勇者ヒンメルならそうした 葬送のフリーレン
また会ったとき恥ずかしいからね
に続く
「葬送」とは
「死者との別れの儀式」。
「弔い」とは
「問う」こと「訪う」こと。
死者の世界を訪問して、
死者の思いを問うこと。
「葬送のフリーレン」の旅路は、
勇者ヒンメルへの
「葬送」と「弔い」の旅
でもあることがわかる。
この「葬送のフリーレン」で
良く聞かれる言葉に
「勇者ヒンメルなら、そうした」
という言葉がある。
勇者ヒンメルは「どうした」のか。
それは、アニメーションの主題歌
「勇者」(YOASOBI Ayase 作詞)
の歌詞でたどることができる。
まるで御伽の話 終わり迎えた証
長すぎる旅路から 切り出した一節
それはかつてこの地に
影を落とした悪を
討ち取りし勇者との 短い旅の記憶
物語は終わり 勇者は眠りにつく
穏やかな日常を この地に残して
時の流れは無情に 人を忘れさせる
そこに生きた軌跡も 錆び付いていく
それでも君の 言葉も願いも勇気も
今も確かに私の中で 生きている
同じ道を選んだ
それだけだったはずなのに
いつの間にかどうして
頬を伝う涙の理由をもっと 知りたいんだ
今更だって 共に歩んだ旅路を辿れば
そこに君は居なくとも きっと見つけられる
物語は続く 一人の旅へと発つ
立ち寄る街で出会う
人の記憶に残る君は
相も変わらずお人好しで
格好つけてばかりだね
あちらこちらに作ったシンボルは
勝ち取った平和の証
それすら未来でいつか
私が一人にならないように
あの旅を思い出せるように残された目印
まるで御伽の話 終わり迎えた愛足
私を変えた出会い 百分の一の旅路
君の勇気をいつか 風がさらって
誰の記憶から消えてしまっても
私が未来に連れて行くから
君の手を取った あの日全て始まった
くだらなくて
思わずふっと笑ってしまうような
ありふれた時間が今も眩しい
振り返るとそこには いつでも
優しく微笑みかける 君がいるから
新たな旅の始まりは
君が守り抜いたこの地に 芽吹いた命と共に
ここでうたわれる「君」とは
勇者ヒンメルのこと。
そしてヒンメルは
「お人好しの格好つけ」
「目の前で困っている人を見捨てない」
「背中を押してあげる(くれる)」
人々は
「魔王を倒す冒険」
よりもなによりも
「私の村に来てくれたこと」
を、楽しそうに口にする。
「日本人は『革命』を起こせない。
その代わりに『改善』は日々、行う」
という言葉を聞いたことがある。
もしかしたら、
日本人は
『世界を変える成功』ではなく
『日々を豊かにする幸福』を
尊ぶ傾向にあるのではないか。
そして
日本人は
『アベンジャーズ』のヒーローたちよりも
『勇者ヒンメル』のパーティーのほうを
美しく思うのではないか。
現代の日本で生まれた
『葬送のフリーレン』が
現代の日本で世代を越えて
支持されていることから、
そんなことを考えた。