本人の我々もこのアグレッシブなところは見習いたいところです。


主要プロダクト(ビジネスモデル)

マスターカードのビジネスモデルですが、当然「決済」ですよね。

私もマスターカードのクレジットカードは持っていますし、世界中でこのクレカを使って決済しています。カード(キャッシュレス)ビジネスは利益率が高く、錬金術とも言える商売です。

なぜソフトバンクの孫さんがあんなに躍起になってPayPayのダウンロード数を増やそうとしているか?儲かるからです。


クレジットカードのビジネスモデルには主に5者が関与しています。


・我々のような一般消費者(カードを利用する人)
・カード加盟店(クレカを使えるショップ、レストランなど)
・カード会社(マスターカードやVISAなど決済システムライセンス業)
・イシュアラー(金融機関、カード発行して貸倒れなどのリスクはここが負う)
・アクワイアラ(カード加盟店を獲得する最強の営業部隊)


経産省資料


今時、現金を沢山持って外出する人なんて相当な田舎にしかいません。物騒ですし、面倒だし、支払いの時にキャッシュを数えるのは煩わしい。

ということでクレジットカードを利用することが一般消費者にはメリットです(支払いを月末にできるなどの側面もありますが)。


カード加盟店(レストランやショップなど)は、お店でクレカを使えるようにしておくことで集客が捗ります。クレカが使えない店は我々は不便に感じますよね。

最近は日本ではPayPayなど(米国ではPayPal、Square等)、キャッシュレスアプリが使えないともはや不便になっていますよね。

マスターカードの加盟店になれば、お店でマスターカードで決済したい消費者を集客可能。ただし、加盟店は決済の度にカード会社(&イシュアラー、アクワイアラ)に数%の手数料を支払っています。


つまり、カード会社(&イシュアラー、アクワイアラ)はカード利用者と加盟店を増やせば増やすほど「チャリンチャリン♪」とお金が湧いて出てくるような状態になるというわけです。最近はネットで商品を買うことも常識なので、インターネットの普及も大きな追い風になりました。

これは上記で紹介したペイパルなどのキャッシュアプリも同様の考え方です。ちなみに、イシュアラー、アクワイアラは役割が明確ですが、マスターカードなどカード会社は何をしているのでしょうか?

これは、電子決済ネットワークを提供しています。カード決済が行われる度に、取引をスムーズに精算しているということです。カード会社はこの決済ネットワークシステムの維持、開発、ブランド力向上などが原価になります。高利益率なビジネスだということを察することができます。


我々消費者は、実はこのカード加盟店で食事、ショッピングなどをすると「クレカ、便利♪」という気分になりそうです。


アメックスのプラチナカードで今日も華麗に決済…ふっふっふ


でも実はカード加盟店も基本的にカード会社にピンハネされる分を商品価格に転嫁しているものです。ですので、マスターカードへのコミッションを払ってるのは基本消費者です。得してるのか損してるのかわからないですよね。

クレカ年会費無料・・・しかし決済の度に手数料をピンハネされている・・・。知りたくなかったこの事実、キャッシュイズキング!キング!!

(キャッシュで払うとクレカ使ってないのにクレカ手数料転嫁された商品買うことになるのでもっと損です。料理や商品に転嫁しないで現金決済を勧めてくるお店もあります。あと、クレカ年会費有料でも払う人の方が多いのが実情です。悪いことでは決してないです、ステータスになったりするので。)

American Express(アメックス)とかは、消費者の承認欲求をうまく刺激して利用者獲得に励んでいますよね(アメックスやJCBはイシュアーもやってます)。


話が脱線しすぎました。

マスターカードのコアなビジネスモデルは上記と考えておけば良いと思います。マスターカードは210を超える国や地域で150を超える通貨での取引を実現させています。世界中でピンハネ・・・ではなくメリットある決済手段を提供しています。

当然、海外旅行保険とか、ポイントで高級ホテル一泊無料など様々な特典もあったりします。全てのサービスは顧客獲得のため。

PayPalやSquareもそうですが、このような決済手段を提供している会社の業績を見る際は新規顧客数、アクティブユーザー数、トータルペイメントボリューム(総決済額)が最も重要な指標になります。

MasterCard HP


また、この指標は米国をはじめとした「世界の景気」を占うのに最適です。不況だ、不況だと騒がれていても、どの指標を見れば良いのか?

