あきらめない気持ちは奇跡を起こす～パリオリンピック体操男子 団体金メダル～

毎日熱い熱い戦いが繰り広げられていて、眠い目をこすりながら生で観たり、朝起きてから結果をチェックして一喜一憂したり…。

今回のパリオリンピックでも、すでにたくさんの感動をもらっています。だからこそ、誤審ではないかと思われる判定が多いことに対して腹立たしく悲しい気持ちになっています。クリアな判定をぜひお願いしたいと思います！

4年に一度のオリンピックに向けて、世界中のアスリートたちが日々努力を積み重ねてトップを狙いに行く…。努力なんて言葉を簡単に口にできないほど、皆さん壮絶な一日一日を過ごしてきたと思います。

特に今回は東京オリンピックから3年のインターバルということで、本番に向けての調整は各選手苦労した面もいろいろあったのではないかと。1年の違いはとても大きいと思うので…。

体操好きな私は、たまたまNHKスペシャル「体操男子 団体金メダルへの道～密着・橋本大輝と日本代表 ～」という番組を観ました。なので、橋本選手が今大会で本調子ではない理由は理解していました。

開幕の約2か月半前の5月15日、平行棒の練習中に右中指のじん帯の損傷。そこからは本格的な練習ができずに、ひたすら着地をレベルアップさせる練習に一人取り組んでいました。

本番を想定した最後の試技会の時も、跳馬や鉄棒で着地が乱れて満足いく演技ができず、涙する橋本選手の姿がそこにありました。王者やエースと呼ばれるのは心地いいかもしれない反面、常にトップでいなければいけないプレッシャーは想像を絶するものがあったと思います。

特に橋本選手は真面目で責任感が強いタイプのようなので、納得いかない自分自身の演技に対して歯がゆさや不安が残ったままで迎えた本番だったのではないかと…。

東京オリンピックで個人総合では金メダルを獲得したものの、「0.103」差に泣いた団体銀メダル。パリオリンピックでの団体金メダルへの想いは誰よりも強かった橋本選手だったと思うので、予選での自身の精彩を欠く演技に心が折れそうになったのではないかと想像しました。

「パリ団体金メダル獲得しました」体操男子団体チームメンバーのグループLINEの名前。もう”金メダルを獲得した”という、既成事実にしてしまっているその名前からもメンバーの覚悟と決意が伝わってきました。

キャプテンの萱選手が決勝の前日のミーティングで「2番は嫌だ」とチームのメンバーを鼓舞してくれたというニュースを見て、こういうリーダーシップを発揮してくれるキャプテンの存在は大きかっただろうと感じました。まさに精神的支柱ですね！

橋本選手もその言葉を受けて「死ぬ気でやります」「みんなのために戦いたい、みんなで金メダルを取りたい」と。団体金メダルに向けて、もう一度気力を奮い立たせるきっかけになったことは間違いなかったと思います。

決勝であん馬での落下はありましたが、ミスをしても必ずメンバーが温かく迎えてくれて、日本チームの団結力は見ているこちらにも伝わってきました。「みんなで必ず獲りに行く！」という、最後まであきらめない気持ちが最終演技者・橋本の素晴らしい演技につながり、あの奇跡を起こしたんだと思います。

中国選手の鉄棒での落下があったから逆転できたというのは事実かもしれませんが、日本選手たちの「着地を止める」という気合がコツコツ積み重なっての結果だったと個人的には思っています。

団体金メダルは、一人ではつかめないものだからこそ価値があるんですよね。全員の力があってこその勲章。今回の5人のメンバー（萱、谷川、杉野、橋本、岡）は、そういう意味で非常にバランスの良いチームだったと感じています。

一人ひとり自分の持ち味や役割をしっかり把握していて、それを本番で出し切る…観ていて清々しく気持ちのいい団体決勝だったと思います。

そして体操男子個人で金メダルを獲った岡慎之助選手。NHKスペシャルを観た時から、実は今大会で一番期待していた選手でした。若干20歳ですが、足先までピンと伸びたきれいなキレのある演技に惚れ惚れしました。ノーミスの演技が生んだ金メダル。それでも本人はもっとやれたはずと厳しい自己採点。すでに4年後のロスに向けて気持ちは走り出しているのでしょう。

二連覇を逃して悔しい気持ちもあったはずなのに、岡選手の金メダルを自分のことのように喜ぶ橋本選手の笑顔が印象に残りました。この二人を中心に、またロスに向けての体操男子が楽しみになりました。

体操女子も、直前のアクシデントにも負けず4人でよく頑張ってくれたと思います。のびのびと楽しそうに演技する姿に感動しました。ロスでは今度こそメダルを目指して頑張れ！

書きたい競技は数々あれど、今回は「あきらめない気持ちが生んだ奇跡の金メダル」」に心打たれて、体操男子団体について書いてみました。

まだまだ熱戦が続くので、またオリンピックネタは書くと思います(笑)。バレーもバスケもサッカーも卓球も、陸上もブレイキンも…すべての選手の皆さん、悔いなく頑張れ！！引き続き応援しています！