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【気づき】Vol.1055(2011年5月23日発行のブログより)

本を出したい人。

最近、

「自分も本を出したい!」

というやたら多くの質問をもらう。

「コイツにさえ本が出せるのだったら自分にだって出せるに違いない」

という気持ちはよくわかる(笑)

何しろ僕の最初のモチベーションがそうだったからだ。

中には、

「本を出すためなら何でもやります!」

と⾷い下がってくる人までいる。

ひょっとして今は出版ブームなのだろうか?

揃いも揃ってお金は払いたくない人ばかりで、
ことごとく出版エージェントからは足蹴にされ、
どの出版社からも相手にされなかったといってふて腐れている。

要件は同じなので、ここらでまとめて回答しておきたい。

⽅法はいくつもある。

・実績ある出版コンサルタントにきちんとお金を払って正式に依頼する

・出版社の編集者に友だちをつくって企画原稿を見てもらう

・出来上がった企画原稿を片っ端から出版社に送る

以上はスタートラインに立つまでの最低限の準備であって、
出版決定には程遠い。

ちなみに僕は、最後の片っ端から出版社に送る口だった。

処女作の原稿を26社に送って6社からオファーがあったけど、
もしオファーがなかったら100社でも1000社でも送り続けただろう。

中には、

「⼀度に複数の出版社に原稿を送るのは道義に反している」

という化⽯のような編集者がいるみたいだが、
典型的な守られたサラリーマンの正論だから相手にしなくていい。

これから出版しようという勝負をしている人間にとって、
そんな正論をまともに受けていたら一生出版などできない。

この程度の壁は熱意でも苦労でもないと思っている。

どんなことでも本気だということは、飛び抜けた熱意に加えて、
お金か時間あるいはその両方がかかるのは当たり前の話だ。

だが、大切なことを忘れてはならない。

出版社としては1冊あたり最低でも300万円の投資になることだ。

つまり、
出版社側の売上が300万円に達しなければ完璧な赤字ということ。

ビジネス書1冊1,500円とすれば、
最低でも2,000冊購入(発行部数ではない!)してもらえなければ、
成り立たないということだ。

間違ってはいけないのは、
2,000冊売れてもトントンで利益が出ないということ。

出版社側としてはタダ働きさせられた状態だ。

ブログやメルマガ読者や会員組織など運営していれば、
3,000冊や5,000冊は確実に売上が見込めるというのは強い。

本を出したいという人は、自分の都合ばかりを考えて、
この大切な事実から目を逸らしていることが多い。

「お⾦が⽬的ではないんです」

「別に名誉とかそういうんじゃないんです」

「本を世に出して⼀⼈でも読者がいればいいんです」

というのなら話は簡単だ。

自費出版すればいい。

自費出版して自身のブログで請求者に送付したり、
お世話になった人たちにはもちろんのこと、
街頭で通行人に配布してもいいだろう。

これなら誰でもできるはずだ。

どうしても出版社から出してもらいたいのであれば、
まずは今の仕事で実績を残すのが⼀番手っ取り早い。

そうすれば、その実績を訴求した企画書を作って、
出版コンサルタントに相談できるし、
お金をケチるのであれば出版社に片っ端から企画を送り続ければいい。

声がかかるまで永遠に続けるつもりで。

ここで手間暇を惜しんではいけないだろう。

先ほど強調したように、何しろどこの馬の骨かわからない人間に対して、
出版社に300万円の投資をさせようというのだから。

出版社にメールできるところにはすべて送る。

メールできないところには、電話して送付する。

自分の人脈をフル動員して出版関係者と会ってもらう。

以上やり尽くしてもまったく相手にされなかったら、
本を出すほどの実績はないという評価を下されたわけだ。

結局本を買いたい人よりも、本を出したい⼈のほうが多い。

これが世の中だ。

本を出したい人は今の仕事で実績を残すのが⼀番の近道。

作家養成学校なんぞに通っていては、
⽂章だけはやたら上手くなるかもしれないが、
生きてる間に出版できなくなってしまう可能性もある。

実際に自分が買い手側になったことを思い出してみたらよくわかる。

凡人が綴った教科書のような模範解答を書かれた本よりも、
圧倒的な実績を残した人物が綴った、
迫力ある⽂章のほうが誰だって読みたい。

圧倒的な実績とは、もちろん社内という金⿂鉢の中ではなく、
少なくとも業界内で名前が知られるくらいの存在に、ということだ。

だから勝負のフィールドは、
メジャー分野ではなく超マイナー分野に限るね。

出版社もそういう著者に300万円の投資をしたいわけだ。

追伸.

あと裏技としては、
大手コンサルティング会社や名の通ったシンクタンクに、
就職なり転職なりすると、
普通のサラリーマンより1,000倍くらい出版しやすいよ。

入社はその分狭き門かもしれないけど。

それでも⼀般にビジネス書を出すとなると、
従業員1万⼈クラスの大企業でさえ、
トップのサラリーマン社長まで上り詰めなくては話にならないだろう。

○○保険会社の副社⻑とか○○総合商社の専務になるのは、
それはそれで大変なことだけど、
彼らの書いた本が読者にとって必ずしも魅力的なわけではない。

立ち読みの価値すらないと判断される可能性が高い。

一方、大手コンサルティング会社や有力シンクタンクなら、
上位10%くらいの管理職あたりでも本を出していることは珍しくない。

不思議だけどそれが実態だ。

その他残された方法としては、
サラリーマンと違ってリスクも1,000倍くらいになるが、
起業して一世を風靡すれば楽勝で出版できるだろう。

もっとも、わざわざ本を出すために起業する人間などいないだろうが(笑)

 ...千田琢哉(2011年5月23日発行の次代創造館ブログより)

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