人々の消費動向を観察すべきなのです。そして、カード会社の業績はまさに景気に連動します。


業績(Q1/2022決算)





Highlights:

Michael Miebach - Chief Executive Officer

ロシアのウクライナ侵攻により、2022年は数十年ぶりにヨーロッパに戦争が復活し、沈滞した幕開けとなりました。このような異常事態を受け、私たちはロシアでの事業活動を停止することを決定しました。
Mastercardは25年以上にわたってロシアで事業を展開してきたことを考えると、この決断を軽んじることはできませんでした。私たちは現在、ロシアでの事業を秩序正しく停止し、地域全体で社員とその家族の幸福を支援することに注力しています。

マクロ経済面では、特に世界各地の経済が再開し、パンデミック関連の規制が解除されるにつれて、個人消費は堅調に推移しています。

米国の小売支出は、パンデミック時の余剰貯蓄の蓄積もあり、引き続き健全です。
現金・預金および小切手を含むすべての決済手段を対象とする当社の第 1 四半期消費動向レポートによれば、米国の小売売上高(自動車およびガソリン を除く)は前年同期比 4.7%増となりました。

欧州では、ウクライナの侵攻により今後の経済成長に対するリスクが存在するものの、消費動向は 好調に推移しています。中南米は、2021年の力強い回復の後、引き続き緩やかな成長となっています。

アジアは、概して他の地域の回復に遅れをとっています。いくつかの国ではCOVID関連の規制が緩和されつつありますが、他の国はより強力な対策に直面しています。アジアは引き続き大きな上昇の可能性を秘めています。

Earnings Call



■ Revenue(売上高)

◇ Q1-2022:$5.14B/YoY+24%(予想$4.91B)◎

予想を大きく超えています。過去の推移は以下の通りとなっています。2020年はパンデミックの影響で成長率が大幅に下がりましたが、現在はパンデミック以前の水準まで戻していますね。


※YoY = year over year(前年同期比)

Q1-2019:$3,889M
Q2-2019:$4,113M
Q3-2019:$4,467M
Q4-2019:$4,414M
Q1-2020:$4,009M(YoY+3.1%)
Q2-2020:$3,335M(YoY-18.9%)
Q3-2020:$3,837M(YoY-14.1%)
Q4-2020:$4,120M(YoY-6.7%)
Q1-2021:$4,155M(YoY+3.6%)
Q2-2021:$4,528M(YoY+35.8%)
Q3-2021:$4,985M(YoY+29.9%)
Q4-2021:$5,216M(YoY+26.6%)
Q1-2022:$5,136M(YoY+24%)



クロスボーダー取引が好調です。


厳しい地政学的環境下でも、2022年は力強いスタートを切ることができました。当社は、特にクロスボーダートラベルにおいて、基本的な営業指標をさらに改善し、堅調な収益と利益を達成しました。

国境を越えた旅行が3月時点で、パンデミック開始以来初めて2019年の水準に達しました。地域的には、クロスボーダーの回復はすべての地域で改善され、広範囲に及んでいます。

Mastercardの支出傾向を見ると、引き続き力強い成長が見られます。国内では、小売、公共事業、専門職など、幅広い分野で好調に推移しています。また、航空会社、旅行代理店、宿泊施設、レストランなど、旅行やエンターテインメント分野でも力強い成長が見られました。


純売上高は、戦略の継続的な実行と継続的な消費回復を反映し、27%増加しました。買収による寄与は 2 ポイントでした。これらの収入は、主にクロスボーダーおよび国内の販売台数が想定を上回ったこと、およびクロスボーダー のミックスや為替関連収益が好調であったことにより、想定を上回りました。

Earnings Call




■ EPS(1株当たり純利益)

◇ Q1-2022:$2.76/YoY+59%(予想$2.17)◎

EPSも予想を超えています。マスターカードのEPSはどんな時でも底堅く、一流国際ブランドとしての貫禄を感じます。



※YoY = year over year(前年同期比)

Q1-2019:$1.78
Q2-2019:$1.89
Q3-2019:$2.15
Q4-2019:$1.96
Q1-2020:$1.83(YoY+3%)
Q2-2020:$1.36(YoY-28%)
Q3-2020:$1.60(YoY-26%)
Q4-2020:$1.64(YoY-16%)
Q1-2021:$1.74(YoY-5%)
Q2-2021:$1.95(YoY+43%)
Q3-2021:$2.37(YoY+48%)
Q4-2021:$2.35(YoY+43%)
Q1-2022:$2.76(YoY+59%)



