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【気づき】Vol.1069(2011年6月6日発行のブログより)

ヴィヨンの妻。

5⽉18⽇のブログで、『サイドカーに⽝』について綴った。

今回は映画の中で竹内結子さん演じるヨーコが愛読していた、
太宰治の短編小説

『ヴィヨンの妻』

の⽂庫本を改めて読んでみた。

ヴィヨンというのは、
15世紀パリの放蕩詩人フランソワ・ヴィヨンのことだね。

中世最大の天才詩人でありながら、
若い頃殺人を犯した後に様々な問題を起こしてパリを追放されている。

学生時代にも読んだんだけど、就職が決まって社会人になるときに、
所有していた95%の本たちと別れを告げた。

この本は95%に入ってしまったというわけだ。

きっと仙台の古本屋さんで誰かに拾われて読まれているに違いない。

ちょっと、懐かしい。

もともと僕は、 太宰治に限らず、川端康成、芥川⿓之介といった
⾃殺した作家は好きではない。

やっぱり没頭していくうちに気が滅入ってしまうんだよね。

吸い寄せられていくというか・・・

やっぱり本は元気になるために読むのが⼀番だと思う。

だた、今回はいい映画の中に出てきた本なので特例だ(笑)

それにしても、改めて作家ってモテモテだねぇ!!

いろいろすったもんだを経た最後はハッピーエンド。

そんなに悪くない。

僕は亭主よりも妻の強さに感服した。

有名作家の亭主もモテるんだけど、 妻はもっとモテる。

この妻が一人いるだけで、人もお金もどっと集まってくるんだ。

そんな女性っているよね。

でも、この妻はひたすら一途なんだ。

一度だけ唇を奪われる例外を除いては・・・

有名作家の亭主はどうしようもない飲んだくれの浮気症で、
遂には愛人と心中をはかってしまう。

これは残された妻にとって地獄だ。

いくらなんでも、これは⽂字どおり⼈非⼈にんぴにんでしょ、
と言いたくなってしまうよね。

フィクションの比重ではなく、
ノンフィクションの比重のほうが高く思えてくるのが、
太宰治の小説の魅力だ。

妻は言った。

「なぜ、はじめからこうしなかったのでしょうね。とっても私は幸せよ」

そうなのだ。

⼥の幸せは好きな人と平凡な時間を非凡に感じながら過ごすことだ。

最後に妻は言った。

「⼈非⼈でもいいじゃないの。私たちは、生きてさえすればいいのよ」

なぜだか、竹内結子さん演じるヨーコではなく、

映画

『あげまん』

の宮本信子さんを思い出していた。

そうか、この妻こそが “あげまん” だったのだ。

追伸.

松たか子さんの名演技が味わえる、映画版もおススメです。

人間というのは本当に不幸のどん底では、笑いが込み上げてくるんだね。

追伸の追伸.

作家の妻は、その作家の作品が大嫌いというのは本当だね。

著書200冊を超える哲学者の鷲田小彌太先生も、

奥さんから、

「あなたが死んでから読んであげる」

って言われたとか。

 ...千田琢哉(2011年6月6日発行の次代創造館ブログより)

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