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アンドロイド転生659

中目黒:エマの住居

タケルとエマは夜桜見物を終えて帰宅した。建物の前に6人程の男性がおり駆け寄って来た。
「エマちゃんだろ?」
「乱行もオッケーなんだって?全員でする?」

エマは眉間に皺を寄せた。
「は?何のこと?」
「セフレ大募集だなんて凄えよ」
彼らの瞳に淫靡な色が宿っていた。

1人が笑ってエマの手首を掴んだ。エマは悲鳴を上げる。タケルはエマを背後に隠した。
「触るな!」
「マシンだな?だったら邪魔するな!」

タケルは男を見返した。
「俺は恋人だ!」
別の男がニヤニヤとする。
「へぇ!マジョリティなんだ?エ〜マちゃん」

エマの顔は引き攣った。確かに自分は性に奔放で人間の男女だけではなくアンドロイドとも肉体関係を結ぶ。だが他人から揶揄されたくはない。男達の不躾な態度に羞恥と憤りを覚えた。

タケルは睨んだ。
「お前らは何なんだ?」
男は怒りを露わにした。
「マシンのクセに何だ?その口の利き方は?」

他の男達が下卑た笑いをする。
「ホムペでセフレ大募集をしてたじゃんか〜」
「1日に何人と出来るか挑戦するってさ」
「そうそう。自信ある。満足させるってな」

タケルはエマを振り返った。エマは小刻みに首を横に振った。タケルは男達に向き直った。
「何かの間違いです。お引き取り下さい」
「なんだよ!腹立つな〜」

舌打ちしたり、顔を歪めたりしていたが物事に執着しない現代の人間はやがて諦めた。文句を言いつつも笑い合って去って行った。2人は安堵の溜息をついて家に入った。

エマは直ぐにスマートリングを起動する。宙空にホログラムが浮かんだ。自分のホームページを確認する。トップページに大きく表記されていた。息を呑んで文字を追った。

【セフレ大募集!乱行オッケー!1日に何人とプレイ(性行為)出来るかを挑戦します。技術に自信があります。満足させます。是非いらして下さい。自宅で待ってま〜す!!】

住所が記載されていた。エマは驚愕する。
「な…なに…これ…。し、知らない…。こんなの…知らない…!嘘よ!」
「まずはホームページを削除しないと」

エマは震えながら頷いて直ぐに削除した。執事アンドロイドのコイズミがやって来た。
「エントランスに人が集まっています。アポイントがないのでお断りをしましたが…」

2人はエントランスの映像を確認した。多くの若い男性が集まっていた。
「嘘…!やだ!やめて…」
エマの顔は強張り真っ青になった。

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