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【千田琢哉の頭脳】Vol.0410(2010年3月20日発行のブログより)
うちの会社は大企業の子会社となっており、歴代の社長がプロパー社員と交代で天下って就任しています。どちらかといえば景気に左右されない地味な安定した業界ですが、サラリーマンの夢であるトップの人事がこれではモチベーションが下がります。天下りって何かメリットでもあるのでしょうか?
(愛知県・会社員・Fさん・男性・34歳)
日本では天下りはとんでもないことだというように考えられていますが、
欧米ではごく当たり前のことです。
さらにいえば、天下りという概念すらなくて、
腹ただしいとさえ思いません。
どういうことかというと、平社員から順に出世していって定年直前に
社長になるんだ、という発想ではありません。
こんなに会社のために尽くしてきたのに、自分は裏切られた、
という発想もありません。
そうではなくて最初から平社員は平社員、中間管理職は中間管理職、
経営者は経営者と別の仕事であることを割り切っています。
これは考え方によっては非常に合理的です。
沈没していく企業の典型的なパターンに、
トップセールスとして活躍したから取締役になったり
社長になったりすることがあります。
トップセールスであること自体はいいのですが、
それと経営手腕には何の関連性もないのに無理矢理つなげてしまうところに不幸があります。
もちろんそうした会社にはトップセールスはとてつもなく偉い、
という絶対的な価値観が植え付けられています。
だから経営戦略が練られる頭脳明晰な人材は
セールス力がなければすぐに辞めます。
本人たちの立場になってみれば、活躍する土俵を間違えたと考えるのが
妥当でしょう。
またセールス力がイマイチだけれども、
マネジング力があるタイプも離れていきます。
結局元・トップセールスが必ずしも得意とは限らないマネジメントや
経営戦略をしていくことになります。
100メートル走が速いからといって野球もサッカーも上手いとは限らず、さらにコーチや監督として必ずしも能力を発揮するわけではありません。
欧米が合理的だというのは、万能な人間などそうはいないのだから、
餅は餅屋としてそれぞれのコースで貢献しようというものなのです。
官僚の天下りや大企業の天下りが批判されていますが、
必ずしもすべて失敗しているわけではありません。
ゼロから何もかも創り上げるのは苦手でも、
ある程度ヒト・モノ・カネ・情報が整った上で
リーダーシップを発揮したり、経営戦略を練っていくことは
猛烈に得意な人もいるからです。
否、創業者でさえ万能ではありません。
井深大さんと盛田昭夫さん。
本田宗一郎さんと藤沢武夫さん。
いずれも今日の日本を代表する巨大企業を築き上げた方たちですが、
お互いに補い合ったペアなのです。
...千田琢哉(2010年3月20日発行の次代創造館ブログより)
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