【千田琢哉の頭脳】Vol.0442(2010年4月21日発行のブログより)
既存顧客を大切にしていけば新規開拓の比重を減らすことができるというのは理屈はわかるのですが、現実的ではないように思えます。現にうちの顧客はより安くてサービスのいい業者が出現するとどんどん裏切って流れていってしまいますし、手間暇かけてリピート率を少し向上させても紹介などほとんど発生しません。だから無理にでも新規開拓に注力しなければすぐに顧客は枯渇してしまいます。新規出店をして既存顧客を奪われて、また新規出店して・・・の繰り返しではいずれ限界がくるのは目に見えているのですが・・・
(広島県・会社経営・Kさん・男性・38歳)
より安くてサービスがいいところに顧客が流れていくのは
当たり前といえば当たり前です。
逆に高くてサービスが悪いところが存在する理由が見つかりません。
ここでは囚人型のサービスを提供しているところは
いずれ必ず消えることを知っておくことが大切です。
リピート率が向上してもなかなか紹介が発生しないのは、
リピートしている人たちが実は満足していないからなのかもしれません。
つまり不満を抱えながらも他社にロクな業者が見当たらないから
仕方なく付き合っているという囚人型の既存顧客ということです。
顧客の囲い込みという考え方や、
オンリーワン戦略という考え方は囚人型既存顧客を目指しています。
だからより洗練された会社が出現した瞬間にご臨終です。
サービスが悪いにもかかわらず繁盛していた田舎のラーメン屋さんが、
いきなり潰れるのはそうした理由です。
一瞬の出来事なのです。
オンリーワン戦略というのは長続きしないのです。
こうした例はホテルでも商店街でも歯医者さんでも見られます。
業種業界はまったく関係ありません。
正確には満足だけでは物足りずに1%でもいいから
期待を超える感動でなければなりません。
この1%の差がとても大きいのです。
1%のために会社を経営していると考えなければなりません。
常に1%超える努力をしていると相手は
何かあった際に周囲に言いたくなります。
「こんなにすばらしい人知ってるよ」
「こんなすばらしい業者知ってるよ」
「え!?なんだって?紹介するよ」
ということを我慢できずに自慢します。
これが口コミです。
「紹介をください」
と言わなくても紹介が発生しないということは、
顧客は感動はもちろん、満足すらしていない証拠です。
ところが大半の業者というのは1%超える感動どころか
それ以前の満足すら到達できていません。
ほんの些細なことなのです。
もの凄く細かいところなのです。
電話やメールで本来一言添えなければならなかったところを
添えなかったり、当たり前のことに感謝できなくなってきたりしたことが
相手を遠避けていきます。
人は感謝を忘れる生き物ですから、新規開拓をした際のエネルギーが
頂点で実際にお金を支払ってもらった後から
どんどんサービスが悪くなっていきます。
意識しているか否かは別として99%の会社がそうなのです。
本当はまだ1円もお金をもらっていない新規開拓よりも
今までお金をもらい続けてきた既存顧客のほうが
圧倒的にサービスをしなければならないはずです。
この当たり前のことができただけで上位1%に入ることができます。
新規開拓を異常なほど熱心にしなければならないのは、
既存顧客がざるで水をすくうように洩れていっているからだと
言えるわけです。
囚人型のサービスをしているところは早急に見直すべきでしょう。
その業界内だけが競合とは限りません。
頭のいい人が他業界からいきなり乗り込んできて、
より質の高いサービスを提供すれば一瞬で顧客は
どっとそっちに流れていきます。
頭のいい人たちはサービスレベルが低いところを、
虎視眈々と毎日狙っています。
ところが既存顧客のフォローを熱心にしていた場合は
驚くほど流れていかないものです。
派手で奇抜なことをやっても後が続きません。
それよりは地味で華やかさはなくても夜寝る前に、
今日は昨日よりも1%向上したかと振り返ることが大切なのです。
1%の向上は金融商品で言えば複利で雪だるま式に利息が増えていきます。
1年経つと周囲から抜きん出てきて、
5年経つと競合を戦意喪失させるくらいに
差をつけることができるのです。
...千田琢哉(2010年4月21日発行の次代創造館ブログより)
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