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【1%ノンフィクション】Vol.0688(2009年12月9日発行のブログより)

幸運のまちがい電話

甲は学⽣時代に幸運のまちがい電話を受けたことがよくあった。

もちろん、⼥性からだ。

会社でもない限り、まちがい電話は毎⽇かかってくるものではない。

せいぜい1ヶ⽉に1度。

普通は1年に数回といったところだろう。

甲もその確率は同じだった。

しかし、ヒット率が⼤きく異なった。

⼤学4年間でまちがい電話をきっかけに知り合った⼥性は7⼈に上る。

その中で⾶びきり美⼈が⼄だった。

甲はまちがい電話に寛容だった。

そして必ず最後にひと⾔を加えた。

「まちがい電話、ありがとう。でも、本当にそれだけでよかった︖」

いつも、ここからどんどん話は展開されていった。

⼄は⾔った。

「あのときの甲の電話って何か懐かしい感じがした。
おかしいのよ、初めてなのに。
このまま話せなくなるのはあまりに寂しいと思ったわ」

後に甲は⼀流の詐欺師になった。

いや、正確には詐欺師ではない。

相⼿は騙されたと思っていないのだから。

...千田琢哉(2009年12月9日発行の次代創造館ブログより)

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