【千田琢哉の頭脳】Vol.0377(2010年2月15日発行のブログより)
読書サークルに入っています。毎週決まった日に早朝カフェに集まってそれぞれ持ち寄った本の感想を披露しあうのです。同じ本でも感じ方が人それぞれで学ぶことは多いです。ただ一つ問題があります。私が読むスピードが遅いことと、周囲のメンバーと比較して知的水準が低い本ばかりであり恥ずかしい思いをしているということです。メンバーたちが薦めてくれた本を買ってもまったく読まずに積読状態ですし、このままでは逆に読書嫌いになりそうです。こんな私が現状打破する秘訣はあるのでしょうか?
(愛知県・会社員・Iさん・男性・44歳)
難しい本、専門書を否定はしません。
値段に見合った価値があるものが大半です。
ただ、自分が1冊読み切るのに時間がかかる本を人に薦めるのは、
基本的にはNGです。
思わず予定変更して1日で読み切った、
という本でなければ良書ではありません。
1ヶ月かかる本を読んでもそこから吸収できることはたった3行です。
記憶に残ることは1行です。
実際に行動に移せることは10文字以内です。
これが現実です。
10文字のキャッチコピーがエッセンスであり、
そのキャッチコピーのために1500円を払うのです。
それがいかに安いのかわかる人は仕事ができる人です。
15分で読み切れるような本は書くのに時間がかかっているのです。
作者が優秀な証拠です。
100書きたいことがあるうちの99をそぎ落として、
上澄みの1をわかりやすく伝えてくれています。
100しかないのにそれを200や300に見せかけて分厚くしてある本は出版社側の都合です。
これだと逆に実際の実力よりも背伸びした分の、
-100や-200の印象を与えてしまうのです。
読者はお客様であると考えると、
時間を省いてすぐに使えることがわかりやすく書いてあるほうが
お得なのです。
あまり本を読まない人に限っておススメの本に難しい本を挙げたがります。
でもその人はその本がよくわかっていません。
本を読むのが好きなのではなくて、
難しい本を読む人間だと思われることが好きなのです。
難しい歴史書や専門的な哲学書をすすめてくる人は
相手に対してコンプレックスがある人です。
大学教授のその道の権威の人であればそれもいいでしょう。
でも専門家でもない人が専門書的なものを他人に薦めるというのは
時間泥棒以外何者でもなく、単なる自己満足なのです。
仮に分厚い専門書を読みたい場合は自分でひっそりと読むことです。
本当の読書好きならいちいち無理に周囲に薦めることはありません。
私も1冊5000円以上する専門書や中には3万円のものも定価で
買っていますが、他人に薦めたことは一度もありません。
私だけの自分の世界に入り込む至福の瞬間を味わえば
それで満足だからです。
ゴルフでも中途半端な人に限ってゴルフの知らない人に
ウンチクをたれたがります。
ワインのことを何も知らないに等しい人に限って、
浅い上に間違った知識を披露したがります。
難しいかどうかではなくてすべての本はその道のプロが書いていることを
踏まえた上で読むと見え方が違ってきます。
漫画はもちろんのこと、子供向けの絵本にこそ
天才のエッセンスが詰まっているのです。
...千田琢哉(2010年2月15日発行の次代創造館ブログより)
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