EPSは、前年同期比65%増の2.76ドルで、これには一時的な税効果による0.36ドルの寄与と自社株買いによる0.05ドルの寄与が含まれています。当四半期は24億ドル相当の自社株買いを行い、2022年4月25日までに5億9,900万ドルを追加で購入しました。

Earnings Call


■ Operating income/Adjusted margin

◇ Q1-2022:3.0B/YoY+34%、調整後マージン57.5%

上記でビジネスモデルを解説しましたが、このマージンの高さがカード会社の最大の強みです。常に50%以上のマージンは優秀すぎる、というかズルいですね(笑)

営業利益もパンデミック前の水準をとうとう上回りました。


()内は調整後マージン

Q1-2019:$2.2B(56.9%)
Q2-2019:$2.4B(58.3%)
Q3-2019:$2.7B(59.4%)
Q4-2019:$2.4B(54.4%)
Q1-2020:$1.8B(55.3%)
Q2-2020:$1.7B(51.8%)
Q3-2020:$2.1B(54.9%)
Q4-2020:$2.1B(51.0%)
Q1-2021:$2.0B(52.9%)
Q2-2021:$2.3B(53.2%)
Q3-2021:$2.7B(56.7%)
Q4-2021:$2.8B(54.2%)
Q1-2022:3.0B(57.5%)




企業KPI

■ Gross Dollar Volume(GDV)

◇ Q1-2022:$1,919B/YoY+17%

GDVはMasterCardブランドのカードで購入した金額と、現金支出を集計したものです。バランス・トランスファー(クレジットカードの残高を別のクレジットカードに移す)やコンビニエンス・チェックの影響も含みます。

このGDVの大きさが、マスターカードの強さを示すと言っても過言ではありません。マスターカードの領土の大きさを如実に表します。


※YoY = year over year(前年同期比)

Q1-2019:$1,483B
Q2-2019:$1,383B
Q3-2019:$1,652B
Q4-2019:$1,730B
Q1-2020:$1,565B(YoY+6%)
Q2-2020:$1,377B(YoY+0%)
Q3-2020:$1,647B(YoY+0%)
Q4-2020:$1,747B(YoY+1%)
Q1-2021:$1,711B(YoY+9%)
Q2-2021:$1,904B(YoY+38%)
Q3-2021:$1,993B(YoY+21%)
Q4-2021:$2,113B(YoY+21%)
Q1-2022:$1,919B(YoY+17%)



GDV内訳:

やはり旅行が凄いです。グーグルの決算でも同様のことが触れられていました。

米国では、旅行に対するクレジット支出の回復と景気刺激策の周回遅れを反映して、クレジットが31%増、デビットが1%増となり、GDVは14%増となりました。米国外では、クレジットが20%増、デビットが18%増となり、取扱高は19%増となりました。

クロスボーダーの取扱高は、旅行関連のクロスボーダーの継続的な改善を反映し、欧州内のクロスボーダー 取扱高は50%増、その他の第3四半期の取扱高は56%増となり、当四半期は全世界で53%増となりました。

パンデミック発生後初めて、クロスボーダーの取扱量が全地域で2019年の水準を上回り、3月にはクロスボーダー旅行が初めて2019年の水準を上回りました。

Earnings Call


■ Switched Transactions and Cards

◇ Q1-2022:
・Switched Transactions:29B/YoY+22%
・↑and Cards:2,897M/YoY+4%

Switched Transactions and Cardsはマスターカード(ネットワーク)の総取引件数です。GDVと並び重要な指標です。こちらも堅実な成長を重ねています。

カード枚数の伸びが低いように見えるのは、ロシア発行のカードを除外していることも要因となっています。

スイッチング・トランザクションは、第1四半期に前年同期比22%増となり、2019年の150%水準となった。カードプレゼントの成長率とカードノットプレゼントの成長率は引き続き堅調です。カードプレゼントの伸びは、いくつかの地域で非接触型の普及率が上昇したことが一因となっています。

