「開栓注意」な日本酒

日本酒が少しずつ広まってきている昨今。蔵元からもいろいろな種類のお酒が出てきていますね。にごりのお酒だったり蔵で寝かせた熟成酒だったり…今回はその中でも「開栓注意」の日本酒を店主の失敗談とともにご紹介していきたいと思います。

「開栓注意」ってなんだよ?ってことなんですが、字のごとく開けるときに注意して!っていう日本酒なんですよね(当たり前か!)じゃぁなんで開けるときに注意しないといけないのか?ってことなんですけどね。この「開栓注意」系の日本酒って、開けたときに中身が噴き出すんです!スパークリングワインを振って開けた時のように。。。程度はいろいろですけど、そりゃもうヤバいときは周辺にまき散らすように噴水のごとく吹きます!

このような開けるときに噴き出す日本酒はラベルにあらかじめ注意書きがしてあります。「開栓時注意」とか「吹き出します!注意」等の注意書きが必ず貼ってあります。そもそもなんで吹き出すのか?っていうと、瓶の中で発泡しているからです。超絶ザックリ説明すると、瓶の中でも発酵が続いていている酵母が生きてるお酒だからです。酵母はお酒の中にある糖を分解してアルコールと二酸化炭素にします。通常ならば二酸化炭素はタンクから放出しますが瓶に詰められた状態だと行き場がないからお酒の中に取り込まれます。炭酸飲料の原理と同じですね。で、どんどん発酵がススム→炭酸がお酒に入る→中の圧力が強くなる…的な流れで開けたときに噴き出すお酒が誕生します。

しかし!ここがまた厄介なんですがこの注意書きが貼ってあるお酒でも全然吹き出さない時が結構あるんですよね~日本酒も様々ですからそこまで発泡が強くならない場合も。店主も今まで数千本のお酒を開けてきましたが、注意書きが書いてあっても吹き出さない(吹き出すほど発泡性が強くない)お酒って結構ありました。なので、店主もこのお酒は書いてあるけどダイジョブ!ここは危険!って、だいたいお酒の種類で判断していたんですよね。

この経験からくる「慣れ」が悲劇の始まりだったんです…

先日も営業中にお客様へ提供するためにとあるお酒を開けようとしました。もちろん、ラベルには「吹き出します、振らないでください」等の注意書きがありました。でも、ここの蔵元のお酒は何種類か扱ったこともあり「たぶん大丈夫!そこまで吹き出すことはないだろう…」と、普段通りに開けようとしました。

がしかし!長年の勘なのか、何か危険を察知した店主。

念のため用心して開けようと蓋を抑えつつ開栓…

その瞬間!中のお酒が蓋の近くまで上昇~!ヤバい!ヤバい!って急に焦った店主。必死に蓋を抑えますが中からの強烈な圧力!もう親指では限界が…そこで、蓋の上からアイスピックで穴をあけてあげて空気を逃がして吹き出しを回避させる手段に!(ここまでは意外と冷静に判断しました)

アイスピックを刺したら穴からはぷしゅー!と強烈な音が。。。少しずつ中の圧力を下げないと!と思った瞬間!

抑えていた親指が蓋から外れて、大噴射!慌ててシンクの中に口を向けましたが、店主は顔から上半身全部酒まみれ(笑)カウンターにいたお客様にはほとんどかからなかったのが不幸中の幸い。しかし肝心のお酒は約2合分が地球に帰ってしまいました。蔵元さん、ホントごめんなさい。

ちなみに、店主が開けた日本酒のサイズは一升瓶。4合瓶のタイプですとスクリューキャップですので思いっきりキャップを開けない限り吹き出すことはないんです。注意すべきは一升瓶とワインのようなコルク栓のタイプです。一升瓶の場合は、上記のように先に蓋の上から穴をあけて少しずつ中の空気を出して圧が収まるのを待つ方法を取ります。または、ボウルを用意してその上で勢いよく開けちゃって噴き出した日本酒をボウルで回収する方法。どちらがイイか、それはお任せします(笑)

この時期、このような発泡系の日本酒が登場してきます。ご家庭ではなかなか一升瓶を開ける機会はないとは思いますが皆さんも「開栓注意」のラベルの日本酒はくれぐれも気を付けて開けてくださいね!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?