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【気づき】Vol.1116(2011年7月23日発行のブログより)
パピヨン。
脱獄映画といえば、
1958年のアメリカ映画『⼿錠のままの脱獄』。
次のこの1973年フランス映画『パピヨン』。
1994年アメリカ映画『ショーシャンクの空に』。
この3本を僕は思い出す。
脱獄映画といってもそれぞれくストーリーやメッセージは違うんだけどね。
今回取り上げたパピヨンは、
伝説のスーパースター・スティーブ・マックイーンと、
ダスティン・ホフマンが出演。
実際にスティーブ・マックイーンは海兵隊の兵役経験もある。
そしてその兵役中に脱⾛を何度も経験しており、
全て失敗に終わっているというからこの映画の役柄にピッタリ。
151分のこの映画は原作の小説も超特大ボリューム。
そして凄いのは実話をベースにしているということ。
無実の罪で終⾝刑になってしまった、
主人公スティーブ・マックイーンの胸にはパピヨン(蝶々)の刺⻘がある。
何度も脱獄を経験しているうちに、独房に入れられて
いよいよ次は命を取られるというリーチがかかってしまう。
独房では光すら与えられずに、
年齢に関係なく真っ白な肌でみんなヨレヨレのおじいさんになっている。
これはすべて本当なんだ。
人間というのは、マンネリ化していくと筋⾁も脳みそも衰えていくから、
どんどん⽼け込んでいく。
体の細胞たちが無意識のうちに自殺していくんだよ。
独房の中で凄いのは、
最初地面や壁を這いずり回るゲジゲジ虫に驚いていたのに、
次第にゲジゲジもペットのような存在になって気にならなくなる。
最終段階になると、ゲジゲジを切り刻んでスープに混ぜで食べちゃう。
そうしないと、たんぱく質が摂取できずに死んでしまうから、
体が勝手にそう動くんだね。
一方で対極の性格・人生を送ってきたダスティン・ホフマンは、
世界大恐慌の真っただ中、国防債券偽造の有名な知能犯。
超模範囚人として知的な仕事ばかりを与えられる。
一見この水と油のような⼆⼈が、
偶然利害が⼀致したのを機に獄中で知り合いになるんだね。
そして二人で命がけの共通体験をすることによって、
知り合いが親友になる。
クライマックスで最後にこの二人が別れを告げるシーンがある。
ヨレヨレの男同士が抱きしめ合うんだ。
ダスティン・ホフマンは無⼈島に残ることを決意。
スティーブ・マックイーンは無⼈島から脱出し、
サメがウヨウヨ泳いでいるような大海原に飛び込んでいく。
体がはみ出してしまうくらいの、小さなヤシの実のいかだに乗ってね。
この時ダスティン・ホフマンは、
親友スティーブ・マックイーンの姿を最後まで⾒届けない。
さっと背中を向けて日常に戻っていく。
親友が失敗するのを自分の目で確かめたくないからだ。
これが男と男の友情なんだ。
人が最後に欲しいのは権力でもお金でもない。
自由なんだね。
自由ほど贅沢なものはない。
自由の手段としてある程度の力とお金は必要だというだけで、
過剰な力とお金を追求し始めると逆に不自由になっちゃうんだ。
追伸.
パピヨン(蝶々)は、ヒラヒラと空を舞う自由の象徴なのです。
これ以外のタイトルはありえないんだね。
...千田琢哉(2011年7月23日発行の次代創造館ブログより)
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