【気づき】Vol.0932(2011年1月28日発行のブログより)
電子書籍・・・。
出版業界はすでに大変革期に入っている。
電子書籍というものは、その⼀部に過ぎない。
電子書籍なるものは、
すでにネット社会になったときから初声を上げていた。
情報商材がそうだ。
否、それ以前にすでに国⺠数百万⼈が参加している、
こうしたブログがまさにそうだ。
書くだけなら小学生でもブログを書くことができる。
紙媒体で出版するよりも遥かにビジネス的には成功できる人も多い。
情報商材だとコンテンツさえあれば、
PDFでメールをするだけだから印刷費や製本代もかからない。
誰にも口出しされずに自分が主導権を握って仕事ができる。
実際にステイタスや、多くの人に読んでもらいたい、というのでなければ、紙媒体の出版の意義はないわけだ。
紙媒体の書籍がなくなることによって困るのは、
読者でもなければ著者でもない。
出版社とそれにかかわってきた印刷・製作会社である。
なぜなら、中抜きができなくなるからだ。
実は、「後出しじゃんけん」がまかり通るこの業界では、
中抜きで結構美味しい思いをした時代があったからこそ、
続々零細出版社が生まれて、
そして淘汰される・・・という状況になったのだ。
著者の印税や実売数の情報提供、そして出版契約書は後出しじゃんけんで、出版社が力を握っていることが多い。
他業界から見たらこれは実に意外だろう。
実際に著者に内緒で勝手に増刷したり、
発行部数を捏造して印税を少なめに抑えることが発覚し、
裁判沙汰になった事例もある。
出版社はどこも厳しい、というのは実は当たり前の話で、
事実が露呈されれば世論に叩かれることは間違いない。
そんなのは⼀部の出版社とはいえ、自業自得なのだ。
僕が属していた保険業界と瓜⼆つなのだ。
さて、出版社の存在意義としては⼆つあった。
ひとつは書店営業である。
膨大な書籍の中に棚のどこに陳列してもらえるのか、
というのは飲⾷店の立地同様に極めて重要だ。
もちろん最近はAmazon専属担当者なるものも存在する。
営業のスタイルは確実に変わっていくし、
ドサ回り営業は、地域採用のパートタイム契約社員に委ねられる流れだ。
もうひとつは編集である。
著者が書いたものを編み込んでいく作業をするのだ。
要は、
出版社が自分の会社から出すにふさわしいコンテンツに仕上げるわけだ。
著者が0から30を生みだすとすれば、
編集者は30を合格ラインの70や80まで⾼めていく。
どちらも必要だ。
経営者と経営コンサルタントと似ている。
ただ、編集者も所詮はサラリーマン。
力の差があり過ぎる。
せっかくの著者の文章力を逆にレベルダウンさせてしまう、
という編集者はいないと信じたいが。
どう考えても給料をもらう資格のない人たちがいるのは、
他業界でも同じこと。
だから、出版⾰命の際、
出版社が激減すると同時にフリーの編集者が続出するだろう。
最近の出版ラッシュのすったもんだの挙句、
最終的に紙媒体の出版は著者にとって欧米並の難易度になっていくだろう。
つまり、
紙媒体の出版はよほどの実力者でなくては世に出せない時代が来る。
対して、電子書籍や情報商材は猫も杓⼦も出せるようになる。
ちょうど投資ブームのように、
誰もが参⼊できるが、実際に稼いでいるのは別の誰かだ、
ということなのだ。
いずれにも乗り遅れた、変革を拒むオヤジ出版社やオバサン出版社は、
いずれも消滅は免れない。
もちろん、これは出版業界に限らない。
⾃然の摂理に則っていて美しい流れだ。
追伸.
顧客が喜ぶ出版という原点を忘れて、
自分たちが儲かる出版を第⼀に考えた結果がこうなった。
虚心坦懐に顧みることがこれからの出版業界には必須だ。
まあ、金融機関と違ってスケールは小さいから、
致命的なダメージを受けないのがせめてもの救いなんだけどね。
追伸の追伸.
おっと気づいたら今日は独立2年経過だった。
...千田琢哉(2011年1月28日発行の次代創造館ブログより)
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