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エピソード16 戦争 前編

幕末エピソード16!

おさらい!

《薩土盟約》結ばれてすぐ解消。

《大政奉還》と《倒幕》のデッドヒートで《大政奉還》がゴール。

坂本龍馬暗殺。

《王政復古の大号令》からの《小御所会議》

徳川家、弱りきったところから盛り返す!

けども……。


まだ終わらない。

幕末ったら、一瞬も落ち着かない。

この時期、江戸の町で、浪人たちによる、掠奪、放火、暴行が相次ぎます。
で、その浪人たち全員が、江戸の薩摩藩邸に逃げ込んでいくんです。
そして、浪人たちは、庄内藩(山形県あたり)が集合している場所へ発砲するという暴挙に。

老中「薩摩の仕業だろ…これ全部……。ふざけろよ……。おい! 薩摩藩邸メッタメタにしてやれ!!」

庄内藩「当たり前だーーーー!! 」

怒り狂った幕府側は、庄内藩を中心とした軍勢に命令し、薩摩藩邸を焼き討ちにするんです。
この報告を聞いた大坂にいる旧幕府のみなさんも怒り狂います。

会津藩「薩摩がそんなことしてくれたのか……」

桑名藩「もう我慢できねーなー……」

旧幕府兵士「薩摩と戦争だーーーーーー!!」

慶喜「待つんだ!! 」

会・桑・幕兵「待たない!!」

慶喜「待たないのか!! 」

慶喜くん、完全怒りモードになった部下たちを制止することができません。
怒りの炎に包まれた旧幕府のみなさんは、

討薩の表(とうさつのひょう)

というものを朝廷に提出。

『王政復古の大号令以来のいろいろが、薩摩の陰謀っていうことは誰もが知ってます。江戸で悪さをしてるのも島津家のやつらなんで、こちらに引き渡してください。この意見が採用されないなら、やむを得ません。ぶっ殺します』

ハードです。もう、絶対戦います。
そして、この文章の感情そのままに、旧幕府軍は京都に入り、新政府軍と戦うことになるのでした。

この戦いのキッカケになった、江戸での浪人による暴動ですが、この黒幕……
西郷さんだという説があります。

慶喜側に有利な現状になってしまった今、大逆転を狙うには、直接対決しかない。
しかし、こちらが悪者にはなりたくない。そのためには、向こうから攻めてきてもらいたい。
そのために浪人に犯罪行為を指示し、庄内藩に向かって発砲までさせた……。
本当のところは一体どうなんでしょう。
ただ1つだけ確かなことは、日本国内で“戦争”が始まってしまったという事実です。

旧幕府軍(幕府陸軍、会津藩、桑名藩、新選組、見廻組、他の藩など)と、
新政府軍(薩摩藩、長州藩中心)は、
鳥羽街道(京都市南区)と、伏見(京都市伏見区)で、激突。
旧幕府軍約15000 VS 新政府軍約5000。

鳥羽・伏見の戦い

が開始されます。

旧幕府軍が、古ぅーい武器持って、戦術なしで突撃を繰り返すのに対し、大量の銃や大砲でズバババンと攻撃する新政府軍。
旧幕府軍ボッコボコの中、さらに戦う気力をかっさらっていく衝撃の映像が飛び込んできます。

旧幕府軍「おい! あ、あれは!?」

彼らが目にしたのは……
岩倉さん、大久保さん、品川弥二郎(しながわやじろう。松下村塾の人)さんが相談し、バッチリ準備していた、スーパーアイテムーー。

旧幕府軍「に、錦の御旗だーー!!」

新政府軍の陣に掲げられた
錦の御旗(にしきのみはた。略して《錦旗(きんき)》とも言うよ)。
天皇の軍=正義の味方=《官軍》
天皇にはむかう軍=超悪いやつら=《賊軍》
で、この“錦の御旗”というのは「オレたちが天皇の軍だー!」という官軍の証しなんです。

