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レクチャー⑤グローバル企業とスタートアップの関わり方

Day2最後の講義はジャン・マルクさんによる「グローバル企業とスタートアップの関わり方」。スタートアップにとってグローバル企業とどのように関わるのが良いのかについて学びました。

シリコンバレーの企業は「イノベーションをどのようにして起こすか」ということへの関心が高いです。大手企業にとってもスタートアップはイノベーションを起こすという観点から重視されていますので、そのニーズを理解して適切な関係を築くことが重要です。

Fortune誌による「Fortune100」といわれるグローバル企業のうち、78%がスタートアップと共にイノベーションを作りたいと考えています。製品、開発サイクルや技術といった強みがあると大手企業からの注目を集めることができるでしょう。オープンイノベーションの方法として、スタートアップへのスカウト、起業家を支援するプログラムを提供するアクセラレーターとのコラボレーション、ベンチャーキャピタルや協業などがあります。どれか一つが人気というわけではなくそれぞれ均等に行われています。

大手企業とスタートアップの連携がある一方で、71%の企業には、主にイノベーションを担当する役職があり、それらの60%がCEO直属のものです。社内でイノベーション部門をどのように組成するかが、課題として残っています。

大手企業とスタートアップのモチベーションは違います。そのため、大手企業はスタートアップのように振る舞うことはできません。大手企業は、多くの株主を抱えていることもありリスクを冒したくありません。家族を守るために解雇されたくもありません。スタートアップの社員とは全く違う人が働いているといえます。したがって、大手企業のモチベーションを理解することは重要です。

オープンイノベーションには多くの種類があります。どのようなアイデアがどこから出てくるのか、そのアイデアがどこに行くのかによってオープンイノベーションの種類が変わってきます。大企業が利用するオープンイノベーションの場は、例えば海外支店、コーポレートベンチャーファンド、大学連携プログラム、製品やサービスを広げていくための子会社、最新のテクノロジーの動向を知るコンサルタントなどがあげられます。

プログラムとしては、スカウティングチームとの会議や知的財産権のライセンス取得などがありますが、ハッカソンは時間を取られるので注意しましょう。日系企業はイノベーションにおいてシリコンバレーで非常に興味を持たれています。それは、日本が革新的な国だとみなされているからです。日系企業が集まる拠点(インキュベーション施設)もシリコンバレーに多く存在しています。

こうした拠点へのアポイントは効果的です。Eメールだけで会議のアポをとれますし、会った回数で評価を受けることができます。スタートアップにとって重要なPoC(概念検証)にかける予算はないかもしれませんが、正しい方向に導いてくれます。依存に注意して利用しましょう。

大手企業との連携においては以下に注意しましょう。

・慎重な適格審査
6ヶ月間交渉した結果何も得られなかった会社もありました。その会社のニーズを理解して、収益の見積もりなどを利用してうまくアピールすることが重要です。

・CVC(Corporate Venture Capital)の活用による少数株主
まず、VCから資金調達するのではなく、CVCを活用する妥当な理由が必要です。また、CVCはPoCや契約の保証にもなりません。その他にも投資条件や取締役会メンバーの利益相反にも気をつける必要があります。

・大手企業のラボ
「ラボの迷路」に入り資金不足に陥らないように、目的を明確にして、ラボテストの条件を決めて契約を締結しましょう。

・無料のPoC
無料であるがゆえに熱心ではなく、失敗率が高くなります。PoCをする際には必ず契約書を作成して有償で行うようにしましょう。

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