【千田琢哉の頭脳】Vol.0472(2010年5月21日発行のブログより)
会社案内を全面リニューアルさせようと考えています。格調高い業者を使ってかっこいいものをつくり上げようとすればするほどに「顧客第一主義」「従業員第一主義」といったもう、ウンザリ聞き飽きたような経営理念、似ても似つかないニューヨークの高層ビルやカッコいい金髪のビジネスマンに囲まれた嘘っぱちなアイデアとして浮上してきます。でもこれらが相手の心に突き刺さるようなことはないと思うのです。私自身がそうした会社案内を見てもまったく印象に残らないどころか読む気が失せるからです。斬新で読んでもらえるようなワクワクする会社案内を作るのに何かヒントをいただけないでしょうか。
(東京都・会社経営・Tさん・男性・33歳)
大企業の会社案内やホームページにはほとんどすべてに、
「顧客第一主義」
「すべてはお客様のために」
「サービスの品質No.1を追求して」
と記載されています。
そもそも顧客第一主義というのは自分で唱えるものではありません。
あくまでも顧客自身からそのように評価されて
初めて顧客第一主義として認められるのです。
私の経験からいくと、これ見よがしに顧客第一主義を唱えている会社は
99%自分たち第一主義でした。
その後ろめたさを美辞麗句で必死に隠蔽しようとします。
美しい経営理念の会社はたいていは薄汚い本音が横たわっているものです。
反比例していると考えるといいでしょう。
顧客第一主義の次は従業員第一主義が流行りましたが、
これもまた気持ち悪いです。
従業員第一主義というのであれば、自分たちで勝手にやっていれば?
ということになってしまいます。
声高らかに言うべきことではもちろんありません。
従業員たちがこっそりと、
「うちの会社は信頼できる」
「うちの会社はやればやるだけ報われる」
と心底思ってくれて初めて従業員第一主義が成立するのです。
このようにどんなことでもそうですが、理念というのは自己満足の綺麗事や後ろめたさの裏返しでは意味がないということです。
ここから本当の出発なのです。
ド派手な美辞麗句よりも、最初のうちは誤解されても牛歩の如く
一歩一歩確実に言行一致させていくほうが必ず相手に伝わります。
これらはもともと日本人が得意だったことのはずです。
今コミュニケーション能力の重要性が説かれていますが、
その先にあるのは言行一致力です。
言行不一致をごまかすためにコミュニケーション能力を鍛えても
それは無意味です。
むしろ中身の伴わないコミュニケーション能力は逆効果です。
言行一致を少しでも早く認めてもらうための手段としての
コミュニケーション能力でなければいけません。
変わり身が早いといえばそれはそれで長所になります。
しかしすぐに手段と目的が逆転してしまう本末転倒してしまうところは、
日本人の弱点でもあります。
ぜひ長所を伸ばすためのコミュニケーションであって欲しいものです。
会社案内は、言行一致を宣言する、コミュニケーションの一部なのです。
...千田琢哉(2010年5月21日発行の次代創造館ブログより)
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