カード枚数に関しては、ロシアでの事業停止に伴い、ロシアの銀行が発行したカードは当社のネットワーク上で有効でなくなったため、今期のカード枚数から除外しています。従って、当四半期のカードの伸びは4%と低くなっています。もし、今年とそれ以前のロシア発行のカードを除外した場合、当社の成長率は9%となります。世界全体では、マスターカードとマエストロブランドのカードは 29 億枚発行されています。

Earnings Call


財務状況(資本配分/自社株買い/M&A)

■ 資本配分

自社株買いと配当を実施しています。

Q1-2022に24億ドルの自社株買い(残89億ドル)/4.79億ドルの配当を実施。過去に承認された自社株買いプログラムの残りは89億ドルとなっています。

Q4-2021は13億ドルで 370万株を買い戻し、4.34億ドルの配当を実施。


■ M&A

直近では、オープンバンキング領域の拡大に向け、「Aiia」の買収を昨年9月に発表しました。

Mastercard (NYSE: MA) は本日、単一のAPIを通じて銀行との直接接続を提供し、顧客が日常生活や仕事、遊びのニーズに対応した新しいデジタルソリューションを開発・開始できるようにするヨーロッパの大手オープンバンキング技術プロバイダ、アイアを買収する契約を締結したことを発表しました。

今日、強力なAPI接続性と決済機能を含むアイアのオープンバンキング・プラットフォームと専門知識は、品質への絶え間ない注力と相まって大きな成長を見せています。アイシアは、データプライバシー、セキュリティ、品質、アクセスを重視し、欧州におけるオープンバンキングのユニークなモデルを実現しました。アイアの顧客中心のアプローチと、シンプルに機能するオープンバンキングを実現しようという熱意は、Mastercardの既存の販売チャネル、テクノロジー、データ業務を補完するものです。

Mastercard expands open banking reach with acquisition of Aiia


また、McDonaldの最先端のパーソナライズプラットフォーム(エクスペリエンス最適化プラットフォーム)と意思決定エンジン会社である「Dynamic Yield」の買収契約を締結したことを4月に発表。

今月初めに Dynamic Yield の買収を完了しました。買収が完了した後は、Dynamic Yield のパーソナライゼーション・プラットフォームと意思決定エンジンを、当社のロイヤリティ・プラットフォーム SessionM とテスト&ラーン実験ソフトウェアの中に統合する予定です。その結果、真に差別化された消費者エンゲージメントとロイヤルティのハブが誕生することになります。

Earnings Call

マクドナルドは規模拡大と技術の統合を進め、顧客体験をさらに向上させる 補完的な提供により、取引の先にあるMastercardの付加価値を提供します。
Dynamic Yieldの技術は、ブランドがチャネルを超えてより効果的で信頼できる顧客体験を提供できるよう支援するMastercardの既存のサービス群に自然に追加されるものです。

Mastercard to Add to Services Momentum with Acquisition of Dynamic Yield, McDonald’s Cutting-Edge Personalization Platform


尚、マスターカードは様々な企業と提携を進め、決済の拡大を図っています。

消費者向けおよび小規模企業向けには、いくつかの新しい要素を含むウェルズ・ファーゴとのパートナーシップの強化を発表できることを嬉しく思います。ウェルズ・ファーゴは今後、Mastercardの中小企業向けクレジットカードを発行し、ほぼ10年ぶりに消費者向け独自ブランドおよび共同ブランドのクレジットカードを発行する予定です。

また、長年のパートナーであるCapital Oneとの関係をさらに深めたことを発表できることを嬉しく思います。既存事業の更新に加え、消費者向けおよび中小企業向け商品において、より多くの新規組成を行うための発行ネットワークとなる予定です。

さらに、中小企業向けには、First National Bank of Omahaとの間で中小企業向けポートフォリオを拡大し、同銀行および Verizonと提携し、Verizon の中小企業顧客を対象とした新しい Verizon business Mastercard を立ち上げる予定です。

米国外では、クララのような大手B2Bテクノロジー企業との新たな提携により、商業カードの成長を促進しています。

Earnings Call


FY-2022ガイダンス

◇ 4月の概況:

ロシア以外の地域でのビジネスの傾向をご理解いただくために、後ほど付録として、ロシア発行のカードによる活動を当期および前期から除外した場合のスケジュールから、すべてのデータポイントを示しました。

指標を順番に見ていきます。まず、スイッチの数量からです。4月の最初の3週間は、前年同期比で23%増、第1四半期比で4ppt減となりました。当期および前期からロシア関連の数量を除いた場合、スイッチング・ボリュームは第1四半期比1pt減の27%増となりました。