自分たちのことを「薩摩という悪いやつらを倒しにきた正義の味方」だと思ってたら、目の前に突然錦の御旗。

旧幕府軍「あっちが錦旗を掲げてるってことは……え、オレたちが賊軍!?」

一瞬で悪者にされた旧幕府軍の精神的ダメージは計り知れません。
おまけに、「賊軍になるのは嫌だ!」と、旧幕府から薩摩&長州に寝返る藩まで現れてしまいます。

一方大坂城では、

慶喜「戦争になったんなら仕方ない! 戦え! 千騎が一騎になっても戦えーー!!」

伝令さん「申し上げます! 薩長が、錦の御旗を掲げたもよう!」

慶喜「き、錦旗を!?……オレたちが、朝敵(天皇の敵)になったということか? 江戸に帰るぞ」

松平容保「え!?」

松平定敬「は!?」

慶喜「我々だけで船に乗り、江戸に帰る」

容保「ちょっと待ってください! まだ兵士たちは戦ってるんです!!」

慶喜「江戸に帰り、態勢を立てなおす」

定敬「それにしても京都や大坂に兵を残していくのはおかしい!!」

慶喜「朝廷に刃向かうつもりなんてこれっぽっちもないんだ! それなのに賊軍になるなんて!」

容保・定敬「!!」

慶喜「お前らが戦うと言い出したとき、どうにかして止めておけばよかった!」

容保「そんな……」

慶喜「とにかく江戸に帰る。ついてこい!」

この出来事なんです。慶喜くんが幕末の人物の中でイマイチ、いや、けっ……こう嫌われキャラなのは、このことがあったから。
戦闘中、急にトップがいなくなるなんて、まぁ最悪。
どんな考えがあったにせよ、兵士を見捨てて江戸に帰ったという事実は変わらない。最悪です。

総大将が“逃げた”ということを知った兵士たちのモチベーションは、だだっ……下がりからの、戦意、大・大・大喪失。
数で上回る旧幕府軍でしたが、敗因の品揃えが豊富すぎ。
《鳥羽・伏見の戦い》は、
薩摩たち新政府軍の圧勝に終わったのでした。

この戦いがキッカケで、「慶喜も新政府の仲間に入れよう!」という意見は鼻で笑われるようになり、朝廷から正式に

慶喜追討令

が出されます(正真正銘の朝敵だよ)。
慶喜の他に、会津の松平容保、桑名の松平定敬も「ぶっ潰す」対象に設定した新政府。
当然、それに協力した藩も許しません。

新政府「みなさーーん! 一緒に慶喜くん討ちましょ! 従わないとこは賊軍です、どうなっても知らないよー! 逆に謝ってくれたらぜーんぜん許すよー! 従ってくれたら土地取り上げたりしないよー!」

大垣藩「従います」

備中松山藩「従います」

唐津藩「従います」

旧幕府寄りの藩が、オセロばりにひっくり返る。
西日本はガラリと新政府色に染まります。

残すは、東。

新政府は《東征軍(東攻める!)》ってのをつくり、軍を3つに分けて(東海道軍、東山道軍、北陸道軍)、江戸を目指すんです。

そのトップは
有栖川宮熾仁親王(和宮さんの元フィアンセ)。
そして、参謀には、

西郷隆盛。

260年以上、攻められることのなかった江戸城が今、標的にーー。
慶喜くんはこの状況に戦意ソーシツですが、家臣たちはまだあきらめてません。

小栗忠順(おぐりただまさ。幕府のちょー優秀な人)「戦いましょう!」

榎本武揚(幕府海軍の指揮官)「そうです! このまま引き下がるおつもりですか!」

慶喜「………」
小栗「新政府軍が箱根に入ったら、駿河湾の幕府艦隊が砲撃で足止めするんです! 敵の退路を断ったところを、フランス式に改革された幕府陸軍で一気にたたく!」

慶喜「……戦いはしない。朝廷に弓を引くことはできない」

小栗「しかし!!」

慶喜「話しは終わりだ!!」

小栗「お待ちください!! ……く…う……うっ…」

慶喜くんは、最後まで戦うことを主張した小栗さんをクビにします。
そして、抵抗する気力がゼロに近づいた慶喜くんは、旧幕府の舵取りを2人の家臣に任せるんです。それが

勝海舟と大久保一翁。

勝さんを《陸軍総裁》って軍事のトップに、
大久保さんを《会計総裁》って内政のトップに任命。
エピソード1で阿部正弘さんが発掘した人材が、徳川の最後を守ることになる……これだけで、とんでもねー大河ドラマです(じゃない?)。

このあと慶喜くんは、「戦いましょう!」と説得してくる人に全部ノーを出し、なんと容保・定敬兄弟も江戸から追放。ついには自身も江戸城を出て、上野の《寛永寺(お寺だよ)》で謹慎することに。
完全に新政府に恭順(従うことだよ)することを決めたのでした。

