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【千田琢哉の頭脳】Vol.0447(2010年4月26日発行のブログより)

「モノを売らずにコトを売れ!」といったようなことを主張するコンサルタントやセミナーが少し前に流行りましたが、この場合の「コト」というのがイマイチ腑に落ちるまで自分の理解が深まりません。物語を売れとか、夢を売れという抽象的なものではなくて結局のところ何を売ったらいいのでしょうか?自分で質問しておきながらますます訳がわからなくなってきてしまい、質問がまとまらずにごめんなさい。

(山口県・会社員・Fさん・男性・33歳)

西暦2000年に生まれたミレニアムベビーが
10歳まで生き残れる割合をご存知でしょうか。

「は?ほぼ全員に決まってるでしょ」

という発想はまさに日本人の発想です。

現在世界の人口は68億6千万人。

日本の人口は1億2千600万人。

世界クラスで考えると2000年に生まれたとされる
ミレニアムベビーたちが10歳まで生き残ったのは1%、
つまり100人にたった1人だというのが事実です。

ちょうど今年は2010年ですね。

他の99人は伝染病、戦争、飢えによって亡くなっています。

もちろん私を含めて日本人がこれと同じベースでものを考えるのは
不可能でしょう。

そんなことよりも、自分は同期より昇進が遅れている、
会社の業績が悪くて夏のボーナスが心配でたまらない、
リストラされたらどうしよう、といったことのほうが遥かに身近であり、
大切なことだと思えても仕方ありません。

ところがこれから地球規模で経済を考えていくとき、
豊かさの意味を考えるとき、同じ人間として世界との比較を知っておく
必要くらいはあるでしょう。

先ほどの10歳になるまでさえ生きることができなかった
99人の子どもたちは自殺したわけではありません。

一方日本では毎年3万人が自殺しています。

命を無駄にしてはいけないという議論ではなく、
人の欲望は無限だから豊かになり過ぎると本当の幸せとは何かを考える
必要があるのかもしれないな、と感じます。

今から50年前では贅沢以外何ものでもなかったテレビ・冷蔵庫・洗濯機を所有していて毎日幸せを噛み締めて涙する人はいないでしょう。

でも心が満たされずに涙する人は今世の中で溢れかえっています。

「美容」「教養」を中心としたコンプレックス産業を含めて
心のケアのビジネスが非常にこれから盛んになると思います。

認められたい!

自分はここにいるんだ!ちゃんと見て欲しい!

といった欲望です。

換言すればモノを販売する会社でも本当にモノだけを売っていたら
消滅してしまいます。

モノに飢える苦しさよりもココロが飢える苦しさのほうが
遥かに大きいからです。

モノを販売するふりをして実はココロを満たしていなければ
存在意義として認められません。

結局人の幸せを真剣に考え続けて独自の理念をわかりやすい言葉で
世に打ち出していく人や企業が求められていくのです。

「あなたでなくてはならない!」

とすがりつかれるようになる存在になります。

...千田琢哉(2010年4月26日発行の次代創造館ブログより)

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