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【千田琢哉の頭脳】Vol.0438(2010年4月17日発行のブログより)

ヒット商品を狙っています。2年前から何としても業界内をあっと言わせるような商品を生み出して会社の大黒柱にするためにコンサルタントを雇って社内プロジェクトチームを組んで情報を総動員しながら商品開発に注力していますが、なかなか思うような成果が挙がりません。もちろんヒット商品の綺麗な方程式などあれば誰も苦労しないとは思うのですが、・・・どんなヒントでもいただければ幸いです。

(東京都・会社経営・Mさん・男性・43歳)

ヒット商品の生み出し方というのは多くの本も出されていますし、
多くの専門家たちが知恵を絞っています。

でもハッキリしていることは、
100%というものはないということですね。

もう1つハッキリしていることは、お金の力があればヒットする可能性は
桁違いに高まる
ということです。

投資でいうとインサイダーという違法行為に近いことでも
ヒット商品をプロデュースするには有効です。

サクラを活用するのは昔から商売でよくやられてきたことですが、
今でもこれと同じことは頻繁にやられていることは誰も否定できません。

繁盛店に見せるためにサクラを1週間雇うためにはお金が必要です。

サクラを雇うための人件費のみならず育成する人材も時間も
膨大に必要になります。

アナログの店舗だけではありません。

インターネットの通信販売でもお金の力で売上順位を上昇させるのは
当たり前すぎてすでに古くなった感さえあります。

たった24時間とか48時間の間、1位を獲得したという事実を買うためにお金と時間をかけます。

でもこうしたサクラは広告費と同じですから
非常に有効なのは誰も全面的に否定はできないでしょう。

通信販売のお客様の声もまったく同じですね。

私はお金の力を否定するつもりは毛頭ありません。

唯一言わせて欲しいのは運の要素が欠かせないということです。

運という言葉を嫌うのであれば感性といってもいいです。

私自身の想い出に残る社内史上初、業界内ベストセラーと評された商品を
出した経験と身近なプロとの考察を照らし合わせてみると、
以上に加えて以下のことも言えそうです。

先日、出版社の編集長とランチをして盛り上がったことで思い出しました。

その出版社は出版点数が少ないにもかかわらず、
確実に一定の数を販売することで書店から信頼されている会社です。

その編集長は自分が仕事で出版することになった本の見本が完成すると
24時間手にしながら一緒に生活するそうです。

食事の際にもトイレに行く際にもテレビを見ている際にも
いつも視野に入るところに置いておき、一緒に寝ているということです。

すごいな、と感じたのではありません。

私と同じだな、と驚いたのです。

地球上に私とまったく同じ変態がいたと思うとホッとしたのです。

高校生の頃、自分が世界で一番エッチだったらどうしようと
不安だったのが、大人になってみたら上には上がいたと
ちょっと安心するのと似ています。

私も自分が実行責任者として企画したセミナーのチラシと
24時間一緒に生活していました。

1週間も一緒に過ごしているとボロボロになります。

本の見本が届くたびに自分の分身のように
24時間一緒に生活を伴にします。

1週間後に書店に分身が並べられる頃には
見本はすでに私の手垢にまみれています。

特に処女作というのは長男や長女、初孫と同じで
思い入れが半端ではありません。

そうしたことによってヒットするわけではありませんが、
そういう思い入れがなければヒットはしません。

これはやらされ仕事ではなくて
自分がやりたいと思ってやったことの証です。

予想外のヒットの裏にはこういう目に見えない感情が渦巻いているのです。

関わった人たちの商品への愛情、憎悪、怨念といったものすべてが
詰まっていて、告知された瞬間にそれを人間の感性が
察知するのではないでしょうか。

ダニエル・ピンクの『ハイ・コンセプト』にもありましたが、
21世紀型マーケティングには感性が欠かせなくなるというのは
具体的な身近な事例ではたとえばこんなことではないかと思うのです。

私は本を読むこと以上に、本の印刷の匂い、紙の匂いが好きです。

...千田琢哉(2010年4月17日発行の次代創造館ブログより)

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