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【千田琢哉の頭脳】Vol.0075(2009年4月19日発行のブログより)from次代創造館秘書室

月並みな質問ですが、この不況はいつまで続くのでしょうか?私の会社はからきし元気がなく、経済アナリストやコメンテーターの話もほとんどいい加減です。現場を見てきたコンサルタントの視点から何かヒントいただけないでしょうか?元気が出る話はないのでしょうか?

(大分県・会社経営・Iさん・男性・58歳)

結論からいうと、この不況がいつまで続くのかは誰にもわかりません。

もちろん、私にもわかりません。

経済学者やアナリストは、もちろん人類の知恵をかき集めて分析した結果を述べているわけですから、参考にならないわけがありませんが、
あくまでも、出た結果、事実がすべてです。

これは、自然災害が人間の力ではどうあがいても避けられないし、
誰のせいにもできないことに酷似しています。

また、予測者というのは、当たったことをひたすら強調はしますが、
それまでにその何十倍、何百倍の予測を外し続けてきたことは
すっかり棚に上げてしまうのは今も昔も変わりません。

やはり、Iさんも経営者として、自分の頭で考え、
自分の決断で進んでいかなければなりません。

ハッキリと言えるのは、定額給付金で2兆円かけても、
国民の誰もそれを望んでいないということと、
そのリターンは6000億円程度いけばいい方だろう、ということです。

今更引っ込みがつかない、という零細企業でありがちな感情論を
国レベルでやってしまったのです。

また、金利を下げれば需要が喚起されるわけでもなければ、
法的に派遣社員の扱いを擁護したところで、
企業は悲鳴を上げて海外拠点をつくるだけの話です。

つまり、ケインズという学者が提唱した経済学以降すべてが
大不況を前提としたものではなく、波風立たない平常時の状態を
前提としたものであり、大変革の際には必ずしも当てはまらない
ということです。

そして、Iさんご自身も日々の経営で百もご承知かと思いますが、
経済というのは人間の心理の結果です。

その国の経済状況というのは、その国の人たちの心の状態の結果であり、
時代に応じて、あるいは状況に応じてコロコロ変わるわけですから、
基本的に方程式はありません。

そうした意味では、常に変幻自在に正解のない問題を解き続けていく
というのが経済学であり、学者やアナリストの意見を参考にしながらも、
自らがその情報や知恵を活かしていくという、姿勢が必要不可欠です。

なぜなら、机上の経済理論では太刀打ちできなくても、
消費者と日々接しており、現場に近いのは経営者や従業員のほうですから、ある意味、決断するには環境的に優れているといえます。

新車を買うか否か、テレビを買い替えるか否か、
といった微妙なニュアンス、心のひだをかぎ分けるのは、
経済学者やアナリストではなく、
Iさんや私のような現場に近い人間の役割なのです。

最後に、私の現場感覚をハッキリ言っておくと、不況だと言いながらも、
結構みんなそれなりに楽しんで生きているように見えます。

しかし、だからと言って、このままでいいんじゃない?というのではなく、口で騒ぐだけでなく、頭をきちんと使ってまったく別の競技に
立ち向かわなければならないということです。

...千田琢哉(2009年4月19日発行の次代創造館のブログより)

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