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【千田琢哉の頭脳】Vol.0117(2009年5月31日発行のブログより)

「○○さえ手に入れば幸せになれるのに・・・」といつも願っているものを逃してきた人生でした。これは、モノだけでなく、人においてもです。進学、就職、恋愛、結婚、昇進、自宅購入・・・すべてにおいて妥協の連続で虚しくなってきました。「○○さえ」の○○を手に入れる方法はありませんか?

(和歌山県・会社員・Kさん・女性・38歳)

Kさんのような女性が私の身近にもいました。

彼女は、ある日を境に今までの人生と打って変わって
ありとあらゆるものを手に入れ始めました。

きっかけは結婚です。

お金持ちの男性との結婚です。

○○さえ手に入れば幸せになれるのに・・・

というのが彼女と会うときの口癖だったのにそんなセリフを聞かれることは
なくなりました。

なぜなら、自分が欲しいと思っていたものが
すべて手に入るようになったからです。

結婚する前の彼女は、

「結婚相手はお金持ちがいい」

「最低でも○○大学以上は出ていないと」

「現金一括払いで自宅を購入したい」

「その自宅は自分の実家付近がいい」

「30歳までには子どもが2人欲しい」

とそれ以外にも多くの願望を熱く語っていました。

そして、お金の力でそれらをすべて成し遂げました。

結婚相手を探すために、結婚相談所に今までの貯金すべてを注ぎ込んで
エグゼクティブ限定でクリック一つで次から次にお見合いを重ねました。

ここでいうエグゼクティブというのは、
大企業のサラリーマン程度の収入ではないので念のため。

ほとんど女性と付き合ったことのない相手をコントロールするのは
女性にとっていとも簡単なのはKさんであれば容易に想像つくでしょう。

彼女は相手の男性には、結婚前にすべての約束事を指示して、
家はいつまでにどこに建てるのか、場所はどこでなければならないのか、
子どもはいつまでに何人つくるのか、を決めました。

たいていこういったものは、お金があればすべて手に入ります。

子どもができにくい体質でしたので、不妊治療を繰り返しました。

普通の家庭であれば、不妊治療も家計を圧迫しますが、
その心配もありません。

ところが、
かねてからの口癖だった「○○さえ」の○○をすべて手に入れたのに、
幸せどころか、ものすごい不幸な顔をして精神的に病んでいるのです。

私はよくある自己啓発書のように、お金だけがすべてではない、
愛が大切だ、ということを言いたいのではありません。

お金の力は知っているつもりですし、
大半の愛が絶対的なものではないとも思っている冷めた男です。

その女性に限らず、○○さえ・・・と思っていたものが手に入った場合、
たいてい幸せになれないのは、
欲が深いからでも自己都合だからでもありません。

たいていは、実力不足、器不足、分不相応にもかかわらず、
人工的に手に入れてしまったからです。

これは、ビジネスにおいても同様です。

経営学の上位概念に経済学がありますが、
その経済学は心理学をベースにしているのです。

経済というのは、
人間の心理の状態が現象面として顕在化したに過ぎません。

分不相応にお金を儲けたり、
実力不足なのに背伸びして評価されようとすると、
必ず元の位置にばねが縮むのと同じでビョンと戻ります。

プレートテクトニクスで
海溝にプレートがめり込んで歪(ひずみ)が生じて、
長年平穏であればあるほどに大地震が発生するのと同じです。

無理をすればするほどに、戻るスピードや勢いも増しますから、
元よりもひどい状態になるわけです。

地球も生命であり、人間社会で起こっていることと酷似している部分は
非常に多いです。

率直に申し上げて、先ほどの女性は、
違法ではないにしても、結婚詐欺に近い罪を犯したのです。

こうしたことは、世の中に溢れています。

違法ではない罪こそが、本当の罪です。

違法の場合は、法廷で裁いてもらえますが、
違法でない本当の罪は時間的にも内容的にも法廷の裁きの比では
ありません。

別に、Kさんは罪を犯したわけではありませんが、
○○さえ・・・というものを手に入れるときには、
あとから本来の姿に戻るから、
それに見合った実力をつけておかないとダメだな、
と知っておかなければなりません。

○○さえ・・・のほとんどは、本当は手に入れるべきものではなく、
それ以外の与えられているものに対して感謝し、
活かした人だけが気付いたら手に入れるか、それを遥かに超越したものを
acquireするのではないかと思います。
※acquire:コツコツ努力して獲得する

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
追記.Kさんだけにそっと教えます。
ただし、人生で一つくらいは○○さえ・・・
を運命に逆らって人工的にgetするのもアリです。
ただし、それは一つだけです。
私は今でもそれを後悔したことは、一度もありません。
確実に、運命を変えました。
また詳細は何かの本で書こうと思います。
共に、よき人生を!

...千田琢哉(2009年5月31日発行の次代創造館のブログより)

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