見出し画像

【千田琢哉の頭脳】Vol.0518(2010年7月6日発行のブログより)

例外を除いて、私は本を読まない主義です。なぜなら生身の人間から学ぶことが一番吸収できると思うからです。ベストセラーなどまったく目もくれずに、ひたすら現場主義で人から学んでいくのが人生だと思っています。ただ、千田さんの『20代で伸びる人、沈む人』は大変読みやすく、本もまんざら捨てたものではないな、と改めて自分の未熟さを思い知らされた次第です。同時に、このような心に突き刺さる鋭い文章を書くにはいったいどのような本を読めばいいのかたいへん興味を持ちます。おススメの本があれば教えてください。

(千葉県・会社員・Hさん・男性・28歳)

どんな本がおススメですか?

という質問はナンセンスです。

なぜなら、おススメの本はその人にしか分からないからです。

初対面の人に、

「私は誰ですか?」

と聞いているのと同じなのです。

また面白いことに、おススメの本を聴いてくる人は、
2つの特徴があります。

1.次に会ったときに読んでいない

2.教えてもらっているのに偉そうである

以上のことから私はおススメの本を教えることはしません。

1については100人中99人が読んでいません。

逆におススメの本を教えて、次に会ったときまでに読んでいた人は
フルネームで名前がスラスラと出てくるほどです。

読む気がない人、本嫌いな人に限って楽をしようと思いますから、
最初に答えを聞こうとします。

でも、本好きの人はそもそも本という本のすべて大好きですから、
遠回りしたいのです。

遠回りが読書の醍醐味なのに、いきなり模範解答を聞いてしまうほど
バカバカしいことはありません。

推理小説で、

「犯人は誰ですか?」

と聞いているようなものです。

真の本好きは、まったく面白くない本を買ってしまったとしても、
外れとは思いません。

「まだ今出逢うときじゃなかったんだな」

と考えます。

更に、どこか魅力的だから手に取って買ったわけですから、
その価値を認めようとします。

2については、せっかく本を教えてもらっているのに
メモを取ろうとしないのです。

そもそも本のタイトルなんて無限にありますから、
メモを取らなければ憶えることができません。

メモを取らないのはそもそも興味がないからです。

あらすじだけわかりやすく教えてくれ、
というくらいに考えているはずです。

人間は、本を読まなければますます傲慢になっていきます。

人間は、本を読まなければますます頑固になっていきます。

人間は、本を読まなければますます狭い世界に籠ってしまい、
キレやすくなっていきます。

宮本武蔵が単なる暴れ者から剣の達人へ、
そして人生の達人へと脱皮したのは読書の力です。

自分の存在の小ささに気づいたのです。

人間は、この大自然の中で自分の存在の小ささに気づかないと悲惨です。

本屋さんで、陳列されている本の上に鞄を置いて立ち読みするような大人になってしまいます。

こうなったら人間おしまいです。

読書は人から強制されてするものではありません。

読書は人からやめろと言われても隠れて読んでしまう道楽です。

読書は義務ではなくて権利です。

もし自分が求めて、他人からおススメの本を教えてもらったら、
必ずその場でメモを取って、
その日中にアマゾンで注文した報告メールを送信しましょう。

そして自分が気づいたことをお礼ハガキで書きましょう。

それが人として、最低限の礼儀です。

...千田琢哉(2010年7月6日発行の次代創造館ブログより)

↓千田琢哉のコンテンツ↓

🔷千田琢哉レポート
文筆家・千田琢哉が書き下ろした言葉を毎月PDFファイルでお届けします。

🔷真夜中の雑談~千田琢哉に訊いてきました~
文筆家・千田琢哉があなたから頂いたお悩みに直接答える
音声ダウンロードサービスです。毎月1日と15日発売!
“毎月1回の飲み代を、毎月2回の勉強代に”

🔷千田琢哉公式チャンネル
「3分の囁き」千田琢哉の独り語りをYouTubeでお楽しみ下さい。