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【千田琢哉の頭脳】Vol.0406(2010年3月16日発行のブログより)

現在ささやかな出版業を営んでおります。歴史だけはあるのですがすでに自転車操業となってから久しく、廃業も考えています。20年前と比較して売れ行きが3分の1になってきたというのが実感です。いろいろ試してはいるのですが・・・。でも上手くいってる会社も極少数ですがあるにはあるんです。

(東京都・会社経営・Kさん・男性・54歳)

出版業界において伸びている会社と沈みゆく会社の違いがあります。

伸びている会社は本の後に続くものを練り上げられており、
沈みゆく会社は本そのものを販売していることです。

本そのものを販売していて商売が成り立つ時代は20世紀で終わりました。

時代の変わり目にはある共通の現象が起こります。

ハードルが一気に低くなるのです。

ハードルが一気に低くなるとレベルダウンが生じるわけです。

同時にトップ層はもう飽きてしまって
そのビジネスモデルの場所にはいません。

出版そのもので儲ける時代はとっくに終わっており、
出版後の戦略が問われるようになっています。

オーディオブックによりリアル書籍の販売量は確実に落ちるでしょう。

しかし決してゼロにはなりません。

これは私が関わっている保険業界についてもまったく同じことがいえます。

インターネットから直接申し込むことができる
ダイレクト販売が当たり前になってきましたが、
人を介して販売する代理店販売がまだ比率的には主流です。

そして昔ながらの代理店販売がゼロになることはありません。

加えて代理店販売のあり方が大きく変化を迫られているのです。

書籍というものは人類が続く限り存続するでしょうが、
ビジネスモデルそのものは変化しなければなりません。

松尾芭蕉の不易流行です。

変わってはいけないものと変わらなければならないものを
見極めていくことです。

そもそも出版の本質とは何だったのか。

出版社の経営理念とは何だったのか。

これらを踏まえた上で人の変化、時代の変化に適応していくと
生き残れるわけです。

本をつくって売ることが出版の本質ではないはずです。

本の先に読者の人生があり、
その人生をより充実させるために出版があったはずです。

本を販売してくれる書店の店員さんの人生をより充実させることも
忘れてはいけません。

とすれば、それを満たすということ自体は変わるはずもなく、
満たすための手段を変えていかなければならないということなのです。

それが先達に対する恩返しであり、会社存続の唯一の方法なのです。

戦略とは机上の空論ではありません。

目の前のお客様の将来を考えた
非常に地に足のついた泥臭い考え方
なのです。

...千田琢哉(2010年3月16日発行の次代創造館ブログより)

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