4月第1~3週までのスイッチ取引は前年同期比14%増で、これも主にロシア関連の取引がなかったため、8 ppt減となりました。なお、ロシアは平均チケットサイズが比較的小さいため、この指標への影響が相対的に大きくなっています。ロシア関連の取引を当期および前期から除外した場合、取引件数は前年同期比25%増となり、第1四半期比1pptの増加となりました。

4月第1~3週までのクロスボーダー取引量全体は、前年同期比60%増で、第1四半期比7pptの増加となりました。当期および前期からロシアを除いた同期間のクロスボーダー取引量は、前年同期比 65%増で、第 1 四半期比 13 ppt の増加となりました。

1 月末以降、国境規制が解除され、オミクロンとの関係が解消されたことにより、クロスボーダー旅行が急回復しています。4 月の最初の 3 週間は、前年同期比 179% 増、第 1 四半期比 38 ppt 増となりました。

国境を越えたカード非携帯型旅行については、4 月は前年比 5%増、第 1 四半期比では 8pt 減となりましたが、これは前年同期が好調であったことを一部反映しています。強調すべき点は、クロスボーダー旅行が2019年比110%と流行前の水準を上回っていることです。

Earnings Call

主なトピックは旅行需要によりクロスボーダー取引が2019年の2倍になっていること、ロシア関連取引停止で成長鈍化はどうしても被る、という点に集約されますね。


◇ FY2022:

まず、私たちのビジネスのファンダメンタルズは引き続き堅調であり、顧客との関係を拡大し、商品・サービスの提供を拡大していることを申し上げたいと思います。マイケルが述べたように、特に経済がさらに開放され、パンデミック関連の規制が解除されるにつれて、個人消費は引き続き堅調に推移しています。

とはいえ、インフレ圧力、サプライチェーンの制約、地政学的な不確実性、COVIDの感染率など、さまざまな要因を注視しているところです。現段階では、これらと個人消費に大きな影響はないと見ています。

国境を越える旅行については、国境の規制が緩和され、急速に回復しています。これは、私たちの当初の予想を上回る速さで起きています。当社は旅行志向のポートフォリオにより、この成長を十分に生かすことができるポジションにあります。

しかし、ウクライナ戦争やロシアでの事業停止などの影響により、このようなポジティブな傾向には逆風が吹いています。このような状況を踏まえ、2022年通期の売上高は、買収や特別損益を除いたベースでは引き続き10%台後半の成長率を見込んでいます。つまり、基本的には、国境を越えた旅行の力強い回復と個人消費の堅調さによって、ロシアとウクライナにおける相当な収益の損失が緩和されるため、同じレンジでの成長予想を維持しています。

Earnings Call

まだ今後アジアの国境を超えた旅行による取引も潜在的な需要を秘めていますが、ロシア・ウクライナなど様々な要因があり、予想は難しいという見解ですね。本当に2022年はイベントが盛り沢山ですね。


Earnings Call(Q&A)

こちらに日本語訳(調整済み)で全文記事にしてあります。重要ポイントは上記の決算数字項目に落とし込み、以下記事内ではハイライトにしています(太字)ので参考にしてください。


ここでは市場が最も関心を寄せている最初の質疑応答を記載します。


Q1)Sanjay Sakhrani - KBW

ありがとうございます。おはようございます。インフレについてお聞きしたいのですが。データ上、消費者の状態は良好であることは分かっていますが、縦軸のトレンドを見渡すと、消費者の状態は良好なままです。

インフレの結果、消費者の支出パターンに何らかの悪影響があるようなことはありますか?eコマースに関するコメントもありましたが、それについてお聞かせください。それについてお聞かせください。ありがとうございました。

Michael Miebach - Chief Executive Officer

サンジェイ、ご質問ありがとうございます。インフレの面では、先ほどSachinが申し上げたように、消費者の消費行動の変化という点では、まだ何も見えてきません。しかし、垂直的なミックスへの影響という点では見ています。ガス料金の値上げに関連して、当社の交換台数は1%増加しています。

