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【千田琢哉の頭脳】Vol.0174(2009年7月27日発行のブログより)

先日「100年企業になるために」というタイトルのセミナーを受けました。欧州の永続する企業と米国の短期的に消滅してしまう企業の違いなどを教わりましたが、千田さんが見てきた企業の中で存続企業の特徴とかその他何か独自の意見があればぜひお聞きしたいと思いました。

(群馬県・会社経営・Sさん・男性・33歳)

Sさんは意外に思われるかもしれませんが、
世界で最も存続している企業が多い国はダントツで日本です。

零細企業を含めた全企業で100年以上続いている企業なんて
野村進さんの書かれた

「千年、働いてきました」(角川グループパブリッシング )

によると、10万社以上あります。

多すぎて正確な数値を掴むのも大変なくらいです。

日本には200年以上存続している企業でさえ3000社あります。

存続は欧州に学べといっても、ドイツで800社、
オランダで200社ですから、日本の凄さがわかるでしょう。

MBA(経営学修士)で有名なアメリカはさぞかし立派なんだろうと
思いきや、200年以上存続している企業は14社。

最近の実情を見ればあまり驚かないかもしれませんが、
事実は事実として受け止めましょう。

アメリカはまだできて230年余りの新しい国ですから、
ここは中国を見ることにしましょう。

4000年の歴史で有名な中国はさらに少なくたったの9社です。

世界一知能指数の高い集団と誉れ高い(?)インドは
悲しくなるほど少なくわずか3社です。

短距離走で勝つためとか、その場限りで勝負をつけるには
アメリカ式はひょっとしたら役立つのかもしれませんが、
存続のための勉強はとてもではないですが、
机上の学問ではなく日本に教わるべきでしょう。

アメリカの名誉のために言っておくと、
徳川家15代264年の歴史より短い国ですから
やむを得ないとも言えます。

むしろ短期間で世界の覇権を握ったこと自体は評価すべきでしょう。

MBAを日本に輸入したり教え込んだりして、
存続を食い止める戦略ではないかという笑い話もされたくらいですから、
もちろん存続はアメリカは苦手です。

欧州からも学ぶことは多いはずですが、ここは一つ、
存続については我が国を学んだほうがよさそうですね。

存続企業の中には同族企業も数多くあり、
必ずしも同族それ自体がダメなわけではないのです。

ただ上っ面のみを徳川家の真似してはダメなだけです。

いくら息子といえども、あるいは、血族といえども、
その器がなければ絶対に継がせない、という掟は死守せねばなりません。

これは徳川家と豊臣家の違いから学ぶ必要があります。

率直にいって親から見たら子どもというのは兄弟の中で劣っているほうが
かわいいに決まっています。

無意識のうちに手をかけるはずです。

できの悪い子どもは、
自分のDNAが劣っていることを証明されているようで嫌なのです。

本能と欲望と理性の戦いです。

トヨタ自動車はさすが地元なだけあって、
徳川家の教訓を見事に活かしています。

分家をつくって身内から補欠や敗者を生み出しにくくしているように
見せるのはさすがです。

天下のパナソニックも歴史を調べてみると同族経営で苦しんで
ようやく断ち切ることに決めたようです。

ご子息が総合力で標準以上であり、
そのご子息より優秀な(器の大きな)人材が留まるのを
諦めることができるのであれば同族経営も悪くないでしょう。

ご子息より有能で器の大きな人材が、ご子息の部下になって
ご子息より安い給料で働くというのはどう考えても不自然です。

逆に相手にも両親がいることを忘れてはなりません。

そしてスポットライトのど真ん中のスーパースターではなく、
スポットライトの端でチョイ役だけど存在は知られている、
というような小粒ピリリとした企業が存続しやすいのです。

後先を考えずに図体を大きくしてしまう企業は比較的多いのですが、
いざとなったときのために小回りの利く組織にしておくことは必要です。

普段から従業員の教育や自己研鑽に力を入れていれば、
再就職先は引く手あまたになります。

もちろんこれは一例に過ぎません。

なにもしたり顔のコンサルタントの言う通りに
欧米の企業から学ぶだけでなく、国内に生きたサンプルや事例が
山のようにあるということだけは忘れないでください。

それは誇りに思ってよいのではないでしょうか。

...千田琢哉(2009年7月27日発行の次代創造館ブログより)

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