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【千田琢哉の頭脳】Vol.0038(2009年3月13日発行のブログより)from次代創造館秘書室

今付き合っている彼女が、万引きで捕まりました。警察の調べによると、中学時代からの常習犯だということです。すごく真面目でいい子だったのですが、見損ないました。結婚も考えていたのですが、いったいどのようにして別れたらいいでしょうか。しつこく付きまとわれるのは正直迷惑です。

(富山県・保険販売員・Nさん・男性・30歳)

もちろん、万引きを理由に別れるのは簡単です。

万引きするような人間とは付き合えないときちんと正直に告げるだけです。

付きまとわれたら困るといいますが、
それは万引きをした彼女に限りません。

誰もが好きな人から別れを告げられるというのは
人生で最も辛いことですから、付きまといたくなります。

ストーカーという言葉が生まれる前から、
すでにストーカーはたくさん存在していました。

Nさんは、その彼女のことが
本当に好きではなかったのではないでしょうか。

人を本当に好きになるということは、
相手が万引きどころか、殺人や放火を犯しても
側にいてあげるということです。

人を好きになるということは、
「…だから」好きではなく、「…なのに」好き、ということなのです。

それで軽蔑して別れたくなるということは、
その程度の愛情だったということです。

たとえば、元ライブドア社長の堀江貴文さんや、
元M&Aコンサルティング社長の村上世彰さんは、
どう考えてもこき下ろしていたマスコミや、
その辺のサラリーマンよりモテたはずですし、
恐らく今後もモテるに決まっています。

影響力も、その辺のサラリーマンが1万人束になっても遠く及びません。

もちろん、好きな人に犯罪を犯されたらショックです。

食事も喉に通りません。

ところが究極の愛情というのは、
地獄の超特急に一緒に乗車する覚悟があることです。

安全運転の鈍行列車でのんびりするのも、もちろんいいでしょう。

しかし、結婚してからもずっと鈍行列車という人生もあり得ません。

タイミングの違いがあるだけで、必ず何年、何十年と一緒にいれば、
急行列車や新幹線の状態にもなり、
列車事故にも巻き込まれることはあります。

それを共に乗り越えることが更に絆を深めるのです。

昔、電力の鬼と言われた偉人がこんな名言を遺しました。

経営者に必要な条件は、以下のいずれかを経験しておくことだ。

1.大病
2.浪人
3.投獄

ちなみに、浪人というのは、現在の受験の浪人ではなく、
本当に食べることのできないような無職で
人間としての価値が認められないような状態です。

いずれもできれば経験したくないものばかりです。

しかし、人の上に立つということは、
人の心の痛みが人一倍わかることだ、というのです。

人生において困難を0にすることは不可能です。

それどころか困難だらけです。

その困難を共に乗り越えるために、パートナーがいるのであって、
困難は幸福のための接着剤なのです。

つまり、万引きを一緒になって克服しようという程度の情熱が
Nさんになければ、彼女を幸せにすることなど到底できませんから、
それこそ、別れた方がいいのです。

...千田琢哉(2009年3月13日発行の次代創造館ブログより)

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