慶喜「もう抵抗するつもりはない……誰か新政府に伝えてくれ」

慶喜くんや彼のまわりは、「すでに戦う意思はないから、どうか広い心で許してほしい」とお願いすることに必死になります。

幕府に嫁いだ和宮「慶喜は悪いことしたんだからどうなっても仕方ないけど、徳川家は存続させて! お願いです!」

薩摩の西郷「和宮様も今となっては“賊軍”の一味だ。慶喜が謹慎すれば徳川家がどうにかなると思ってるんだろうが、手を緩める気はない。討つ!」

薩摩の大久保「まったくあほらしい。慶喜は必ず討つ! そして、首都を大坂に移す!」

福井の春嶽「慶喜はこちらに従う意思を示しているんだ! それを討つなんてヒドすぎる!」

土佐の容堂「隠居して謹慎までしてる者をイジめちゃダメだろ! 許してやってくれ!」

長州の木戸孝允「慶喜を討てばどんな反発が待っているかわからない。命だけは救ってやるべきだ!」

幕府に嫁いだ篤姫「個人的に慶喜好きくないけど、徳川家はどうにか存続させて!」

薩摩の大久保「大坂に首都を!」

慶喜くんと徳川家の存続、まだどっちに転んでもおかしくない状態(ちょいちょい大久保さんの「首都大坂!」が入りましたが、こんな計画があったんです)。

そんな中、新政府軍は刻一刻と江戸に近づいてきます。
今や徳川の屋台骨となった勝さんは、その動きを止めるため必死の対応。

勝海舟「新選組! 甲府(山梨県)に行って、新政府軍を止めてくれ!」

近藤勇「りょーかい!」

新選組は《甲陽鎮撫隊(こうようちんぶたい)》って名前に変身し、甲府に進撃。
そこで板垣退助さん率いる新政府軍と激突。
かつて京都にその名を轟かせた新選組。剣に生き、剣に死ぬ侍の道も、最新鋭の火器の前で……
早い話がボロ負けします。

新政府軍の勢い、止めることできずです(勝さんは、新選組のように血の気の多いやつらがいたら“これからやること”の邪魔になると考えて、江戸から彼らを追い出したって説もあるよ)。

そしてついに、江戸城を射程距離にとらえた新政府軍のみなさんは、総攻撃の日を3月15日と決定。
あと数日で、江戸が火の海と化す……。何万人もの市民が犠牲となり、戦いで弱りきったこの国は、外国の植民地になるかもしれない……。
交渉の全権を託された勝さんは、この事態を回避すべく、新政府軍の代表と話さなければなりません。
その相手は、
西郷隆盛。

お互いを認め合った2人は、幕末の緊張が頂点に達したこの場面で、再び対峙することになるんです。
勝さんは西郷さんに手紙を書きます。

『オレたちが新政府に従ってんのは、徳川の人間という以上に、日本国民だからだ。国内で戦争が起こり、外国から侮辱されるのを防ぎたいからだ。
あんたらのすることが正しけりゃ日本にとっての幸せだが、少しでも間違ってりゃ日本は壊れる。そうなりゃ、あんたらがとんっ……でもなく悪ぃことしたってことが、長い年月残って消えることはねぇさ』

ちょっと重ためのジャブです(一部抜粋ね)。
勝さんはこの手紙を、

山岡鉄舟(やまおかてっしゅう)

という男に託します。

山岡鉄舟「失礼します! 絶賛負けてる旧幕府の者です! 勝さんの使いで来ました!」

西郷「勝さんの? わかった、会いましょう」

山岡「西郷さんですか? 山岡って言います! これ、まず勝さんからの手紙です」

西郷「手紙? (読む)……なるほど……」

山岡鉄舟「慶喜様は新政府に抵抗するつもりはありません! 嘘偽りなく、あなた方に従うことを決めています!」

西郷「……では、こちらから条件を出しましょう」

1.慶喜を備前藩(岡山県)に預けよっか。
2.江戸城を明け渡してもらおうか。
3.軍艦、全部引き渡せ。
4.武器、まるごと引き渡せ。
5.城内の家来は向島に移って謹慎しろ。
6.慶喜の暴挙を助けたヤツらを厳しく取り調べて、処罰しよう。
7.暴れるヤツらが手に負えない場合、官軍がシバく。

この条件を実行すれば慶喜は許され、江戸城への攻撃は中止されます。ですが、正直、全部厳しい。
これを聞いた旧幕府の人間は、1人残らずブチ切れそうな条件ばかりです。
中でも山岡が激しく反応したのは「慶喜を備前藩(外様だよ)に」という部分でした。

