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レクチャー④良いピッチの作り方

Day2の2つ目の講義はジャン・マルクさんによる「良いピッチの作り方」。ジャン・マルクさんは「ほとんどのピッチが間違った手順で作られている」と話します。「私たちはピッチで何をしようとしているのか」という本質的な部分から良いピッチの作り方を学びました。

ピッチには主に以下の種類があります。興味を持ってもらうための20秒ほどのピッチ、投資家や顧客に向けた4,5分のピッチ、そして補足説明のための20分のピッチ。

ただ、ほとんどのピッチは以下のようになってしまっているのが現状です。

・ロボットのように覚えている言葉を話しているだけ、身振り手振りもない
・事実を並べているだけで物語を話していない
・スライドの情報量が多すぎて文字が小さい

これではよいピッチとは言えません。

良いピッチを作る方法で重要な点は4つあります。

  1. 物語を作ること

  2. 注意の引き方について科学的に理解すること

  3. スライドのないピッチ原稿を作ること

  4. 伝えたい物語を補足するものとしてスライドを作ること

ピッチにおいて物語を語ることが重要な理由はスティーブ・ジョブズのピッチを聞けば明らかです。物語を伝えることで聴衆はそのプロダクトが必要な理由を自然に理解することができるのです。科学的にもストーリーテリングが有効なことが分かっています。神経結合(Neural Coupling)により、他人の話を自分と関連付けて受け止め感情的に惹きつけられますし、感情的な話を聞いたときにはドーパミンが分泌されて簡単にそして正確にその話を覚えることができるといった効果があります。

聴衆の注意を引くために最も重要なのが最初のピッチインです。最初の20~30秒で「自分はこの人の話を全て聞くべきか」について判断されます。一つ一つのワードに物語を入れて興味を持ってもらう必要があり、準備時間を最もかけるべき部分です。大人の集中力が続くのは最大で18分です。TEDトークは18分になるように設計されており、注意の引き方の参考におすすめです。

ほとんどのピッチがスライドに事実を詰め込み、その後原稿を作成しています。しかし、この作り方では合理的なピッチを作ることはできません。合理的なピッチを作るためには手順を逆にする必要があります。まずは目的の設定。興味を持ってもらうのか(20秒ピッチ)、次の会議をセッティングしたいのか(5分ピッチ)、ひとつに絞りましょう。

会社・事業の全てを語ることが成功に繋がるわけではありません。全てを伝えることはできないことを受け入れて、基礎的な部分に集中しましょう。また、今何が必要なのかを正直に伝えることも、紹介によってビジネスチャンスが広がるという点で重要です。そして聴衆の文化的、職業的背景を調査しておくことも大切です。バックグラウンドに合わないピッチは「つまらない」と思われてしまいます。

投資家や企業はマインドセット、組織、市場機会、ソリューション、経済モデル、運用モデル、時期がそれぞれ正しいかを知りたがっています。その一方であなたの学歴や技術、きれいなスライドは聞きたいと思っていません。聴衆の聴きたいことを理解してストーリーを組み立てることが重要です。

スライドを作るのはストーリー・原稿を作ってからです。このときスライドは原稿と視覚的に繋がることを意識しましょう。特に非英語話者の場合は、英語話者にピッチをさせることも可能です。しかし、はじめと終わりの言葉を自分で話すこと、どんな質問にも答えられるようにすることを心にとめておく必要があります。

良いピッチには話し方も関わってきます。聴衆に「話しかける」のではなく、聴衆と「会話をする」ことを意識しましょう。カフェで旧友に近況を伝える場面をイメージすると良いでしょう。

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