航空会社にも若干のシフトが見られます。航空会社では、航空券の価格設定の観点から、再びインフレの圧力がかかっています。今後、どのように推移していくかを見ていかなければなりません。基本的に、私は消費者がデジタル空間に押し込もうとしていることに注目しています。消費者はオンラインでこうした習慣を学びます。それは今後も続くでしょう。そして、基本的な価格がどのように推移するか、そして、私たちがずっと言ってきたことに戻ります。

ここで考慮しなければならないのは、それぞれの国のマクロ的な事情です。金融財政政策はどうなっているのか、そしてミクロの面では、さまざまな縦軸のうち、どれがカード化されているのか、どれが見られるのか、見られないのか、です。特にヨーロッパでは、家賃やガソリン価格によるクラウディングアウト効果があるのでしょうか。そうかもしれません。しかし、それはまだわからないのです。


Q2)Harshita Rawat - Bernstein

こんにちは、おはようございます。マイケル、サチン、国境を越えた旅行についてお聞きしたいのですが、ここにきて非常に回復してきています。中国やその他のアジア地域が大幅に回復しなかったとしても、パンデミック前の水準である2019年以降に30%から40%程度の正常な水準に戻るシナリオはあるのでしょうか?

それとも、次のクロスボーダーの回復のためには、アジアと中国が戻ってくる必要があるのでしょうか?それから、サチン、フォローアップをお願いします。マクロの消費者支出が今後悪化した場合の収益見通しの感応度についてお聞かせください。ありがとうございます。

Sachin Mehra - Chief Financial Officer

ありがとうございます。まず、クロスボーダーに関するご質問ですが、おっしゃるとおりです。国境を越えた旅行が我々の予想を上回る勢いで回復しており、依然として潜在的な需要があります。私たちはガイダンスを考えるにあたり、クロスボーダー旅行の回復を将来にわたって織り込んでいます。このことをお伝えしておきたいと思います。

しかし、クロスボーダーについては、もう少し詳しく説明します。クロスボーダーのボリュームは、初めて全地域で2019年のレベルを上回ったわけです。上位20都市は、パンデミック前のクロスボーダー旅行全体の約70%を占めており、インベスター・コミュニティ・ミーティングで議論した際には2019年レベルの70%でしたが、2022年第1四半期には85%になっているとお伝えしています。

特に、アジア太平洋地域に関するご質問ですが、アジア太平洋地域は回復が遅れていることに留意することが重要だと思います。アジア太平洋地域のビジネスチャンスは、次のように考えています。アジア太平洋地域は、パンデミック前のインバウンド・クロスボーダー旅行総量の約14%を占めており、第1四半期では2019年のレベルの40%にとどまっています。

ですから、この数字からお分かりのように、アジア太平洋地域にはまだかなりの回復が残っているのです。もちろん、その市場でどのように規制が解除されるかは重要です。繰り返しますが、結局のところ、クロスボーダーのファンダメンタルズは非常に健全であるということです。これは、パンデミック直後から話していたことですが、規制が緩和されればクロスボーダーのボリュームは戻ってくると考えていました。

このような現象を見てきており、今後も基本的には、特に中国におけるEPは非常に健全であると信じています。1つは、中国はインバウンド、アウトバウンドともに、パンデミック以前はクロスボーダーのボリュームに占める割合がそれほど高くなかったということです。実際、中国へのアウトバウンドはインバウンドよりも若干多かったと思います。ですから、回復を考える際には、国へ入る人と国から出る人の間にどのような制限があるかということも考えなければなりません。

中国国内でロックアウトが発生したこともあり、中国への出国は中国への入国よりも改善されました。このように、クロスボーダーのファンダメンタルズは強いと思います。潜在的な需要は、国境を越えた旅行消費の改善に貢献し続けると思います。そしてまた、アジア太平洋地域は、今後ともかなり大きな機会であることに変わりはありません。


Michael Miebach - Chief Executive Officer

私たちは国境を越えた旅行が大好きです。しかし、このトレンドが好きな一方で、大変な仕事でもあります。この2年間、つまり旅行業界はパンデミックの発生当初から大きな打撃を受けたのです。寄り添ってきました。この2年間で、ジェットブルー、キャセイパシフィック航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、ラタム航空、アエロプラン、エアカナダなど、数え上げればきりがないほど、私たちは新たな販売量を拡大しました。

ですから、私たちは非常に重要な形でこのトレンドに参加しているのです。私たちは常に、今年はそれが起こるだろうと言い続けており、その準備はできています。


ーFINー

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