山岡「他の藩に慶喜様を預けるなんてできません! 大切な上司をサバンナに放り出すやつがこの世にいますか!?」

西郷「ちょっと例えがピンとこないんだけど。呑めないなら、江戸城の攻撃を止めることはできない」

山岡「では立場を入れ替えて考えてください! 西郷さんは、薩摩の殿を他藩に預けろと言われた場合、受け入れることができますか!?」

西郷「……………わかりました。この話はいったん保留で」

山岡は慶喜の態度を十分に伝え、主君を思う心で西郷を揺さぶり、交渉のスキマを作り出すことに成功します。

勝「よくやった! 西郷との交渉の道が作られた! でかした!!」

山岡を褒め称えると、交渉はいよいよ、勝と西郷の会談に持ち込まれることに。
駿府(静岡県)から江戸へと向かう西郷隆盛。
江戸で西郷の到着を待ち望む勝海舟。

3月13日。いよいよ江戸の薩摩藩邸にて、勝さんと西郷さんの会談が始まります。
この日は、幕府に嫁いだ和宮さんの処遇と、山岡さんがもってきた降伏条件の確認をして終わりでした。

そして、新政府軍が江戸城総攻撃を明日に控えた3月14日。

勝は薩摩藩邸を訪れ、相手の到着を静かに待ちます。
ふと庭先を見ると、簡素な洋服にゲタを履いた西郷が、我が家を訪ねたきた友人と対面するような面持ちで歩いてきます。
日本の運命を背負っているなど微塵も感じられない様子。

西郷「これは遅れてしまって申し訳ない」

勝「西郷さん。慶喜様が恭順しているのはご存知のはずだ。周りの人間もみなそちらに従っている。抵抗はしない。だから、明日の江戸城攻撃は中止にしてほしい」

西郷「………ならば、江戸城を明け渡すことができますか?」

江戸城を無抵抗で明け渡す……。
それは、徳川家の完全敗北を意味します。
しかし、勝は

勝「わかった………明け渡そう」

江戸市民の安全と、この国の平和を選んだのです。
ただ、ほかの降伏条件まで丸ごと呑めば、「新政府と一戦交えるべし」という強硬派が暴れだし、これもまた戦争になります。
勝は、その事態を避けるために、西郷が出した条件に、こう答えていきます。

1.慶喜を備前藩(岡山県)に預けよっか。→慶喜の謹慎は、故郷の水戸でお願いしたい。

2.江戸城を明け渡してもらおうか。→明け渡すが、その後田安家(御三卿。つまり旧幕府側)に返してほしい。

3.軍艦、全部引き渡せ。& 4.武器、まるごと引き渡せ。→軍艦と武器はまとめておく。慶喜を許してくれたら、"ある程度を残して"そちらに差し出す。

5.城内の家来は向島に移って謹慎しろ。→城内に住んでる者は、城外に移って謹慎する。

6.慶喜の暴挙を助けたヤツらを厳しく取り調べて、処罰しよう。→”命に関わる処分”はないようにしてほしい。

7.暴れるヤツらが手に負えない場合、官軍がシバく。→こちらで取り押さえるよう、可能な限り努力する。

全ての条件をゆるいものに変化させ、あちらの要求を”拒否”したも同然の回答をよこしたのでした。
普通の交渉相手なら、「本当に降伏する気はあるのか」と激怒し、話はここで終わります。

しかし、西郷ならば……。
西郷なら、オレのことを信用してくれるはず。徳川や新政府という垣根を超えて、日本のための選択をしてくれるはずだ。
勝の想いが届かなければ、明日、戦争が始まります。
西郷の口から次に出る言葉で、この国の運命が決まる。

西郷「………いろいろ」

戦争か、それとも……

西郷「いろいろ難しい議論もあるでしょうが、私が一身にかけてお引き受けします」

勝の立場と想いをくみ取り、自分が責任を持って新政府へ説明する。西郷はそう決心しました。


西郷「明日の江戸城総攻撃は、中止します」


この瞬間、100万を超える江戸市民の生命と財産が救われ、徳川家も滅亡を免れたのでした。

“私”を捨てて、“公”を選び、どこまでも人の命と国の未来を考えた勝海舟。
どんな難問にも、全責任をとる度量の大きさを見せた西郷隆盛。
この2人だったからこそ、

江戸無血開城(えどむけつかいじょう)

と呼ばれる奇跡が起こったんじゃないかと思います(ホントは話し合いの場には、山岡さんはじめ他の人もいたよ)。

実は勝さん、西郷さんとの会談に先がけて、ある“準備”をすすめてました。
江戸を愛し、江戸の市民と親しく付き合っていた勝さんは、町の火消し、鳶職の親分、バクチ打ちの親方なんかのところへ出かけて、頼みごとをしていたんです。

勝「新政府軍が攻めてくるようなことがあったら、頼みたいことがあんだよ」

火消し「勝さんの頼みならなんなりと! で、何をやればいいんです?」

勝「町に放火してくれ」

衝撃のお願い。 

新政府軍が攻撃をしてきた、もしくはガマンの限界を超える過酷な条件をつきつけてきた場合、市民を漁師さんたちの船で逃し、江戸城と江戸の町に火を放って、敵の進路を妨害するという、とんでもない最終作戦を用意していたんです。

ナポレオンに対してロシア軍が使った作戦を参考にしたらしいですが、この最終作戦も勝さん本人がのちに語ってることなんで、本当かどうかは謎。

ちなみに、

五箇条の御誓文(ごかじょうのごせいもん)

って教科書とかで見たことあります?
新政府が出したスゲー重要な基本方針なんですけど、これ《江戸無血開城》の日に決まってます。
このあたり幕末ムチャクチャです。
同時多発に重要イベント起こりまくり。
この時代に卒アルあったら、最後の年表んとこグジャグジャになると思う。

さて、卒アルグジャグジャっぷりは、加速度を増します。
勝さんが、新政府軍に江戸城を引き渡すと……

旧幕府家来「納得いくかーーーー!!」

旧幕府の一部は大反発。
江戸を抜け出し、いたるところでバリバリな戦いを新政府軍に挑んでいきます。

土方歳三(新選組副長)と
大鳥圭介(おおとりけいすけ。旧幕府の人ね)

って人は、新選組の生き残りや、伝習隊(でんしゅうたい)って部隊などを引き連れ、総勢約2000人の大軍で新政府軍とバトります。
宇都宮、日光で戦い、やがて戦いは“北”のエリアへ……。

そして、旧幕府軍の榎本武揚(海軍副総裁)は、

榎本武揚「新政府に軍艦を渡すなんて……(プルプル)。やっぱり嫌だーーー!! 開陽! 回天!(軍艦の名前です)全部で8隻こっちにおいで!」

開陽(軍艦)「くぅーん(鳴いたりしません)」

榎本「徳川家の処分が決まるまで、こいつらを手放すわけにはいかない! 無防備じゃ新政府に対抗できない!(船に乗り、海へ繰り出す榎本)」

新政府「……いー眼してんじゃねーか、あのボウズ(ボウズじゃないです)。おーいボウズ! 徳川を思うお前の心に感動したぞ! いいか! 8隻中4隻だけ船返せ! 半分返したらお前のことは罪に問わない!」

榎本「………わかったよ(4隻返す)」

新政府「(船返ってくる)……あいつ、性能の悪い順から返しやがった……」

新政府に反抗し、どうにかゲキ強軍艦4隻を守ることに成功(コミカル&ショートストーリーにするとこうです。“開陽丸”は、オランダの最新鋭の技術を結集したスーパー軍艦)。

榎本は、新政府がうかつに手を出せない海軍力を盾に、江戸湾(東京湾だよ)から徳川家の行く末を見届けます。
その後、軍艦と共に“北”の地へ……。

反抗期にガッツリ突入した旧幕メンの中でも最高にグレたのが、
《彰義隊(しょうぎたい)》
という軍団。

軍団は、新政府側の人たちを見つけてはケンカをふっかける毎日。
でしたが、軍略クールビューティー・新政府の大村益次郎によって、たった1日で制圧されてしまいます(これ《上野戦争》ってやつ。江戸城にいた大村さんは時計を見て「そろそろこっちが勝つ頃だ」と予測。ズバリ当てたっていう逸話もあるよ)。

そして、生き残った彰義隊の一部は“北”へ……。
これだけ“北”へ“北”へ言ってるので、お分かりでしょうが、幕末最後の舞台は……“北”です。

新政府の次なる標的は、

会津藩藩主・松平容保。

次回、最終回です。




本当にありがとうございます!! 先にお礼を言っときます!